世界(スカイ・アーク)について




■ 空の成層構造



【概要】


空の成層構造とは、「浮遊大陸世界」において地上消失後に形成された垂直的な世界構造を指す。かつて地上が存在した「基底圏」は現在もなお不可視の災厄の霧に覆われており、人類は主に「浮遊圏」および「上層空域」にて生活圏を築いている。



● 成層区分


1. 転界層(てんかいそう / Riftzone)

 ・別名:「嵐層」「根絶層」「風の死域」

 ・高度:約0~10,000m

 ・特徴:地上跡を覆う常時乱気流帯。高濃度の魔導放射物質と断続的な重力反転現象が確認されており、“空の裂け目”はこの層から発生する。

 ・危険性:飛空艇の航行は不可能。墜落すれば回収は困難。特異個体や異常気象の発生源とされる。


2. 浮遊圏(ふゆうけん / Aetherfloat)

 ・高度:約10,000~25,000m

 ・特徴:空に浮かぶ島々・都市・航団艦が存在する層。大気圧・浮力・魔力密度のバランスが保たれており、人類の主要生活圏である。

 ・主な構造物:レヴァン・ノード、市場艦グリフ・マーケット浮遊都市ミレイアなど。

 ・機能:空中交易、戦略的拠点、魔導炉運用の中心。


3. 中空層(ちゅうくうそう / Stratoscape)

 ・高度:約25,000~50,000m

 ・特徴:精霊風流が流れる半可視の気流層。魔導航法を用いた中・長距離航路が存在し、高等浮遊種(風竜種など)の縄張りとも重なる。

 ・航行条件:強い浮力場・断続的な霧・音波屈折あり。航行には高性能な風読装置が必要。


4. 天蓋圏(てんがいけん / Celestis)

 ・高度:100,000m以上

 ・特徴:一般には到達不能な最上層空域。天体観測や伝承上の“天の門”があるとされる神話的領域。

 ・現実性:物語内では未確認。高位精霊や超古代遺物の存在が伝えられているが、信憑性は不明。



● 環境的要素


 ・風の密度差:各層で風速・方向が変化し、航行・生活に多大な影響を与える。

 ・浮力安定帯:浮遊圏の中でも、島や航団艦が長期間安定して留まれる“浮力の淀み”が存在する。

 ・魔導流:地磁気に相当する“魔力の潮流”が上昇・下降し、魔導炉の効率や魔力同調に関与。




■ 浮遊圏・中空層の環境安定メカニズム



1. 魔導圏循環理論アトモ=エーテル理論


この世界では、地球型物理法則に加えて、「魔導粒子(エーテル素)」の存在が気圧・温度・酸素濃度といった気候要素に干渉している。特に浮遊圏以上では、大気循環と魔力循環が融合した“複合圏流”として定義されている。


▼ コア原理:

「魔導粒子は熱エネルギーを保持・転送する媒体であり、大気密度を一定範囲に固定する副次効果を持つ」



2. 酸素濃度の維持機構:《循環膜層(アトモ・シェル)》の存在


浮遊圏の各空域は、ラグーンベルトによって形成された重力安定網グラビト・メッシュと連動する形で、“半透過性の圧力シェル”に覆われている。


この《循環膜層(アトモ・シェル)》は、以下の機能を果たす:


【機能/内容】

□ 浮遊核調整圧制御 / 各浮島の浮遊炉から発生する“圧制魔力波”が周囲の空間に擬似的な気圧ドームを形成し、大気を保持。

□ 酸素濃度の局地維持 / 魔導植物や“空気精霊帯”から放出される酸素を大気に混合。半閉鎖環境が形成され、一定量の酸素が外に逃げにくくなる。

□ 空間濾過効果 / 中空層からの精霊風に混じる有害粒子を濾過し、呼吸に適した環境を維持。


これにより、地上に近い酸素密度(約20%)が空中都市でも保たれる構造となる。



3. 温度の維持機構:《魔導熱圏エンベロープ》


温度については、通常であれば高高度において急激に下がるものの、本世界では以下の要素によって地上相当かやや冷涼な程度に保たれている。


【機構/内容】

□ 魔導炉の余剰熱放射 / 各空中都市・浮遊艦は浮遊炉を持ち、その運転時に発生する魔力熱を周囲に伝導し、空間温度を保つ。

□ 風脈循環網による熱伝導 / ラグーンベルト内部の風脈は、浮遊圏の周囲を“環流”する構造になっており、熱帯から温帯までの空気を移動させる“魔力ジェット気流”が存在する。

□ アトモ・エーテル安定作用 / 魔導粒子が熱エネルギーを緩やかに保持・再放出する性質を持ち、浮遊帯を断熱材のように包み込んでいる。


また、浮遊圏の各都市や航団艦は、《空導結界》を用いて微気候調整(micro-climate control)を行っており、人為的に温度調節された空間を構築している。



4. 中空層以上への適応技術


▼ 中空層(Stratoscape)では酸素密度・温度ともに急激に変化するため、以下のような適応技術が用いられている:

 ・精霊同調型気圧装備(ヴェルトライク製):呼吸・温度維持を行うマント型装備

 ・風膜帆/補助酸素流送装置:中空層での操縦に必要な“空の皮膜”を生む

 ・浮遊体内部気圧調整ルーム(主に工廠都市や市場艦で使用)




■ 浮遊圏における雲の生成理論と存在構造



1. 基礎定義:浮遊圏の「雲」とは何か?


本世界における「雲」は、エーテル素(魔導粒子)・水蒸気・微細浮遊核の三重混合物として成立する準物質的気象構造である。これは地球的な気候における水蒸気凝結モデルに近いが、魔導粒子の凝集・振動による“空間密度結晶化”という魔導特性を含む。



2. 物理・魔導的成因プロセス


【項目/内容】

□ 上昇気流と浮力圧差 / 浮遊圏では、地上からの上昇気流+浮力核からの微弱浮遊波により、気温勾配が緩やか。結果として浮遊域の中層に空気の集積帯が形成される。

□ エーテル振動の凝結作用 / 魔導粒子は熱エネルギーを保持しながら振動する。温度・密度条件が揃うと、エーテル波動が共振し、粒子間に“準凝集場”が発生。これにより、水分子が付着して微結晶状の雲粒が生成される。

□ 浮遊核と共鳴場形成 / 空中には多数の“浮遊核(空中微細粒子+魔導残渣)”が存在しており、これが雲の核として働く。特に精霊風流の通る「共鳴圏」では、雲が生き物のように呼吸する動態現象が観測される。



3. 雲の分類(浮遊圏における主要な雲種)


【分類/名称/高度範囲/特徴】

□ 1 / マギア雲(Etheric Stratus) / 8,000~15,000m / 魔導炉付近に発生。低温・高密度。熱と魔力の放射に反応し、静的な光屈折現象が生じる。

□ 2 / 風律雲(Flowbound Nimbus) / 10,000~25,000m / 精霊風が通過する帯域に沿って帯状に伸びる。風脈の可視化に使われる。時に空中生物の巣としても利用される。

□ 3 / 反射雲(Luminic Echo) / 15,000m以上 / 魔導粒子の残光が薄く残った状態で形成。夜間に“雲の中に星が反射する”現象が見られる。天蓋圏に近い。



4. 雲の機能的側面


・視界調整・空間遮蔽:雲が高密度化すると、浮遊艦艇の視界・測距に影響。軍事的にも利用される。

・魔導拡散抑制:雲内では魔力伝播が乱れるため、《空導結界》などの魔導兵装が効きづらい。

・生態系支援:一部雲層には微細な魔導植物胞子が含まれており、空生動物や精霊種が棲息可能。



5. 科学・魔導融合的考察


浮遊圏における雲は、従来の気象学では捉えきれない「魔導気候現象」であり、その存在は浮力制御、魔導通信、精霊動態など多方面に影響を及ぼす。観測データと精霊学の両側面から解明が進められており、学術的にも注目の研究対象である。




■ 浮遊大陸世界における気候構造と降水システム



1. 基本構造:気候帯と浮遊環境の相互作用


浮遊圏は単なる高空ではなく、多層的な気象循環と魔導粒子流によって構成された“動的空間気候圏”である。このため、従来の「緯度による気候区分」ではなく、以下の要素により気候が規定される:


【要素/説明】

□ 高度差 / 上昇するほど気温・酸素濃度が低下するが、《魔導熱圏エンベロープ》により緩和される。

□ 魔導粒子密度 / エーテル濃度の高低が、気圧・温度・風の性質を左右する。

□ 浮力場干渉 / 大型浮遊炉や浮遊核が放つ浮力波が、空気の流れと熱伝導を変化させる。

□ 風脈と霊流 / 精霊風流は気温・湿度だけでなく、風の性格(軽風・重風)も決定する。



2. 雨(降水現象)の存在と原理


本世界における雨は、純物理的な水分凝結ではなく、魔導媒介凝縮(エーテル化降水)として発生する。


▼ 原理構造(概要)


【段階/内容】

① エーテル結露帯の形成 / 浮遊圏中層にて、冷却風脈と暖流が交差すると、エーテル素が不安定化し“凝結媒質”となる。

② 魔導水核の発生 / 水蒸気がエーテル凝縮点に集まり、“魔導水滴(Aetheric Rainseed)”として成長。

③ 降水の起動 / 魔導風との共鳴で臨界振動に達した雲層から、光を帯びた降雨が始まる(淡青や銀の色合いを持つことも)。



3. 降雨の分類と気候的影響


【種別/名称/概要】

□ 1 / エーテル雨(Aether Rain) / 最も一般的な降水。魔導粒子を微量に含み、作物の生育や空精霊の活性に良い影響を与える。

□ 2 / 霊雨(Spiritfall) / 精霊風との交差点に限定される現象。空気精霊が“涙”として霧雨を降らせる信仰も存在。

□ 3 / 酸性暴雨(Void Rain) / 転界層や魔導異常が関与した災厄性雨。構造物を腐蝕し、魔導障壁をも侵食する危険な降雨。



4. 気候分類と地域別気象傾向(例:四大浮遊大陸)


【大陸/気候帯/降雨傾向/特徴】

□ リュミナシオン(東) / 温帯浮遊高原 / 安定したエーテル雨あり / 魔導林と霧帯が多く、定期的に霊雨が発生

□ グラン=マギオ(西) / 乾燥岩盤帯 / 少雨、暴雨は局地的 / 熱波風と乾燥浮力が強く、雨は稀だが激しい

□ ティール=ザイア(南) / 湿潤神域帯 / 豊富な霊雨 / 降水は祝福とされ、信仰儀式と連動する

□ ヴォルニア(北) / 寒冷嵐圏 / 雨ではなく霧氷・凍雨 / 空気中の水分が氷粒に変わる“空の霧氷”が発生



5. 雨と人間活動の関係


・農耕/精霊栽培:エーテル雨によって育つ「魔導作物」が主流。雨乞いではなく“霊風祈儀”が行われる。

・建築/防御:艦艇や都市建築は、酸性雨や霊気雨に備え、《雨風結界》や魔導撥水材で保護される。

・戦術的利用:軍事・空賊戦においては、雨天を利用した視界遮断・魔導妨害が行われる。




■ 空の支柱


正式名称:《浮遊重力制御柱》

別称:《世界杭》、《抗重力柱》、《基盤支柱》



【役割・起源】


・世界の重力バランスが崩壊した“断層災”以前、浮遊島が無軌道に漂うことを防ぐために設置された。

・各支柱は《重力織界(じゅうりょくしょっかい)》という空間重力ネットワークの結節点となっており、浮島を物理的かつ魔導的に“位置固定”している。

・地上が消えた後、かつての文明が設置した“人工的な基盤装置”の一部とされているが、その正確な構造や起源は多くが失われている。



【構造・性質】


・支柱は“空間根”と呼ばれるエーテル流を通じて、各浮遊島の浮力炉や地盤安定装置と連動している。

・表層は黒銀色の鉱金属で構成され、外敵や腐食に対する高度な耐性を持つ。

・内部には《浮遊核》という魔導反応炉心が格納されており、これが支柱そのものの“抗重力場”を発生させる源となる。



【地政的な意味】


・《支柱》を中心に浮遊島が形成されており、それぞれが独立した国家や航団の“根拠地”になっている。

・支柱をめぐる争奪戦が多発しており、支柱の掌握は「空の支配権」を意味する。

・国家や空賊たちは《支柱》を利用した風脈制御や浮遊ルート調整などで優位性を得る。




■ 四つの支柱と帝国の概要


この世界には、東西南北にそびえる四本の巨大な支柱が存在し、それぞれの支柱の上には独自の大陸と文明が築かれています。



● 東の支柱:ルビアス帝国(Luvias Empire)


□ 支柱の名称:「知識の柱」

□ 大陸名:リュミナシオン

□ 政治体制:魔導学術院による寡頭制


□ 特徴:

 ・古代魔導文明の末裔とされ、魔力の研究と教育を重視する学術都市国家。

 ・空間魔法や魔力濃度の制御技術に長け、空中都市や浮遊施設が点在。

□ 魔導士たちが政治を司り、知識と魔力の研鑽が最上の価値とされる。

□ 文化:

 ・魔導書や古代遺物の収集・研究が盛ん。

 ・魔法大学や研究機関が多数存在し、他国からの留学生も受け入れる。

□ 軍事:

 ・魔導兵器や防衛結界による防衛体制。

 ・戦闘よりも防衛と研究を重視。



● 西の支柱:ヴェルトライク連邦(Veltrike Federation)


□ 支柱の名称:「鋼鉄の柱」

□ 大陸名:グラン=マギオ

□ 政治体制:技術者ギルドによる連邦制


□ 特徴:

 ・重装飛空艇や魔導工廠を有する機械技術国家。

 ・魔導と機械工学の融合による技術革新が進む。

 ・支柱の制御技術において他国を凌駕。

□ 文化:

 ・技術者や職人が尊敬され、発明や製造が奨励される。

 ・都市は工場や研究施設を中心に構築されている。

□ 軍事:

 ・重装飛空艇による空中戦力が主力。

 ・自律型魔導機械やゴーレム兵の運用。



● 南の支柱:カド=エル王政領(Cado-El Theocracy)


□ 支柱の名称:「神の柱」

□ 大陸名:ティール=ザイア

□ 政治体制:神権政治(王と大神官による統治)


□ 特徴:

 ・支柱そのものを神聖視し、「神の柱」として崇拝。

 ・魔力と宗教が融合した神秘的な文化を持つ。

 ・異端を厳しく排除し、信仰の純粋性を保つ。

□ 文化:

 ・神殿や聖域が各地に点在し、巡礼が盛ん。

 ・預言や神託が政治や日常生活に影響を与える。

□ 軍事:

 ・聖騎士団や神官戦士による軍事力。

 ・神聖魔法による防衛と攻撃を行う。



● 北の支柱:イグナ=フレア帝国(Igna-Flear Empire)


□ 支柱の名称:「嵐の柱」

□ 大陸名:ヴォルニア

□ 政治体制:群雄割拠の連合体(名目上の帝国)


□ 特徴:

 ・空賊たちの拠点であり、航路と空域の支配を巡る争いが絶えない。

 ・名目上は帝国だが、実際には複数の勢力が覇権を争う。

 ・交易と略奪が経済の中心。

□ 文化:

 ・自由と冒険を重んじる風潮。

 ・多様な種族や文化が混在し、独自の風俗が発展。

□ 軍事:

 ・高速飛空艇や空戦に特化した戦術。

 ・各勢力が独自の軍を持ち、連携は限定的。




■ ラグーンベルト(Lagoon Belt)


分類:空間構造帯/浮遊地理学/魔導環境理論



【概要】


ラグーンベルトは、空中に浮かぶ浮遊大陸群が形成・定着している「重力安定帯」の名称である。正式には《浮遊環域(ふゆうかんいき)》と呼ばれ、地上崩壊後の「第四次大気圏再構築」時に設計・構築された魔導重力平衡網グラヴィ=アクシスを基点として展開される。空間中において安定的な浮力・重力場を保つための環状重力フィールドが張り巡らされており、大陸や都市がその内部に存在することで落下を免れている。


【構造と機能】


ラグーンベルトは各グラヴィ=アクシス(軸柱)を中心に構成される。各軸柱には巨大な魔導炉と重力再制御炉が設置されており、それらが生成する“対浮力フィールド”と“相補重力波”により、周辺空域の重力的均衡が保たれている。ベルト状の配置は、地殻断片が浮遊しても衝突せず安定した航路を保てるよう設計された空間構造の名残である。


【物理・魔導特性】


・浮力場(Levitation Field):浮遊石と空間重力格子による、物理的反重力ではなく“場”としての安定性を持つ。

・相補波律制御(Counterphase Harmonization):各支柱から発せられる重力波形を干渉させることで、相対位置のブレを最小化。

・大気循環機構:魔導炉の余剰熱と浮遊炉の換気サイクルによって、ラグーンベルト内部には独立した大気環境が維持されている。


【戦略的重要性】


ラグーンベルトは地理的には「空の命綱」とされ、各支柱国家は自国領域内のベルト空間に対して厳重な管理体制を敷いている。支柱への干渉や、浮遊帯の重力調整不調は、直ちに浮島の崩壊と空域の混乱を引き起こすため、政治的・軍事的リスクの核心ともなっている。



1. 重力制御基盤グラヴィ=アクシスとの関係


ラグーンベルトの安定は、四基の重力制御柱(グラヴィ=アクシス)に依存する。それぞれの支柱は、空間上の特定位置(方位:東西南北)に配置され、重力波律(グラビトニック・リズム)を連携的に発振。これにより、ラグーンベルト内部の大陸浮遊体の“高度安定性”と“空間固定化”がなされている。


▼ 支柱名と方位:


・東柱:《アストラ=エリジア》:学術都市ルビアスが管轄

・西柱:《ヘカト=ギア》:工廠連邦ヴェルトライクが制御

・南柱:《ミレニア=コロナ》:神権領カド=エルの聖域に位置

・北柱:《フェンリクス=スパイン》:航路国家イグナ=フレアの中枢



2. 浮遊帯内部構造


□ 大気循環層(アトモ・コア)


各ベルト内では独立した大気の循環が生じており、“浮遊気圏”と呼ばれる層状構造によって気温・気圧・魔導粒子濃度が分布。高高度ほど魔導濃度が高く、逆に酸素濃度は低下する。


□ 重力網目帯(グラビト・メッシュ)


ラグーンベルト内部には“重力安定網”が張り巡らされており、各浮遊島の基盤部と《アクシス》をつなぐ重力ファイバー(不可視魔導糸)によって、落下を防いでいる。



3. 浮遊炉と安定機構


□ 浮遊炉(エアリアル・リアクター)

ラグーンベルト内の大陸や都市はそれぞれ独自の小型浮遊炉を内蔵しており、《アクシス》から受け取る重力調整信号(GCS)を解析・増幅することで浮力を保持。主炉が停止した場合、緊急浮揚炉が作動する設計になっている。


□ 浮遊炉の弱点と保守

・エーテル結晶の劣化による制御不全

・魔導気流の乱れによる波長干渉

・結界障壁の維持コストが高い(→国家財政に直結)



4. 政治・軍事的影響


□ 戦略資源としてのラグーンベルト

浮遊石鉱床、魔導流通ノード、空路制御点が集中しており、ベルト内部の支配は航路権・魔導利権と直結。そのため、国家・航団・空賊勢力が争奪戦を繰り広げる。


□ ラグーン条約(空の四国協定)

かつて四国家の間で交わされた浮遊安定維持の国際規定。だが現在は形骸化し、一部支柱周辺では非公認改修や結界の軍事利用が常態化している。



5. 浮遊地形の特徴とリスク


□ 空島の構造分類

 ・浮遊核付帯型(コア・ドリフト型):小規模で自律浮遊、航団がよく使用

 ・支柱直結型(ベース・リンク型):国家拠点級、安定性は高いが動かせない

 ・漂流断片型(フローティング・レリック):未制御、接近すると危険


□ リスク要因

 ・魔導嵐(エーテルサージ)による浮力不安定化

 ・軌道摩擦による支柱波長破綻

 ・空賊・兵団による支柱テロリズム



6. 神話的・信仰的要素


一部宗教勢力は、《グラヴィ=アクシス》を“天の柱”として崇めており、支柱への接触や干渉を神罰行為とみなしている。このため、技術者や空賊の一部は宗教的過激派と対立する場面も存在する。




【四大浮遊大陸の地理環境・構造詳細】



◆《リュミナシオン大陸》(ルビアス帝国領|東柱圏)


□ 気候と地勢:温帯高原地帯が広がり、南部は魔力の濃霧が漂う深いノクターン樹海が広がる。中央部には高地と渓谷が入り組む複雑な地形。

□ 都市構造:層状の浮遊都市アーケイン・コルドを中心に、半球型ドームで覆われた研究区画が点在。森と都市が混在した複合環境。

□ 特徴:大陸縁に沿って古代の魔導遺構が並ぶ。各所に自律浮遊島が散在し、天候や重力の変動が激しい“魔力気候圏”が存在する。


□ 帝都:ゼノグラート

古代魔導文明の遺構を再利用して築かれた、階層型の巨大都市。石造りと魔導ガラスを組み合わせた半円状の居住区が谷間に密集しており、上層には魔導研究院や天空図書宮が建つ。都市の周囲には調和の取れた農耕帯が広がる。


□ 他の主要都市:

 ・ノクス=フォージュ:濃霧林の中にある霧避けドーム都市。魔力研究の実験都市。

 ・セラナクの尾根:山腹に築かれた階段都市。魔力風の観測拠点。



◆《グラン=マギオ大陸》(ヴェルトライク連邦圏|西柱圏)


□ 気候と地勢:乾燥した岩盤台地と、鉄鉱を含む赤褐色の山脈が広がる。北西部には風化した金属砂漠イオニア荒原が横たわる。

□ 都市構造:機械都市メカノポリスを中心に、動力鉱脈に沿った工業都市群が縦断的に広がる。動く要塞都市や自走工廠も多数。

□ 特徴:地層から吹き出す鉱石熱風が航路に影響を与え、航空路が“熱波の迷路”と化す。空洞都市や地下帯も多数存在。


□ 帝都:デュランガルド

 ・地下層に張り巡らされた動力炉と、地表に広がる六角形の居住区画が特徴的な重工業都市。大地を切り崩して構築された工区ごとに、自走工廠が密集する“生きた機械都市”。防風塔と工業煙突が常に地平線を曇らせている。


□ 他の主要都市:

 ・ミル=バレット:飛空艇の艦隊整備基地を兼ねる交易都市。

 ・アーク・ヴァナード:廃鉱跡に建てられた研究・開発特区。



◆《ティール=ザイア大陸》(カド=エル王政領|南柱圏)


□ 気候と地勢:亜熱帯から準砂漠気候まで多様。中央は聖堂都市が点在する高台地形、南部には神聖林オーラフォレが広がる。

□ 都市構造:各地に円形神殿と浮遊修道院が配され、信仰によって構造が守られた空中都市群が繋がれている。浮遊神域も複数。

□ 特徴:大陸そのものが“聖域”とされ、侵入者は空律(空中宗法)により排斥対象となる。信仰風景と自然が不可分に絡み合う。


□ 帝都:アストリア神聖王国

聖なる台地とされる“神託高地”に築かれた聖都。中央には空に向かってそびえる《七階祈塔》があり、そこから都市全体が円形に広がる。神官層と一般層が居住区を明確に分けており、都市全体が宗教儀式に則って設計されている。


□ 他の主要都市:

 ・パエル=セレノ:巡礼者の宿駅として栄える商業都市。

 ・リナ=オルガ:聖域林の中に佇む隠修者の共同体都市。



◆《ヴォルニア大陸》(イグナ=フレア勢力圏|北柱圏)


□ 気候と地勢:寒冷地帯と黒岩の断崖が連なり、時折浮遊火山の噴気が空を覆う。各所に風穴や流動雲が形成する“空の亀裂”あり。

□ 都市構造:巨大港湾都市ストームブレイカーを基点に、多数の空賊拠点が崖上・浮岩列島に点在。空路の分岐点に宿る交易都市も。

□ 特徴:空賊団による自由都市連盟が大陸各地に点在し、秩序というよりは“力と航路による均衡”が保たれている。嵐の多発地域が恒常的に発生。


□ 帝都:ヴァルディナ

空裂渓谷にまたがって築かれた吊橋型の要塞都市。風雪を避けるように石造りの長屋が崖壁に沿って並び、上層には空賊議会の“黒翼会堂”が存在する。複数の空賊団が拠点とし、非公式ながら勢力圏の統治機能を持つ。


□他の主要都市:

 ・カイル=ブリッジ:複数の空路の交差点にある交易要地。

 ・フェルグ=コース:浮遊岩棚に築かれた集落。極寒地帯での自給自足を実現。

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