第3話

 日曜日。

 男は、暑くて外に出る気も起きず、布団の中でTwitterを眺めている。

 ふと、地方ニュースの一つに自分の住むアパートの住所がある。


  ”〇〇県□□市のアパートで火災があり、住人の一人の男性の遺体を発見”


  小さな四角の中の小さな動画。

 その小さな窓に、 半焼した建物がうつしだされる。

 男はギョとして、それを見つめた。

 半焼…焼け残った部分のその部屋。それは、どうみても、自分の隣の部屋。

 つまり、焼けた部屋は、自分が、いまいる、この、部屋。

  似たようなアパートがあるのだ そう思い直すの、に、

 Twitterの短い動画が、告げるのた。


「焼け跡から発見されたのは、この部屋に住む、会社員のはやしだ……」

「ぎゃあああ!」


 男は思わずスマホを壁に投げつけた。

 何故なら、動画は自分の名前を告げそうだったから。


 壁にゴンと当たったスマホは、そのまま抜け殻の様に沈黙した。

 やべぇ、壊したかも。

 あわてて、恐る恐る。矛盾した様子で、男はスマホを覗き込む。そして、よくみると、その動画の下にある一文を見つけて「なんだぁ」と思わず声に出して安堵した。

 その一文は。


「この動画はオープンAI生成のフェイク動画です」



「なんだ、悪質なネタ動画か……」

ひとりごとのように呟きながら、男は額の汗をぬぐった。

それでもおさまらない、バクバクする心臓を鎮めるために、スマホを持って立ち上がる。キッチンへ向い、冷蔵庫のドアに手をかける。

が。


 その一文の横にあるカウンターのような数字を見て、男の動きが止まる。

 いや、動けない。

 動けないのだ。

 男には、何が何だか、分からなかったから。



 再生数:0



2025.6.30

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