第5話

「かぁしゃ、まりょくあったー。」

「んー?そうよかったわねぇ…って!えぇ!?魔力見つけっちゃったの!?あらあら、どうしましょう…ディアークはまだ帰ってこないし…。ま、まぁ魔力を巡らせなきゃ使えないから…焦る必要はないわね、うん、でもディアークに相談しなきゃ…。………うちの子、天才かも知れないわ。」



母さんは後半自分に言い聞かせるようにそう話していた。

焦ってるなぁー。

でも母さん、うっすら記憶があるから、違いに気が付いただけで、天才ではないよ。


…でも心配しながら嬉しそうにしてる母さんを見てるとこっちまで嬉しくなるな!


それにしても、魔力を巡らさないと使えないのか。

そう言えばうっすら記憶でも、確かそんな感じだった気もするな。


あれ、魔法がなかった世界のはずなのに何でそう思うんだろう。

…まぁいいか、別に巡らせなきゃ使えないのは変わんないし。


「ルカ、魔力分かったら、今度は魔力を、体の中をぐるぐるさせることが出来たら魔法使えるようになるわよ。ただし!魔力がぐるぐる出来ても絶対に、魔法は使わないって約束よ?絶対、使っちゃダメ!分かったわね?」


また母さんに、怖い顔で、約束させるように、何度も説明される。

そりゃそうだよなぁ、だって危ないよ、ホント。


俺みたいな小さい子が、誰でも使える生活魔法だとしても、危ないだろう。

ただでさえ、ふざけたり、突拍子もないことをしでかす年頃だもんなぁ。


まぁそんな心配なら教えなきゃいいのだろうだが、使えるようになるかも、と期待と心配と両方の気持ちがあるんだろう。


さっきから、母さんを見ていると、ちょっと機嫌いいし、嬉しそうだし、でも心配そうだしの状態を、ずっと繰り返してるもんなー。

俺の母さん可愛いな!


俺は母さんとしっかりと約束をし、母さんと父さんの前以外ではやらない事を二人に誓う。

こういうのは、信用が大事だからね。うん、信用をしっかり得るには、きっちりと、しっかりと約束を守らなきゃいけないな。



それから俺は母さんの見える範囲で魔力を巡らせる練習を始めた。


だがこれは、結構難しい。凝り固まってるように魔力が動かないのだ。


俺が、うーん…うーん…。と難しそうに唸りながら、悩んでる様子を見て母さんは、ちょっとホッとした様子で、家事の続きを始めたようだ。



この魔力、なんか動かせないって感じより、凝り固まってて、ほぐさなければ動かない感じなんだよな。

俺は、巡らせるより、まずは、ほぐすイメージで、粘土をこねるように魔力を練る事にした。


その日から、俺の日課に、魔力コネコネが追加されたのだった。




それから数日が経って、俺の魔力は粘土くらいの柔らかさになっていた。

かなり頑張ったが、まだまだ魔力を巡らせれるような感じは全くしない。


多分、使えない人が多いのはこの辺が理由なのかもしれない。



魔法については、父さんからも、魔法がいかに危ないか、という事を何度も説明され、再び、父さんと母さんの前でしか魔法の練習は、やらない事と、もし巡らせることが出来たら必ず報告することを約束した。


子どもは忘れっぽいからな。

今でも時々、約束を覚えているか、確認のためだろう。何度もその話しをされる。


ちょっとだけ、しつこいとは思うが、それだけ心配されてるのが伝わるから、俺は真剣にその話を毎回しっかりと聞いて、ちゃんと約束もしている。


愛されるなぁと、両親に感謝しつつ、今日も朝早く起き、日課に励もうとしていた、そんな時、父さんに呼ばれた。



「ルカ、今日は一緒に外に出掛けるぞ。」



!!そうだった、魔法や魔力のことが夢中になり過ぎて忘れていた!

そもそも俺、外行きたいんだった!!


「やったーーーー!!」

「ふふ。ルカ、ちゃんと朝ごはん食べてからよー。」


はしゃぐ俺を見て、母さんは机に朝ごはんを並べながら、微笑んでいた。


ついに念願の外だ!忘れてたけど!


朝ごはんをみんなで食べ、外用の服なのか着たことない服に着替えて、準備満タンで父さんのとこに行くと、父さんは…なんと剣帯していた。


いつもより、さらにカッコイイ父さん!俺がキラキラした目で父さんを見つめていたら、ニヤリと笑い、俺を抱き上げ、片腕に座るような形で抱っこされた。


父さんに抱っこされると安定感あるよなぁ!

それに、高いとこから見える景色はいつもと違ってワクワクする。

…ちょっとゴツゴツしてるけど。


それにしても父さん、剣なんて持ってるんだ。あ、普段は俺に見えないところに閉まってるか、俺が触らないように目の前では付けないようにしてたのかもな。



「行ってくる。」

「ええ、気をつけて行ってきてね。」



母さんが父さんに軽めに、キスする。もう、毎日見てるから何とも思わないが、2人が仲良しなのが俺も嬉しく思う。


そして母さんは俺のほっぺにも、ちゅっ、としてくれた。

むふふ、俺もついに、行ってらっしゃいのチュウして貰えるまで成長したのかと、嬉しくなって、ドヤ顔で行ってきます!を告げる。



父さんがドアを開け、階段を初めて降りることに、ドキドキしながら降りて行く。

階段を降り切ると、また扉があり、そこを開けると扉がたくさんある、廊下に出た。


ここは何だろ。綺麗にしてあるが使ってないのか、灯りも俺たちが通るとこしかついてない。廊下を進んで行くとまた下に降りる階段があった。


俺が思った通り、俺たちが住んでいるのはやっぱり三階だったんだな。


そこを下って行くと、たくさんの椅子と机、バーカウンターみたいな形のもの、その奥には調理場のようなものがチラッと見えた。


え、ここって、ご飯屋さん的なテナントじゃん。各階に人の家があるのかと思ってたけど、もしかして、ここも含めて全部が俺ん家ってことなのか?


そう思っていると、店の入り口の方と思われる場所から反対の方の奥のドアまで行き、ドアを開けた。


そこからは外に出たようで、井戸やら桶やらが置いてある、裏庭と思われる場所に出た。

それを横切ってさらに進むと扉がありそこから外へと出た。


するとそこは、この間、窓から見えた、大通りへと続く路地へと、出たのだった。

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