第12話「我ら!三馬鹿!!」

朝。少しだけ肌寒い空気が、窓の隙間から漂ってくる。ぼくは、秘密基地の古いシャツの上で目を覚ました。鼻をふんすと鳴らして、伸びをすると、なんだか今日は特別な予感がする。


(ふふ、今日は何か面白いこと起きそう!)


台所から、カリカリの皿に落ちる音。おやじのいつものルーティンだ。でも、今日はなんかちょっと違う雰囲気。おやじがコートを羽織る前に、チラッとぼくを見て、小さくため息をついた。


「おい、マル猫。今日は大人しくしてろよ。変なやつらが来るかもしれないからな」


(変なやつら? おやじ、また危ない仕事の匂いがプンプンだ!)


ぼくのしっぽが、ピコッと動く。猫センサーがピピッと反応してるけど、今日は尾行より、もっと大事な任務が頭に浮かんだ。


(そうだ! おやじの留守を守るなら、仲間が必要だよね!)


ぼくは、野良時代の最高の友達を呼ぶことにした。そう、ぼくの最強の相棒たち――我等三馬鹿!


---


昼下がり。裏路地の水たまりが、キラキラ光ってる。ぼくは、いつもの待ち合わせ場所――ゴミ箱の裏の小さな広場にダッシュ!


「にゃー! どんちゃん! ぽこちゃん! 出ておいでー!」


カサカサッと音がして、茶虎のどんちゃんがのっそり顔を出す。目がちょっと涙っぽくて、いつもの泣き虫モード全開。


「まるちゃん……急に呼ぶから、ボク、びっくりしたよ……何か怖いこと?」


「ふふ、どんちゃん、ビビりすぎ! 今日は大事な任務だよ!」


続いて、ぶち猫のぽこちゃんが、シャキッと胸を張って登場。リーダー気取りのキラキラした目が、ぼくをじっと見てる。


「まるちゃん、僕に任せな! どんな任務でも、僕がバッチリ解決してやるぜ!」


(うん、ぽこちゃん、今日も気合は十分!)


ぼくはゴロンと転がって、ふたりに今日の作戦を説明した。


「おやじが、なんか危なそうな仕事に絡んでるっぽいんだ。だから、ぼくらの秘密基地で、おやじの家を守る準備をするよ! 三馬鹿の力で、おやじをバックアップだ!」


どんちゃんが、鼻をすすりながらうなずく。


「ボク、怖いけど……まるちゃんが言うなら、がんばるよ……」


ぽこちゃんは、しっぽをブンブン振って、めっちゃノリノリ。


「よーし! 僕がリーダーとして、まるちゃんの基地を最強の要塞にしてみせる! さあ、行くぞ!」


「まるちゃん! どんちゃん! ぽこちゃん!我ら!三馬鹿!!」


三人(三匹?)で、ガッツポーズならぬガッツにゃーを決めた!


---


おやじの家に到着。ぼくは、ふたりを連れて秘密基地――台所の床下の隠しスペースへ。どんちゃんは狭いトンネルにビビりながら、ぽこちゃんは「ここ、めっちゃかっこいいじゃん!」って目を輝かせてる。


「ここが、ぼくの秘密基地! おやじのシャツ、ツナ缶の蓋、キラキラ玉……全部、ぼくの宝物だよ!」


どんちゃんが、シャツの匂いをクンクン嗅いで、ちょっと安心した顔。


「うわ、まるちゃん、これ、ほんと落ち着くね……ボク、ちょっとだけ怖くなくなったよ……」


ぽこちゃんは、キラキラ玉を転がして、テンションMAX。


「まるちゃん! この基地、めっちゃポテンシャル高いぜ! ここで、僕らがおやじさんを守る作戦を立てるんだな!」


ぼくは、ふたりに任務を振り分けた。


「どんちゃんは、監視ポイントで外をチェック! 怪しいやつが来たら、すぐ教えてね。ぽこちゃんは、基地の防衛強化! 何か使えるもの、探してきて!」


「ボク、がんばるよ……!」


「任せな! 僕、絶対最強の防衛グッズ見つけるぜ!」


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夕方。おやじが帰ってくる前に、基地はめっちゃ進化した!


どんちゃんは、監視ポイントでスズメを数えながら、ちゃんと外を見ててくれる。ぽこちゃんは、裏路地から拾ってきた古い鈴と、空き缶を組み合わせて、“侵入者警報システム”を作り上げた!


「これで、誰かが近づいてきたら、カランカランって鳴るんだ! 僕のアイデア、完璧だろ?」


(ぽこちゃん、ちょっとドヤ顔すぎるけど、いい感じ!)


ぼくは、基地の真ん中に、おやじのシャツをさらにふわふわに整えて、“作戦会議スペース”を完成させた。


(ふふ、これで三馬鹿の基地、準備万端!)


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夜。おやじが帰ってきた。


コツコツと靴音が近づいて、ドアがカチャッと開く。ぼくは、どんちゃんとぽこちゃんを押し入れに隠して、いつもの“かまってポーズ”で出迎える。


「おい、マル猫。……なんか、今日、家がやけに静かだな」


おやじの声、いつもよりちょっと不思議そう。ぼくは、しっぽをピコピコ振って、心の中でニヤリ。


(ふふ、おやじ、気づいてないけど、今日の家は三馬鹿パワーで守られてるんだから!)


カリカリの皿を置くおやじの背中には、アニキがいつものようにドーンと構えてる。ぼくは、押し入れの隙間から、どんちゃんとぽこちゃんにウインク。


「まるちゃん、ボク、ちょっとドキドキしたけど……おやじさん、無事でよかった……」


「ふっ、僕の警報システム、今日は出番なかったけど、次はバッチリ活躍するぜ!」


ぼくは、ふたりに小さくうなずいて、心の中で叫んだ。


(まるちゃん! どんちゃん! ぽこちゃん!我ら!三馬鹿!!)


---


その夜、秘密基地で、三馬鹿は丸くなって寝た。


おやじのシャツの匂いに包まれて、どんちゃんは安心した寝息、ぽこちゃんはちょっと大きないびき。ぼくは、ふたりの間に挟まって、しっぽをピコピコ。


(おやじ、これからもぼくらが守るからね! アニキも、ちゃんと見ててよ!)


夢の中で、アニキがでっかく吠えて、「お前ら、いいチームだな!」って笑ってくれた。


ぼくのしっぽ、寝ながらもピコピコ動いてた。



~つづく~

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