第8話 落とし物
終電間際の電車で、財布を落とした男性。
電車と駅のホームの間だ。取るにはホームに降りなければならない。
「あの!」
すると、後ろから声を掛けられた。
視れば女性が彼の財布を持って立っていた。
見間違いかとも思ったが、間違いなく自分の財布だ。
そんなはずはないと、ホームを見るがさきほどまで落ちていた場所に財布がない。
不審に思いつつも、彼は礼を言い財布を返してもらおうと手を伸ばす。
すると女性はなぜか悲しそうに言った。
「次は落とさないでくださいね。拾いに行くの、すごく大変だったんですから」
その瞬間、財布を渡そうとした女性の手がボロッと取れた。
男性は悲鳴を上げ、財布を放りだして駅から逃げていく。
翌日、男性が財布を拾った場所を調べると、数日前に彼女が電車にひかれて亡くなった事故現場だった。
「だから大変なんだって!!」
耳元で女性の叫ぶ声が聞こえた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます