ダリア

@tori-kuroneko

第1話

「最近暑すぎるよね〜」

「つまらないテレビ多いよね〜」


今夜も行きつけのレストラン、窓際いつものあの席で、彼女とそんな他愛もない話をしていた


ホールのスタッフに炭酸水を注いでもらいながら外の風景を見ていた


外には名前が分からないが赤紫と綺麗な花を咲かせていた


「別れよう」

『え?なんで?』

「好きな人ができた」

『好きな人って?』

「ま、そういう事だからさよなら」


他愛もない話をしていたら急に彼女から言われた


(うしろの席のカップル別れ話してる)

(マジで!?理由は?)

(なんか、彼女に好きな人ができたらしい)

(あー、彼氏さんドンマイ)

(彼女さんそのまま帰ったよ)

(マジか、エグ)


彼女が店を出て行くのを何もできないまま、後ろの席のコソコソ話を聞いていた

人の話勝手に聞くなよ


ま、明日からは俺もそうしないと

人の不幸を聞いていないと自分の不幸に潰されそうになる


窓際をみると、彼女が新しい彼氏らしき人と仲良く歩き出している

新しい彼氏がもうできていたのか


相変わらず花は綺麗に咲いていた

花の名前なんだろ

ふと気になり調べてみた

今の時代は写真からも探せるから便利だ


カシャ

ふーん、ダリアって花なんだ

花言葉は、移り気…

今の俺らにピッタリの花…


そう思うと涙がこぼれ落ちてきた

どこで間違ったんだろ?

今まで変わらずだったんだけど…

それが嫌だったんだろうか…


そう考えたところで、彼女は戻ってはこない


窓際のダリアをみたら、俺に言いたいことがあるように咲いていた



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