第36話:セミファイナルC組「ROUGE NEON」控室
セミファイナル、次はC組。
【C組】ROUGE NEON×LUX NOCTIS
ROUGE NEON(ルージュ・ネオン)
ジャンル: ガールズ・グラムロック × ビジュアルパフォーマンス
コンセプト: 音・光・魅せる力で会場を熱狂させるステージ・エンターテイナー
キーワード: 華・挑発・視覚演出・女の子の“強さとキュートさ”
ボーカルの七海(高2)
バンドのフロントに立つ圧倒的カリスマ。
表現力豊かで観客の感情を揺さぶるボーカルとダンスが持ち味の、
舞台全体を計算して動ける“戦略型センター”
キャッチコピーは、「歌姫、夜を照らす」
ギターのルカは(高3)
ミステリアスな雰囲気と鋭いギタープレイが特徴的。
クールなルックスと力強いパフォーマンスのギャップが人気。
ギターソロでは一転、感情全開の演奏で観客を圧倒する。
キャッチコピーは、 「氷の微笑、炎のギター」
キーボードのミサは(高2)
音響と視覚演出を担う美的センスの要で、
シンセでネオン風の電子音を作り出す“ステージデザイナー”。
クールビューティだが意外とおしゃべり好き。
キャッチコピーは、「光を操る音の妖精」
ドラムのひより(高3)
小柄ながらエネルギッシュなドラマー。
テンポのキープ力とリズムの“跳ね”がバンドの屋台骨
MCでは明るく会場を巻き込むムードメーカー
キャッチコピーは、「ビートのプリンセス」
ベースのれいな(高2)
大人びた雰囲気のセクシー担当
ステージではクールな視線としなやかな動きで観客を魅了
実は作曲・編曲にも関わる“影のプロデューサー”
キャッチコピー:「静けさが一番セクシー」
代表曲:『電撃ロマンス』
おしゃれでキャッチーなガールズグラムロック。
衣装・ダンス・照明を駆使したステージ構成。
ROUGE NEON控室 演奏30分前。
ボーカルの七海は、鏡の前でアイラインを引きながら、ぽつりとつぶやいた。
「……ほんとは、こんなメイク、したない時もあるんだわ。
でもさ、ステージでお客さんが笑っとると、歓声が聞こえると……
“また頑張らなかん”って思うんだわ。」
横でギターのルカが手を止めて、七海をちらりと見る。
「七海でも、そう思うんだ。……実はあたしも同じだがね。
今の姿は、ほんとの自分じゃないんだわ。
でも、この見た目のおかげで、うちらは“アイドルバンド”としての場所を掴んだのも事実だぎゃ。」
七海の口元が一瞬だけ固まった。
返事より先に、手にしていたリップブラシの動きが止まった。
「アイドルバンド……かぁ。
正直、今までは演奏の実力より、見た目で評価されとったんだわ。
でも……それでもええ、ってどっかで思っとったんだら。」
その言葉に、ドラムのひよりが椅子を回しながら加わった。
「うちは、もう嫌だわ。
うちらはちゃんと“バンド”としても認められんといかん。
今回の大会は、そういうステージだら?」
七海はひよりを見て、力強く頷いた。
「そうだがね。だからこそ、この大会で優勝せないかんのだわ。
アイドルやなく、“バンド”としてのROUGE NEONを見せつけるために。」
ベースのれいながニヤリと笑って言う。
「でもさぁ、このナイスバディに惹かれてくる男子を味方につけとくと、商売としては悪くないがね?
……ステージ降りたら、ファンサもちゃんと仕事だでさ。」
その場に笑いが広がる。
キーボードのミサが、モニターを閉じながら静かに言った。
「結局さ、うちらはアイドルでもあり、バンドマンでもあるんだわ。
なら、どっちも受け入れて、どっちでも頂上獲ったらええがね。」
七海はそれを聞いてあたふたする。
「それ……あたしが言おうと思っとったセリフだがね!」
また全員が笑い声をあげた。
その笑いの奥には、メンバーの揺るぎない覚悟が潜んでいた。
七海が鏡の前でアイラインを引いていると、スマホのLINE通知音が鳴った。
画面には「REJECT CODE」の舞依からのメッセージが表示されていた。
舞依:頑張ってください
グランドファイナルで待ってます 一緒に盛り上げましょう!
その文面を見た瞬間、七海は思わずにやける。
自分と同じ頂上を目指すライバルからの、まっすぐな応援。
スマホを持ったまま、自然に親指が返信を打ち始める。
七海:応援メッセージ、ありがとね〜
舞依ちゃん。あんた、意外と可愛いとこあるがね〜
メイク中の自分に、ふと“素顔”の表情が戻っていた。
舞依とのやりとりが、小さな力をくれた気がした。
スマホが軽く震え、七海からの返信が届いた。
舞依はすぐに画面を開き、その一文を読んだ。
七海:応援メッセージ、ありがとね〜
舞依ちゃん。あんた、意外と可愛いとこあるがね〜
その瞬間、舞依は思わず頬を赤らめる。
「な、なにこれ……」
と小さく笑いながら、スマホを持った手で自分の顔を仰いだ。
「でも、七海さんらしい。いつもの七海さんだ。
うん、これなら大丈夫、グランドファイナル進出間違いなし!」
“あの七海”からの気さくな言葉が、思った以上に嬉しかった。
舞依はスマホをそっと画面伏せにして、胸の奥にしまった。
演奏開始10分前
ROUGE NEONはステージに向かう前に、円陣を組んだ。
七海がメンバーに出陣前の掛け声を掛ける。
「うちら、ただのかわいいじゃ終われんのだわ! 光って、鳴って、揺さぶって―― 今こそ、アイドルでもバンドでもなく、“ROUGE NEON”として刻む!
……魅せようや、うちらの“素顔の本気”!」
この掛け声を皮切りに、ドラムのひよりがスティックを掲げて叫ぶ。
「よっしゃー!ROUGE NEON爆発させるがね!!」
キーボードのミサはモニターを閉じて、
「光、音、魂――全部フルMAXだで!」
ギターのルカはクールに髪をかき上げて一言
「今夜、冷たく燃えるで……」
ベースのれいなが口元で指を立ててウィンク。
「“静かな誘惑”が、一番響くでね♡」
七海は拳を高く突き上げて、もう一度言う。
「ROUGE NEON、出陣だわ――!!」
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