情報収集

「ふぅー」

 

 噎せ返るような熱気と匂いが充満する洞窟の中で、僕はそこに置かれたベッドに腰掛けて葉巻を吸う。僕特性の魔力回復薬を入れた葉巻だ。

 これで少しでも魔力の回復を早めようとしていた。


「それで?行為は終わったんだし、お代を頂戴しようか?」


 葉巻を吸ったまま、僕は視線も向けずにベッドで横たわっている山賊へと声をかける。

 既に二人は僕との激しい行為で気を失い、今、意識を保っているのは一人だけだ。


「お、お代……!?」


「そう。お代。お前らさ、結構前からここを根城としているよね?」


「えっ……?あっ、うん。そ、そうね」


「君たちさ、今の北の荒野で大量発生している魔物については知っているでしょ?その、魔物が大量発生する原因みたいなのに心当たりない?」


「……あぁ、なるほど。そういうことか。あたしたちと行為した理由はそれが、目的で?」


「いや?別にそれは僕の趣味。話を聞くだけなら軽めの拷問だけで十分でしょ」


「……ッ!?!?」


「それで?何か知っている?」


「え、えっと……だな。ま、魔物が大量に現れるようになる前、俺たちは上空で魔法を使う存在を確認したぞ。知りたい情報は、それだろ?多分、今回の魔物大量発生は……多分、時間や位置的にも、見たのは私たちのところだけだと思うぞ」


「なぁーるほどね」

 

 ビンゴ。

 この山賊のアジトを見つけた時、もしもこの荒野で誰かが暗躍しているのだとしたらそいつを見ている可能性がある、と思って近づいたんだよな。

 ちゃんと僕の思惑はドンピシャで働いてくれた。


「どんな人影かは?」


「……わ、わからない」


「……うーん」


 正直、もう帰ってもいい。

 もう既に十分過ぎるほどの働きをしていると思う。もう既に禁書庫に入れるくらいの貢献はしている自信がある。ここから、大量の魔物発生の真相まで探して……なんてまでやる必要があるかどうか、ということまで考えると、うーん、と悩まざるを得ない。

 女王様は許してくれるかな?今の僕の現状で。


「ほ、他にもそうだな……ッ!?えーっと、えーっと」


 なんてことを考えていた中で、ベッドに転がっていた山賊の一人が慌てた様子で更なる言葉を話そうとしてくる。


「ん?あぁ、情報としてはもう十分だよ」


 僕が意味深に『うーん』なんて言ったせいでお代として足りなかったかも、と不安にさせてしまったようだ。


「誰かが暗躍しているという情報が欲しかっただけだから」


 誰かが暗躍していることを確信してその痕跡を探すのと、確信しないで痕跡を探すのとでは雲泥の差がある。


「まっ、ありがと。お代はこれだけで結構。また何処かで会えたら良いね……まぁ、山賊やっているうちは僕に会えないと思うけど。冒険者にでも転職して王都に来られるようになったらぜひとも僕のお店に来てね」


「へぁ?」


 とりあえず、考えるの後でいいや。

 もうここにいる用はない。

 僕は山賊の人達に別れを告げ、元の拠点への帰路についた。

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