精霊

 僕の戦闘方法は結界で身を守り、魔砲で攻撃する。

 これだけのたったシンプルなもの……ではあるが、他にも僕の手札は存在する。

 この世界にはハイポイズンスネークであったり、龍であったりの魔物がいたり、エルフなどの亜人がいたりする世界。実に多種多様な種族、ファンタジー的な存在がこの世界にはいる。


「ありがとうね。二人とも」


 僕の手札。

 それはファンタジー的な種族の塊である精霊の召喚。それが僕の手札であった。大地を支配する精霊が地面を動かして龍を捕まえ、天空を支配する精霊が龍へと雷を落とす。

 二人の強力な精霊と共に僕は魔砲を振るうのだ。


「ガァァァァァァァアアアアアアアアアアッ!」


 大地に捕まれ、天より雷を受ける龍はそれでも暴れ狂い、僕の方へと迫ってくる。

 大地の子も頑張ってくれてはいるが、龍の強引な動きを止められていない。


「魔砲」


 荒れ狂う龍の動きを空で回避し続ける僕は魔砲を乱れ打ちする。魔砲が龍の鱗を破壊して肉を貫いて血を吹き出させる。既に龍の煌びやかであった鱗はズタボロとなり、その全身は血に濡れている。

 それでも、龍が止まることはない。

 僕の方へと迫り、その口よりブレスを向け続けている。


「……重た」

 

 それらのブレスを打ち落としながらも、僕は攻撃を続ける。

 時間をかけてでも、確実に殺す。そんな方針を固めて戦い続ける僕に対して、龍は全力投球だ。普通にやっていても勝てないと悟った龍がいきなりその口より血を吐き、それを僕に向けてくる。


「ちっ……」


 流石に血をこちらに吐いてくるのは想定外だった。

 常に張っていた結界が血に濡れ、視界が遮られる。ここで、視界の確保のために結界を解くのは……いや、解くしかないかっ、逃がすわけにはいかないっ。

 龍の頭が遠のいていく気配を感じた僕は悩みを振り払った結界を解く。


「ぐっ!?」


 それと、龍の尾が僕の体を唱えるのはほぼ同時だった。

 

「ガァァァァァァァアアアアアアアアアア!」


 地面に向かって打ち落とされた僕へと龍はブレスを放ちながらこちらへと迫ってくる。


「……くっ!」


 ブレスには魔砲で。

 だが、ブレスと魔砲を互いの位置でぶつけ合っている以上、僕と龍の位置は変わらない。僕が下で、龍が上だ。龍はブレスを吐きながらも迫ってきており、こちらを飲みこまんばかりだ。

 打てる手で一番わかりやすいのが逃げだ。

 僕は大地の精霊に頼んで地面を下げてもらって龍から逃げていく。


「ほっ!」


 下へ下へと落ちて行って、その果てに僕がたどり着いたのは最初に、龍がいた巨大な地下空間だった。

 そこを光の魔法で照らしあげた僕は空中で軌道を変えて龍から逃れる。


「ガァァァァァァァアアアアアアアアアア」


 龍は、地面をぶち抜いて再び地下へと戻ってきた。


「失敗作なだけはあるね、これ」

 

 しかし、そのころにはもう龍の中にあった魔力はほとんどなくなっていた。

 完成してさえすれば、空気中にある魔力を吸い、自分で魔力を生成し、ブレスなどで使った魔力を賄うことが出来たのだろう。

 だが、未完成であったこいつはそれらの機能がないのか、使った魔力が回復することはなく、既に魔力はすっからかんだった。


「ガァァァァァァァアアアアアアアアアアッ!」


 それでもなお、龍は僕の方へと口を開けて突撃してくる。

 既に、その口からブレスは出てこない。


「魔砲」

 

 龍はその身を魔力で覆って僕の攻撃を和らげていた。

 だが、もはや今の龍はそれを行えるだけの魔力もまともに残っちゃいない。


「アアアアアアアァァァァァァァァァァァァァ───」


 龍は真正面から僕の魔砲を受け、その身を消し飛ばした。

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