龍
魔物の咆哮がこの場に響き渡ると共に大地が裂ける。土煙が舞い上がり、空を曇らせる中、その中心から何かが姿を現した。
まず、うねるような黄金の鱗が陽光を弾き返した。次に、天を睨むような鋭い双眸。威厳に満ちた長い髭が風にたなびいた。
「龍かっ!?」
龍。
それは、神話の中にしか存在しないはずの、荘厳にして荒ぶる存在。
龍は地を這うように身をくねらせ、裂けた地面を踏み砕きながら、次第にその全貌を顕にしていった。背には山を越すほどの隆起した鱗。尾は稲妻のようにしなり、口からは青白い炎が漏れ出す。
天に向かって伸びていった龍は途中でその長い胴体を折り曲げて螺旋を描き、地上に立つ僕とリーシアに向けてその視線を落とす。視線から感じるのは殺意。それも、対象を認定しない殺意。僕とリーシアだけではなく魔女教徒たちも対象。
地上のありとあらゆる生命をぶっ潰すとでも言いたげな視線を感じられた。
「こいつぁすごい……」
「あ、……ぁ、あ」
これは駄目だね。未完成だって言うのに化け物だ。
「逃げてろッ!」
「……ッ!?の、ノアッ!」
リーシアの腕を掴み、そのまま彼女のことを転移魔法で遥か遠くへとぶっ飛ばす。
「ふぅー」
既に魔女教徒たちも撤退を始めている。
そんなところで僕が逃げ出せば龍はこのまま大森林で暴れ続け、そのまま大森林以外のところにまで被害を広げていくだろう。
ここで僕が止める必要がある。
「じょーと。龍と一回戦ってみたかったんだよね」
龍との戦い。
物語のクライマックスみたいでワクワクするじゃんね?
「ガァァァァアアアアアアアアアア」
「魔砲」
龍が口を開くと共にノータイムで放たれたブレスに対して魔砲をぶつけて相殺。
そのまますぐに僕は転移魔法で龍の上空を陣取り、頭に魔砲を叩きつけてそのまま地面にまで打ち落としてみせる。
「ガァァァァアアアアアアアッ!」
渾身の魔砲ではあった。
だが、龍はその体をすぐに起こし、空に浮かぶ僕の方へと睨みつけてくる。その姿からはあまりダメージを感じられない。
「楽には勝てないね」
何発、魔砲を叩き込めば龍は倒れるか。
倒れるまでに僕の魔力は足りるのか。倒れるまでに僕が龍の攻撃を食らってダウンせずに済むか。
「来いよ、僕の手足たち」
僕は杖を回し、更なる魔法を発動する。
「ガァ……グァ!?」
その魔法と共に、大地が動く。
再び僕の方へと向かって伸びてこようとしていた龍のことを大地より伸びていた手が掴んでそのまま地上へと引きずり落としていく。
そして、天より雷が龍に向かって落ちていった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます