たのみごと
「それで?僕を呼び出した理由って一体何なの?」
夕食に舌鼓を打ち、食べ終えたところで僕は口を開く。
「あぁ、そうだな……今、北の方で起きている大騒動は知っているか?」
「ん?もちろん知っているよ。今、北の荒野で何故か魔物が大量発生し、その集団がうちの国に雪崩れ込んでいるでしょう?大変だ、って聞いているよ」
英雄として最前線に立つテールが大戦果を挙げた果ての休暇として自分の元に来た時、そのような話を聞いた。
「あぁ、その騒動だ。今、その騒動の解決の為に多くの兵力が北の大地に割かれており、我が国では現在、深刻な人手不足に悩まされている」
「おや?もしかして、これは僕がその人手不足の穴埋めをさせられる形?」
「そうなるな」
僕の言葉にお母さんは頷く。
「お前が魔法の研究に明け暮れていることは既に国内へと広く広まっている事実だ。しかし、お前が戦っているところを見たことのある者は誰もいない。その上で改めて問おう。お前は、強いのか?」
「自信ならあるよ」
お母さんの質問に対し、僕ははっきりと自信があると回答する。
だが、その回答を僕がした瞬間、お母さんを含め、この場にいた全員が残念そうな雰囲気を醸し始める。
「何を頼みたいのかはしらないけど、僕なら問題なく実行できるという自信があるよ。だから、任せてくれていい」
お母さんたち的にはここで僕に自信がない、と言って欲しかったのだろう。僕を前線にまでは向かわせたくはなかったのだろう。
だけど、割と僕は行く気マンマンだった。
今の生活もいいけど、最近は刺激が少なくてマンネリ気味だったのだ。ちょっと遠出したい。
「……親心として言おう。任せたくはない。出来るだけ、危険がないところで過ごしていて欲しい。本来、お前はそうなるべき人間だ。もっと、おしとやかにだな……」
「僕の自由は誰も妨げられないよ。こうして、呼ばれて顔を見せに来ているだけで勘弁してよ」
ここに来れば絶対にお店のことで嫌味を言われる。
それを承知の上で来ているのだ。ちょっと僕が自由過ぎるくらいは認めて欲しい。
「それで?僕に頼みたいことって何なの?」
「……南の大森林。オーロイの大森林で大量発生が確認されたハイポイズンスネークの駆除だ」
「ちょうどよさげなミッションじゃない?ぜひ、僕に任せてよ。しっかりとこなしてみせるから」
ハイポイズンスネーク。
そいつは実にいい。ちょうど僕もそいつの素材を魔法の研究に使いたいなぁ、なんて思っていたのだ。本当にちょうどいいじゃないか。
「それじゃあ、明日。早速向かうことにしようかな?今日はここで寝るから……メイドの皆さん。僕の部屋とお風呂の方もお願いしますね?それじゃあ、ごちそうさまでした」
「あっ、ちょっ!」
話は終わった。
そう判断した僕は早々と立ち上がり、そのまま浴槽の方へと呑気に歩いて向かって行った。
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