こちら貞操観念逆転世界の女性用風俗店です!
リヒト
第一章
プロローグ
男女比1対10000。
それが星降る双天の太陽が輝く剣と魔法の世界の男女比である。狂っているというほかない。この世界における男性は生まれた瞬間で特権階級であることが決定されており、選ばれた女性と子作りをする義務は負わされているとものの日常生活で苦労することはない。
そんな男性陣とは異なり、この世界の女性たちは結構悲惨だ。
この世界の女性たちが主に困っているのは自身の性欲処理である。男女比1対10000というありえない世界で受け継がれてきた女性たちの遺伝子には強力な男を求める欲望。性欲が強く残されている。
このあまりにも強靭過ぎる性欲に振り回されながらも男には巡り合えず、悶々としながら働くことのない男性たちを養う分も含めて頑張って働いているのがこの世界の女性たちだ。
男女で大きな待遇の格差がある世界と言えるだろう。
「ふわぁ」
そんな世界で、僕は男として生を受けていた。
おかげさまで僕は人生イージーゲームを送らせてもらっていた。
そんな僕は現在十五歳。人生イージーゲームでここまで生きてきた僕は今、自分の店をどんと構えて生活を営んでいた。
「し、失礼します……」
そんな僕のお店に一人のお客さんが来店してくれる。
「んっ、いらっしゃいませ」
やってきたお客さんは一人の可愛らしい少女だった。
その手には僕が作った一つのチケットが握られている。
「あ、あ、あの……ほ、本当に」
「ん?」
「え、えっちなものが、あるんです、か……?」
その子が告げた言葉は中々に刺激的なものだった。
「ほ、本当に……だ、男性の方が、噂に聞くようなお店、を?」
この世界の男性はほとんど、いや、というかほぼすべてが女性嫌いを拗らせている。
普通にこの世界の女性の異性への食いつき方があまりにも怖過ぎる例が多すぎるのだ。この世界で生きる男児は女性に関するトラウマを持っている。
男性陣は女性たちを性獣として見下し、汚らわしい存在としている。後、ほんのりとこの世界の女性たちが男性陣に持っているただ私たちに生かされているだけの性欲処理装置という評価を機敏に感じ取っているところもあるのだろう。世の男性は本当に女性たちを嫌っているのだ。
だが、その上で僕は例外。男女比が普通に1対1の現代日本で大学生まで生きてきた記憶をもつ転生者である僕は例外であり、この世界の女性たちへの嫌悪感なんて何一つとして持ち合わせていなかった。
「うん、そうだね。間違いないよ」
こんな世界で僕が構えた店は、前世だったらR18間違いなしの風俗店だった。
女性への嫌悪感を持っていないその上で、僕は精神的だけでなく体的にも特別だ。この世界の男たちが遺伝子的にもう男としての部分が退化し尽くし、短小かつ月一で出せれば御の字という状態の中で、僕は前世と同じレベル。毎日最低二回は出したいという人間のまま、今世を送っていた。
性の伝道師を自称し、ただ、そんなことをしていたからこそモテることはなく生涯童貞。大学生になり、童貞卒業を風俗店で行うことを検討し始めていた頃に死んでしまった僕がこの世界で自分の立場を利用し、エッチなお店を開くのは至極当然のことだったと言えるだろう。
「いくらでも見て行って」
「わ、わわぁ……ほ、本当に、使用済み、ですか?」
「うん。そうだよ」
そんな当店に並んでいるのは僕が使用した衣類や歯ブラシなどの日常品たちだ。
基本的な商売方法としては自分の私物を売りさばいていくようなものだ。風俗店といっても、実際の行為をそう頻繁にやっていられない。店の人間が僕だけなのだ。
行為だけを売っていたら、一日に来てもらえるお客さんが限りなく少なくなってしまうからね。
だからこうして一旦は私物を売る店としている。
「それで、その身なりを見るに……市井の子だよね?貴族ではなく」
「そ、そうでしゅぅ……や、やっぱり私なんかが来ていいところではぁ」
「その手にあるのは僕が発行した優先券でしょう?」
「そ、そうでしゅっ」
「それは商店街のビンゴの景品として発行されたもので、間違いない本物。その優先権を持っている以上、君は僕のお店に来る権利があるから安心してよ」
顔を真っ赤にしながら話している少女のことを眺めながらここまでレジの前で座っていた僕は立ち上がってその少女の元へと近づいていく。
「それじゃあ、とりあえず優先券をもらうね?」
「は、はひっ……」
「それで?名前は?」
「れ、レーヌです」
「レーヌ。良い名前だね」
「ひひゃっ!?」
僕は優先券をもらいながら少女、レーヌの肩へと手を回して自分の方へと抱き寄せる。
「せっかく来てくれたんだ。サービスしないとね。お買い物の前に」
「は、はいっ」
至近距離から言葉を囁かれているレーヌは恍惚とした表情を浮かべながらこちらを見つめてくれている。
うーん。それにしても、この市井の子から漂ってくるお風呂に入れていない可愛い子の酸っぱい匂い。実にそそるね。
「よっと」
やることを決めた僕は一旦店の扉を開け、そのまま店に掲げていた店主在籍中と書かれていた看板を裏返して店主不在中に変える。
「さっ、それじゃあ、奥に行こうか。うちの店にサービスがあることは知っているよね?ここだけ、無料にしてあげる。だから、僕と来てくれる?」
「は、はい……」
「そう。それじゃあ、行こうか」
店の扉を閉めた僕はそのまま、レーヌと共に奥のベッドのある部屋へと向かって行った。
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