No.007 ぐらぐら side-ユキ/レイ

 1節 自分たちだけの


 私たちはバンド活動をしている。それにあたって、やらなければならないことがある。

 作曲。

 コピーバンドなら別にいいけど、私たちのバンドはそういう訳でもないので必要になるはず。そうなると、作曲できる人できる人も必要になる。

 たぶん、やるなら私だ。

 私はもう学校には通っていない。他の3人はみんな学校に行っているけど、私だけは、言ってしまえば暇人だ。つまり私が一番音楽に時間を割ける。

 本当に私がやっていいか許可を取ることにした。

 一応、個人じゃなくてグループで。

〈作曲誰がやるとか決まってるっけ?〉

〈そういえば決めてなかったな〉

〈僕は別に誰でもいいよ〉

〈うちも!〉

 自分から進むのは、かなりする。

〈じゃあ私がやってみてもいい?時間もあるし〉

 少しの間は返事が来ない。私だけ緊迫する時間だ。

 しばらくすると、祐樹から返事が来た。

〈僕は別にいいよ〉

 そして月花ちゃんと和也さんからも。

〈俺もかまわんぞ〉

〈あたしもいいよ!〉

 私は、安堵の溜息をついた。



 2節 幼馴染の話


 最近、裏背零僕の幼馴染を見ていて思うことがある。

 危なっかしい。

 まあバンドを組む前から高校中退したりODしたりと危なっかしい所はあったが、それがここ数週間、顕著なのだ。バンド活動という新しいものに加え、ODに頼らない歌声を目指すという挑戦。さらに、元から不安定なメンタル。

 それが合わさり、今まさに危機に陥っているんじゃないか、と。

「心配しすぎ」とか「気持ち悪い」とか言われたらそれまでだが、それでも心配になってしまう。

 昔から見ていた僕からすれば、だが。

 もしかしたら想像以上にマシかもしれないし、もっと不安定かもしれない。

 自分以外誰にも分からない何かと戦っているからこそ、孤独になってしまう。

 それを少しでもサポートできるようにしなければ。



 2節 読めない雰囲気


 日曜日。夜のスタジオ練の日だ。その前に、4人で夕食を食べるが。

 理由は簡単。和也さんと月花が僕と零より遠い所に住んでいるから。移動だけで時間がかかるので、夕食をこちらで済ませるのだ。

 それで交通費の分、夕食代は僕と零が負担する。そこそこ良い落とし所だろう。

 そんな1日も3回目。そろそろ慣れてきた頃だ。

「こんばんは」「こんばんはー」

「こんばんは〜」「やっほー!」

 またいつもの駅前で会う。

 合流できたら、すぐにファミリーレストランに行く。恐ろしい程安い学生の味方だ。そこで夕飯を食べる。

 今週どんなことがあったとか、今日はどんな練習をしようとか、色々話す。

 僕はこの時間が結構好きだ。

 そもそも家族とより友達と食べる方が美味しいし。レストランでそんなことを言うのもなんだが。

 そして、終わったらスタジオへ行き、練習。それも終わったら解散、という流れ。

 なんだかんだ楽しいし、充実している。

 そろそろスタジオへ行こう。



 4節 一日中


 最近、一日中ずっと作業している気がする。

 だから寝るタイミングがバラバラ。それに合わせて起きるタイミングもバラバラ。

 不健康なことこの上ない。今に始まった話じゃないけど。

 みんなはちゃんと学校行ってるのになあ。でも私も私でやることやらないと。

 作曲に、歌に、振り。意外とやることが多い。

 しかも全部、ゆっくり練習していかないと絶対にどこかでつまずくやつ。加えて時間もかかる。

 そうじゃなくても躓きそうってのは置いておいて。

 夕方くらいになると祐樹たちとも連絡がつくから、作曲とかは後回しかな。

 親がいない時間だからできることをやっていこう。

 暇があるとすぐ病んで何もできなくなる。私の悪い癖。

 だから中退してODもリスカもするようになっちゃった。

 ずっと精神が安定しないの、本当に良くない。

 またループに入りかけてるし、歌でも歌おうかな。

 ほんと、嫌になる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る