(8)みき – わたしのスタイル

 年内最後の出勤日、いつものように接客した。30代のサラリーマンが、みきちゃん、いやしてよ、っていうから、好きだよ、って耳元でささやいて、ぎゅって抱きついてあげた。うわ…みきちゃん、最高、ってお客さんが目をうるませているのを見て、つい笑っちゃった。わたし、こういうプレイが好きなんだよね。心が動く瞬間が。


 この日はじめて店長に、みき、これからはお前がエースだ。頼むぞ、っていわれた。かほさんが退店するらしい。店での人気は高いのに、いったいどうしたのだろうか。


 休憩室でチーズケーキを食べながら帰る準備をしていたら、かほさんが来た。かほさんは、女の子が働きやすい店を作ることにした、と一言だけ残して去っていった。


 かほさんに会ったのは、その日が最後だった。

(第3章・完、第4章へ)


(第3章「作品解説」)

https://kakuyomu.jp/works/16818622175437139934/episodes/16818622175640887064(CatGPTって、なに?)

https://kakuyomu.jp/works/16818622175437139934/episodes/16818622175437190031

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