(7)かほ – 新天地にいどむエース

 年の瀬の12月。この年いっぱいで退店することにした。どうやらわたしはエースの座から転落したようだ。店長の視線が冷たい。しかし、退店を決意したのはそのことだけが理由ではない。この店で本数がどうしただの、数字がどうしただの、日々追われることにほとほとつかれたのだ。もっと女の子の働きやすい店を作ることはできないか。考えぬいて、新たな一歩を踏み出すことにした。


 いよいよ最後の出勤日。その夜、これまでとちがう接客対応をこころがけた。甘い声でささやきながらお客さんとふれあう。もちろんよろこんでくれるお客さんもいるのだけれど、翔太のほうがもっと気持ちよさそうだった。店長の何本抜くか、が頭から消え、翔太のぎこちない笑顔がいつまでも脳裏のうりから離れなかった。


 最後の接客を終えると、休憩室にはみきがいた。みきはチーズケーキを食べていた。みきに新しい店を作るためにこの店をやめると伝え、その場から立ち去った。

(つづく)


(第3章「作品解説」)

https://kakuyomu.jp/works/16818622175437139934/episodes/16818622175640887064(CatGPTって、なに?)

https://kakuyomu.jp/works/16818622175437139934/episodes/16818622175437190031

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