(7)翔太 - かわいい笑顔

 今日は職場の宴会。A社との業務提携ぎょうむていけいを成立させるプロジェクトが完了した打ち上げだ。1次会は海鮮居酒屋を貸し切り、うまい魚に舌鼓したつづみを打つ。海鮮にはちょっとうるさい結香にも、この店はお眼鏡にかなったようだ。同期の3人で会話がはずんでいるのが見える。


 宴会もそろそろ終わり。大した仕事もしなかったのに、課長がえらそうに演説するのが聞こえてくる。結香と目があった。今度見に行く映画の相談もしていないし、ふたりで抜け出すよう誘ってみよう。店を出たところで結香に声をかけた。また映画を見に行く相談をしようと誘った。お酒を飲みながら決めましょうという返事だった。


 行き先はいつか入ってみたいと思っていたバー。ちょっと背伸びをして、ウィスキーをロックで注文した。結香の注文はおしゃれなカクテル。慣れた注文の仕方を見ていると、通いなれているのかもしれない。


 結香との会話は楽しかった。ぼくが恋愛映画の不満を語ったら、結香は笑い転げていた。これまで見たことのないくらいかわいい結香の笑顔。ひとりじめできたことがうれしい。結局、見に行く映画は決まらなかったけれど、今度は結香が選んだ映画を見に行きたい。終電が近づいてきたので店を出た。


 結香と駅までの帰り道、課長の悪口で盛りあがる。会話に夢中で歩いているうちに、いつの間にかあやしいネオン輝くエリアに足を踏みいれていた。

(つづく)


(第2章「作品解説」)

https://kakuyomu.jp/works/16818622175437139934/episodes/16818622175639994320(CatGPTって、なに?)

https://kakuyomu.jp/works/16818622175437139934/episodes/16818622175437190031

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