EP4.見かけ倒し

「ギャォオォォォォ!!」

モンスターは雄叫びをあげると、鋭利な刃物のようなかぎ爪を獲物を捉えんとばかりにトルティヤに向かって突き出す。


「ふん…当たらぬのぉ」

しかし、トルティヤはそれを、まるで紙のようにひらひらとかわす。


「…フゥ!」

しかし、モンスターが後ろに反り返ると同時だった。


「ブォォォォ!」

口から強烈な火炎放射を放つ。

辺りの空気が一瞬で歪み、焼けた鉱物の匂いが鼻をつく。


「火まで使うのか…危ないのぉ」

それでも、トルティヤは紙一重で回避する。

そして、魔法を唱える。


「水魔法-断罪の礫だんざいのつぶて-」

トルティヤは両手を前に掲げる。

すると、周囲の大気中の水分が凝縮し、意思を持つかのように形を変え、複数の水の塊となってモンスターに向かって放たれる。


「ギャォォォォ!」

モンスターに水の塊が直撃し、分厚い鱗が砕け、バランスを失い、フラフラと空を飛ぶ。


「所詮は見かけ倒しじゃったか…」

トルティヤは追撃の魔法を放つ。


「雷鳴魔法-雷光千鳥らいこうちどり-!」

トルティヤの頭上にバチバチと電気が集まる。

そして、それは巨大な鳥を模す。


「ゆくのじゃ!」

トルティヤの合図とともに鳥がモンスターに向かって飛んでいく。

そのまま、モンスターに直撃した。


「ギャォォォォ!!」

激しい電撃を受けたモンスターは、全身が焼け焦げ、黒煙を上げながら、そのまま崖下へ落ちていく。


「なんじゃ、大したことないのぉ」

トルティヤはその様子を眺めると、小さく息をつき、先へと進んだ。



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