第14話 欲速不達、見小利則大事不成
彼の朝は一杯のコーヒーから始まる。ドリップ式ならすぐに淹れられるが、サイフォン式となると、それなりの時間が掛かる。けれど、彼はサイフォン式に拘っている。
湯が移動しているのを見ながら、仕事モードへとシフトしていくのだと彼は語る。
――面倒じゃないかって? それは思った事がないですね。この手間がいいんですよね。そうそう。朝から贅沢な時間の過ごし方でしょ? 仕事が始まる三時間前には起きるようにしてるんですよ。起きてすぐなんて頭が回らないし、体も硬いですからね。そんな状態でいい仕事なんてできません。
早起きは三文の徳であると言いたいのだ。そうは思っていても、やはり朝はぎりぎりまで寝ていたいというのが本音だと思うのだが……。
――多くの人がそう思ってるでしょうね。それは、仕事=疲れるという先入観といいますか……その仕事をやらされているという気持ちがあるからなんでしょうね。
僕ですか? この仕事に就いてからは仕事が面倒だと感じた事は一度もないです。
楽しいんですよ。この仕事が。ははは。まぁ、なかなかそうは思えないですよね。僕はいい従業員に囲まれていると思います。彼らが居るから仕事が楽しいと思えるのかもしれませんね。
会社が大きくなればなる程、人間関係が複雑になり悩みの種になっていくのは仕方がない事だと思う。全ての従業員が同じ温度で仕事に向き合っているとは限らない。
――それはその通りだと思います。従業員同士がお互いをどう思っているのかは分かりません。けれど、僕は皆よく働いてくれていると思います。業務上、注意したり叱責したりはもちろんあります。仕事ですからね。
だけど、一度言えば皆理解してくれますし、後に引く事はないですね。それぞれ得意な事は違います。ですから、補い合って仕事をしてくれています。
社員の教育が徹底されているという事か。
――ははは。そんな、僕が優れた経営者って。僕なんて全然ですよ。やりたい事をしてるだけ。その延長線上に仕事が乗ってる感じですかね。
共同経営者が居るんですけど、ほぼ彼の功績です。彼は面倒見が良くて街の人達からの信頼も厚いんです。彼が居なければ、成功してないと思います。
そう言って、彼は地平線に視線を向けた。彼が見ている先には何が視えているのか。これからも彼の躍進から目が離せない――
「お前、誰に向かって話してんの? 寝ぼけてんの?」
後ろを振り返ると、ウマルが立って怪訝な目を向けてきた。
「うお! 来とるなら来とるって言うてやー。びっくりしたわ」
まさか、今の独り言を聞かれていたのか?
「いや、ぶつぶつ言ってるから……考え事してんのかと思って、暫く様子見てたんだけど……。一人二役して話してるっぽかったから、何か怖くて話し掛けれなかった」
なんて事だ! 『情熱大陸』ごっこをしているのをウマルに聞かれてしまった……。
「いやー何て言うんじゃろー。青年実業家のドキュメンタリー番組ごっこしとっただけじゃ」
俺は、恥ずかしさを隠すように頭を掻く。人に聞かれたくない事第17位じゃわ。なんて事だ。
「相変わらず変な事してんなー。第17位って……中途半端な。上位が気になるんだけど。今のでも相当恥ずかしいと思うぞ。優れた経営者って自分で言ってるしな。まぁ、聞かれたのが俺でよかったな。他の人に聞かれてたら、更に頭がおかしくなったと思われるぞ?」
俺はコクコクと頭を上下に動かす。
「……ん? 更に?」
その言い方は、俺が既に頭がおかしい人認定されているような物言いではないか。誤解を招くような言い回しだとウマルを注意しなければと思った。
「そう。更に。薄々みんな気付いてるから……今更な感じはするけど。そんな事より、俺今日は午前中は店に居ないから。お前は店に居れるんだろ?」
最近のウマルはますます忙しそうだ。俺よりも精力的に仕事をしてくれている。彼は経営や人材を適材適所に配置する能力に長けているのかもしれない。
「そうじゃなー。俺は店に居るつもりだけど。どしたん? ウマルはどこ行くん?」
何かあった時の為に、一応居場所は把握しておかなければ。
「学校に行ってゲブと少し話てから、工場の視察に行く。近況を報告して貰って、働いてる上で不便な事はないかの確認かな。改善点があれば、力になれる所は協力しようかと思って。イツキも気になってただろ?」
これは誰だ! こんなにまで経営者然としているとは。俺なんて、転移してもなおモブ会社員のままだというのに……。悔しいが認めよう……。ウマル、お前が代表取締役兼社長だ……。
「モブ会社員がどんなのか知らんけど、人に全責任丸投げするなよ。言っとくけど、お前が代表取締役? だからな。そもそもお前が一緒にやろうって誘ってきたんだから」
エスパー? 人の心の中が読めるのか。恐ろしい男だぜ。
「いや、さっきから心の声全部口から出てっから。やっぱ寝ぼけてんだろ? しっかりしてくれよ。従業員に迷惑掛けんなよ」
「は、はい……。善処します……」
そう言い残してウマルは直ぐに店から出て行った。店にはぞくぞくと皆が出勤してくる。
「イツキさん! おはようございます! 今日も宜しくお願いします」
出勤してくる子は皆元気に挨拶をしてくれる。やはり、挨拶は一日を気持ち良く始める為に重要な要素だと思う。俺も気持ちを切り替えなければ。
「皆おはよう! 今日も張り切ってお客さんを迎えような!」
客室係りは仕事を終えた夜勤組が寮に帰る時間だ。申し送りを俺、ヤーサミーン、日勤の子達と共に聞くと日勤の子達は仕事を始める。
「今日もお疲れ様! しっかり体休めてーな」
夜勤組を見送ると、俺も店の準備を始める。
「イツキー居るか?」
大きな声で店に入って来たのはアトゥムだ。
「俺はここじゃ! 何か用か?」
俺は入り口に突っ立ているアトゥムに近づいて行く。
「今日、午後から商工業組合に顔出せるか? シューとドルススさんが話しがあるって。俺も一緒に顔出せって事だから……何かあったんかもな」
「午後からなら顔出せる。俺とアトゥムが呼ばれるって珍しいな。何か問題があったんかもな。店のラッシュが落ち着けば行けるけど」
そのラッシュがいつ落ち着くかは日によって違うので、細かな時間の指定が出来ない。
「じゃあ、昼は俺もここで飯食うわ! それで、ラッシュが過ぎたら一緒に行くか」
「また昼に」と言ってアトゥムは店を後にした。
昼になり、徐々にお客さんが増え始めてきたと思ったら、あっと言う間に目が回る忙しさになる。
「ナジャー! 手が空いたらこっちの席の片付け! マジュドはこちらの席のお客様のご注文を聞いて!」
忙しい時は一種のトランス状態になる。考えるより先に口が勝手に指示を出している。瞬間で誰が何処に居て何をしているかを見極めているのだと思う。正直、この時の記憶はあまりない。正に無我夢中というやつだ。
昼過ぎにようやく、客足が途絶え、従業員一同肩から力が抜ける。やっと順番に昼休憩が取れる。出掛けていたウマルも帰ってきたので、俺は商工業組合に呼ばれている旨をウマルに言ってから、待ってくれているアトゥムと共に商工業組合に足を運ぶ。忙しい合間を縫って握り飯を作ってくれていたので、歩きながら食べる。
本当にどの子もいい子で気が利く。俺は従業員に救われていると思う。
「アトゥムさん! イツキさんも。ドルススさんなら部屋に居ると思いますよ」
受付のお姉さんはこちらに気付くなりそう教えてくれた。俺たちが来たら部屋に通すように言われているのだろう。
アトゥムがドルススの部屋の前で止り、ドアを軽くノックする。中から「どうぞ」と声がして、ドアを開ける。
「あらー。やっと来たわね。待ってたのよー」
応接セットのソファにはシューも座っていた。
「俺がなかなか店抜けんくて。遅くなって申し訳ない」
俺はドルススとシューに頭を下げる。
「そんなに畏まらないくていいわよ。事情はちゃんと分かってるから。二人もそこに座って」
ドルススは時間が惜しいとばかりにソファに座るように促す。ドルススもシューも珍しく真面目な顔をしている。
「じゃあ、早速本題に入るわね」
ドルススはこちらに向かい、そう切り出す。ドルススはシューに視線を転じ、頷くと今度はシューが口を開く。
「ここ最近の話しなんだが、王都で変死事件が相次いでいる。急に喚き散らしたかと思うと、何かに追われたように走り出す。他の人には何から逃げているのか分からないが、本人は確かに『こっちに来るな』とか『やめろ』とか言いながら走っている。で、そのまま川に飛び込んだり、塔の上から飛び降りたりして命を落とす。助かったとしても、まともに生活出来ない程重傷になっているらしい。
それだけならまだいいが、全く面識ない人を斬り殺したり、親や友人を悪の手先だと言って殴る蹴るの暴行を加えたり。
捕らえて、何故そんな事をしたのかと問うても全く要領を得ないらしい。まともに話しも出来ないと。兎に角、狂っているらしいんだ。
平民だけじゃない。貴族でもそうなる奴も出てきている」
シューはこめかみを揉みながら、深い溜息を吐いた。その後をドルススが継ぐ。
「『パパルナ』って知ってるかしら?」
ドルススは俺とアトゥムを交互に見ながらそう言った。俺は今初めて聞く言葉だった。それはアトゥムも同じだったらしく、顔を見合わせた後、ドルススに向かい首を横に振る。
ドルススの話しを要約するに、麻薬の一種らしい。外国から入ってきているらしい所までは分かっているらしい。それが、ここメンネフェルで密輸されているのではと言う話しだ。
近年、メンネフェルでは大々的な政策が講じられ、他の地域からの労働者、貴族の避暑地としても人気が出てきている。それ故に街には見慣れない人物が溢れている。以前であれば、地元民でないと目立っていたが今や見慣れない人だらけだ。
またアセプト公国との貿易も始まり、港に見慣れない船が停まっていても何の不思議もないのだ。そう考えると、もう少し防犯面を見直したほうがよかったかも知れない。
「それで? その話を俺たちにしてどうしろと?」
アトゥムも年に一度見れるか見れないかの大真面目な顔をして、ドルススとシューを睨んでいる。自分の好きな街を
皆で悩んだり衝突したりしながらも町おこしに全力で取り組んできた。やっとその成果が出て、見向きもされなかったメンネフェルがいい意味で注目を集めてきているのに……。
土足で踏みにじった奴らには地獄を見せてやらなければ気が済まない。
「ちょっと、ちょっとぉー。そんな物騒な顔しないで頂戴。私の玉が縮こまっちゃうじゃないのー」
何故かドルススは頬を赤らめながら股間を手で隠す。……ドルススの玉……想像したくない。それはアトゥムも同じだったようで、隣で物凄い形相をしている。
「あらー。想像しちゃった? 仕方がない子たちねー」
シューまでもが真顔で固まっている。以前いた世界ならセクハラで訴えられてもおかしくない。
「話しを戻すわね。特別こうして欲しいとかはないの。ただ、ちょっと気を付けて街を見て欲しいの。路地裏なんかで密売してたりしてないか。この街の人達が麻薬中毒になる所なんて見たくないから」
アトゥムは一点を見つめながら、熟考しているようだ。
「港の奴らには話したのか? キモンさんやホセさん。後は漁師のビルやバシルとか」
「キモンやホセには話しを通してる。けど、漁師には話してない。ビルやバシル、ハリーに話すと無茶をしそうだからな。危険な目にあって欲しくないから、話してない」
シューの話しを聞き、アトゥムも「その方がいいだろうな」と頷いている。
「なるべく、街の人には知られたくないの。だからあんた達も黙っていて頂戴。あっ、後はゲブちゃんにも話してるわ。ゲブちゃんも色んな所に顔が利くから。知ってて貰ったほうが都合よかったから」
ドルススが思い出したように言う。
「ウマルには? 話してええんか? あいつも視察に行ったり、精力的に街の人の為に行動しとるから」
俺がウマルの立場でも教えて欲しいと思う。だから、ウマルには知っていて貰いたい。俺もその方が行動しやすいと判断したからだ。
「もちろん。ウマルちゃんには話して。ウマルちゃんも街の中で顔が利くから情報を集めやすいと思うしね」
ドルススは直ぐに了承してくれた。
アトゥムと俺は話しが終わると直ぐに商工業組合を後にした。
「なぁ、イツキ。さっきの話しどう思う?」
道すがらアトゥムが唐突に訊いてきた。
「どう思うとは?」
「俺さ、貴族が関わってんじゃねーかと思うんだよな。王都で流行ってるって話だったし。貴族の中にも中毒になる奴が居るって言ってたし」
アトゥムが言わんとしている事が理解出来ず、俺はまた訊き返した。
「それがどうかしたん? まぁ、アトゥムが言う通り、俺も貴族が関わってると思うけどな。外国から密輸してきて、王都まで運ぶってなるとそれなりにまとまった金が必要になるじゃろうし。もし、商人だったとしても大分デカい店構えの所じゃろうな」
アトゥムが呻っている。
「下手に手を出すと、こっちの命が危ないよな。捕まえたいのは山々だけど、証拠固めが必要か。もしくは現行犯じゃないと……」
そこでやっと理解した。アトゥムは捕まえるつもりなのだ。ドルススには街の様子だけ見ろと言われたが、アトゥムはそれだけでは気が済まなかった様だ。
「アトゥム……、先走ったらおえんぞ。俺だって、許せない。じゃけど、まずはしっかり下調べせんと。間違えましたじゃ済まんからな」
俺は、アトゥムにしっかりと釘を刺す。昔から頭に血が昇ると、そのまま突っ走ってしまう。けれど、貴族相手にはそうはいかない。
「分かってる。心配すんな。俺だって命は惜しい。で? お前はこれからどうすんの?」
さすがのアトゥムもそこは分かっていたようだ。俺は胸を撫でおろす。
「俺はこれから店に戻ってウマルと話すわ。ドルススさんもウマルにも知って貰ってたほうがいいって言ってたしな」
「じゃあ、俺はその辺ふらふらしつつ街の様子見とくわ。何かあったらまた教えてくれ」
俺とアトゥムはスークの入り口辺りで別れ、店に戻った。店に戻った俺はウマルを従業員の休憩室に誘い、今聞いてきた内容を伝えた。
「そんな事が……。ここではそんな噂聞いた事ないな。庶民よりも貴族をターゲットに売ってるんだろうな。それなりの金額で。それよりも『パパルナ』だっけ? そんな植物聞いた事ねーぞ。この国にはない植物か……。俺とイツキがまだ冒険者始めたばっかの時に、香草や薬草採取の依頼ばっか受けてたけど、一度もそんな物見てねーよな?」
ウマルは目線を天井に向け、記憶を探っている。
「うん。俺も聞いた事もねぇわ。じゃけん、どんな効能というか――作用? があるか分からんのよな。解毒薬みたいなん、作れたらええんじゃけど……。実物見てみんと解析も出来ん」
俺は唸る。実物さえ手に入れば、それを解析して重症の患者にも有効な分解剤が作れるかもしれない。こうしている間にも街の人に魔の手が忍び寄っているのではないかと気持ちが急く。
「おい。落ち着けよ。お前がそんな顔してたら、店の奴らが心配するぞ」
ウマルに言われ、思考の渦の中から引っ張り出される。
「そんな顔って?」
そんなに怖い顔をしていたのだろうか。自分の顔をぺたぺたと触る。
「ん? そんな真面目な顔してたら、店の奴ら心配するって。お前、いつも間の抜けた顔してんのに」
ウマルがけらけら笑う。
「いつも思うけど、お前、俺に対して容赦ねぇよな。そんなにいつも馬鹿みたいなお顔してるかなー」
顔を引き締めようと、両頬を手で張った。痛い……力加減を間違えて、両頬に紅葉のように痕が残った。ウマルは抱腹絶倒している……。
「そがん笑わんでもええが……。ウマルは少しは労りの心を持ったほうがええわ……」
「い……や……労わってるよ……。笑い過ぎて、死にそう……はははは」
ウマルが笑い転げていると、ジャウハラが慌てるように足音をバタバタとさせやって来た。ドアをノックし……いや、半ば叩いている様な大きな音がした。ジャウハラはそのまま喋る。
「イツキさん! ウマルさん! あの、アトゥムさんが血相変えて店に来てます。2人を呼んで欲しいって。急いで店に出て来て下さい」
もう何か掴んだのか。俺とウマルは聞くなり飛び出して行った。ジャウハラは邪魔にならないように後ろに引いていてくれた。
アトゥムが俺とウマルを視認するなり、大きな声で
「ここにアスィーラ来てねぇか?」
と訊いてきた。てっきり麻薬の話しかと思っていたので拍子抜けした。俺とウマルは立ち止まって、互いに顔を見合わすと「知らん」と言いたげに2人して首を振った。
「いや……ここには来てねぇみたいじゃけど?」
店にいる子達にも聞いてみたが、今日は誰もアスィーラを見ていないらしい。
「さっき、ギナーさんの店に行ったんだが……。昼過ぎにおつかいに行ってから戻ってこないらしい。スークに行って話を聞いても、おつかいに行っていたはずのアスィーラの姿を誰も見てねぇって……。だから、俺、ここに来てんじゃねーかって、思って……」
様々な所を探し回ったのだろう。顔から滝のように汗が流れている。
「誰か、ジョッキに水と氷を入れて持ってきてくれん? 後はおしぼりも」
手の相手そうなウェイターの子にお願いした。アトゥムに渡すと、ジョッキいっぱいの水を一気に飲み干し、氷をぼりぼりと貪るとおしぼりで顔を拭いた。
「はー生き返った。ありがとう」
アトゥムはウェイターにお礼を言うと、ジョッキとおしぼりをお盆の上に乗せた。それから、俺とウマルに向き直ると今までの経緯を話し始めた。
昼のラッシュ時間を終え、遅い昼休憩を終えると、ギナーはアスィーラにおつかいを頼んだ。いつも行くスークで全て買える物ばかりなので、スーク以外寄る店はない。友達に会うにしても、いつもギナーに言ってから出るらしいが誰と会うとかは言ってなかったらしい。
アスィーラがギナーの店を出てから既に4時間程経っている。
「それはおかしいな。夜の仕込みもあるから、もし友達と偶然会っても15時か遅くても16時には店に戻るはずじゃ。俺がギナーの店で働いてる時からそうじゃったからな」
これは……もしかすると、何か事件に巻き込まれてるかもしれないと頭を過った。しかし、事を急いてはいけない。こんな時こそ冷静にならなければ。
「欲速不達、小利を見れば則ち大事――by 孔子――」
『えっ?』
アトゥムとウマルは怪訝な顔をしている。
「物事を早くやろうと焦るあまり、目的を達成できない。こんな時こそ冷静でおらんとな」
俺は補足説明を添える。
「確かに。ひとまず、街の人に聞き込みだな。ウマル、イツキ借りるぞ」
アトゥムが俺の腕を引いていく。
「分かった。こっちは任せとけ! 誰か来たら、俺からも聞いてみる」
アトゥムは手をひらひらさせて、強引に俺を連れだした。
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