第11話 足場を与えてくれ、そうすれば地球すら動かして見せよう

 アセプト公国の使節団が訪れた後、オフサルマパティでの話題はそれで持ち切りだった。

「いやー、まさかリーナちゃんがあんな大役を任される程偉いお貴族様とは思わんかったなぁ。儂……リーナちゃんに失礼な態度とってなかったか心配になったわい」

 店に来ていたバシルが腕を組みながら天井を見上げている。

「それ言ったら私もだよ! 慣れ慣れしくしてたかも……」

 ダフニも両手で顔を覆いながら嘆いている。

「領主もリーナに敬語で話してたしなぁ」

 コスタスも何処を見るでもなく視線を遠くへ向けながら言う。

「まぁ……今更嘆いても仕方があるまい。なるようにしかならんのじゃからな」

 他人事だと思ってアステアこと、ジュブニ=グラトは愉快そうに笑っている。

「いや、お前……いつの間にそんな皆と仲良くなったん? もうモモンガの姿にはならんでええんか?」

 津波の1件以来、アステアはほぼ人型のまま店でくつろいでいる

「なんじゃ。イツキはこっちの姿のほうがいいじゃろう? 自分で言うのもなんじゃが……なかなかの美少女と自負しておる」

「いや、俺はもっと大人な女性のほうが好みなんじゃけど……」

「なんじゃつれないのぉ」

「それにしても、あの使節団の責任者らしき人……すごかったな」

 ウマルは思い出してニヤついている。

「ホンマじゃわ。あの人……圧がつえぇんよ」

 俺は思い出して身震いする。

「イツキに御執心だったな」

 他人事だと思ってウマルは楽しそうだ。

「まぁ、なんにせよ無事に終わってよかった。前日にリーナちゃんからお願いされた時はどうなる事かと思ったけど」

 ヤーサミーンは胸を撫でおろした。


 使節団が訪れて1か月過ぎた頃

「ちょっと! イツキちゃん! アセプト公国の使節団が訪問された時に何したのよ!」

 ドルススさんが珍しく、血相を変え店に飛び込んできた。

「あら? ウマルちゃん、イツキちゃんは?」

「えっ? さっきまでここに居たんだけど……居ないな」

 そう言いながら2人で店内を見回している。

(やべぇ……俺、何か失礼な事したんじゃろうか。不敬罪で打ち首とか勘弁してぇよ……。このまま裏口から――)

「ドルススさん、何かあったんですか? イツキさんならここに居ますよ!」

 そう余計な事を言ってくれたのは、ウェイターのジャウハラだった。

「ちょっ……ジャウハラ何バラしてくれとん? そりゃねーわー」

 小声でジャウハラに物申すと

「えっ……言ったらまずかったですか? すみません。そうとは知らず――」

「いや、えんよ……。ジャウハラは悪ぅない」

 俺は意を決して、ホールに出て行った。

「ドルススさんーご無沙汰してますぅ。今日はどうされたんですかぁ? お昼ご飯……にはちょっと早いですよねぇー店もまだ準備中ですし」

 様子を伺いつつ猫なで声で話しを逸らそうと試みた。

「違うわよ! あなた、アセプト公国の使節団が訪問した時なにやらかしてくれちゃったの!」

(おえんかったか……)

 話しを逸らすのに失敗した俺は潔く覚悟を決めた。

「いやー何もしとらんと思うんじゃけど? 何かクレームがきたとか?」

 心当たりが全くない。俺の対応は適切だったと思いたいが。

「国王陛下から私とイツキちゃんに王都に来いって手紙が届いたのよぅ。お怒りだったらどうしましょう」

 ドルススは自分で両肩を抱く。

「え? 今なんて?」

(国王陛下がなんとかって聞こえたんじゃけど……。それはないじゃろ。面識ないしな。俺、疲れとんじゃろうか。耳がよく聞こえんようなったな。中身がアラフィフじゃから、耳がとおえなったか)

「だーかーらーなの!」

「ん? 誰が呼び出されたん?」

「もう! 若いのにしっかりしてよね! 私と! 分かった?」

 如何……眩暈がしてきた。

「えっと、何で?」

「知らないわよぅ! それしか書かれてなかったんだから」

「いやー無理! 無理だわー。無理ですねー。無理を通り越しての無理ですわー」

「『無理』しか言ってないじゃないの。一度言われればわかるわよ。でも、無理なのが無理なんだから腹括んなさい!」

(なんじゃーとるんじゃ、この人は。前の世界で社長と面談した時でさえ胃がいとうなったうのに⁉ 言ってみれば日本の総理大臣に呼び出されたのと同義! 俺を胃潰瘍で殺すつもりなんか?)

「ウマル―! お願いが……」

「いや、俺が行ってどうすんだよ! 呼ばれてんのはイツキだろうが!」

「そんな……裏切り者! だって、俺謁見の仕方とか知らんしさー。それこそマジで不敬罪で打ち首になりそうじゃもん」

「じゃもんってお前……。俺だって知らねーよ! 元ストリートチルドレンだぞ? 舐めんなよ?」

「アルテアーなんか、完璧な謁見の作法が出来る魔法とかないん? 神なんじゃろ?」

「神が人間の些末な決まり事を知っていると思うか? 神を舐めるでないぞ」

「じゃぁ、ウマル一緒に付いてきて。共同経営者だしさー」

「店はどうすんだよ? 2人が留守にするのは不味いだろ。行って帰ってくるだけでも1か月近くかかるんだぞ?」

「それを言われると……ぐうの音も出ません……」

 仕方なく、ドルススと2人で王都に行くことになった。

 前の世界でも砂漠地帯には行った事がなくて、どんなに過酷な物か知らなかった。日陰は一切なく、太陽は容赦なく照らしている。肌を出していると火傷しそうになるので暑くても肌が出ない様に頭から大判のストールのようなものを被っていた。

 ラクダは屈んでも高く、乗るのに大分苦労した。馬すら乗った事がなかったので知らなかったが、あんなに腰にダメージを受けるとは思いもしなかった。

 干からびそうになりながらも、なんとか王都に到着した。

「帰りこそ俺は死ぬかもしれん……」

「何訳わかんない事言ってんのよ! 若いくせに」

 ドルススはいつもと変わらない。俺は国王と会う前に既に満身創痍な状態だ。

「まさかこのまま王宮に行くとか言わんよな?」

「まさか! こんな格好で国王陛下の前に出れる訳ないでしょ! 今日は宿屋でゆっくり休んで、身支度を整えてから明日の午前中までに王宮へ行くのよ」

(助かった。さすがにこのまま行くとか言われたら、血を吐きそうじゃった。今日は風呂に入ってゆっくり寝たい)

 ドルススと俺は宿屋を探した。メンネフェルとは違いさすが王都。宿屋はそこら中にある。

「イツキちゃん! お部屋はどうする? 私と相部屋にする? うふ」

「別々でお願いします」

 俺は、即座に店主にそう告げた。

「もう! イツキちゃんたら照れ屋なんだから」

 ドルススの言っている事は冗談なのか本気なのか分からないから怖い。

 部屋に荷物を置くと、そのまま大衆浴場へ向かった。本心を言うなら即座にベッドに倒れ込みたかったが、髪の中がジャリジャリと砂が入り込んでいる。服もはたくと砂が出てくる。この砂を洗い流さないと。

「はー極楽じゃなー。やっぱり風呂は最強の癒しじゃわ」

 砂と一緒に疲れまで流れていっているようだ。長湯をしているとそのまま風呂屋で寝てしまいそうだったので、即座に上がり宿へ戻った。

「あら、イツキちゃん風呂屋に行ってきたの? 誘ってくれたらよかったのにぃ。照れ屋さんなんだから。それより、ご飯はどうするの? 私はこれからどこか食べに行こうかと思ってるんだけど」

「いや、俺はもう寝るからえーわ」

「そっ? じゃぁゆっくり休んでね」

 今は飯より睡眠が最優先だ。やっとゆっくり寝れる。王都までは辛かった。一応転移魔法は使えるのだが、一度訪れた場所のみ有効なので実質使えてもあまり意味はなかった。しかし、これで王都までは転移魔法が使えるようになったのでよしとしよう。

 そんな事を考えている内にいつしか俺は眠ってしまっていた。

 

 翌朝、ドルススの声で目が覚めた。

「イツキちゃん? 起きてる? 朝ごはんを食べに行かない? 昨日の夜も食べてないんでしょ? 何かお腹に入れとかないと辛いわよ?」

 ドルススが心配してくれているので「一緒に朝ごはんを食べに行く」と伝え、急いで服を着替えて出掛ける用意をする。

 まだ朝早い時間だと言うのに、王都の人々はもう活動している。当たり前ではあるけれど、見渡す限り建物で埋め尽くされている。

 王宮のほうに目をやると、立派な邸が並んでいる。王宮から近ければ近いほど位が高いのだ。今日の謁見いかんではこの景色が見納めになるかもしれない。

「何死刑囚みたいな顔して突っ立ってるのよ? 早く行くわよ」

(朝食をしっかり味わって食べにゃーな……)

 ドルススのオススメの食堂で朝食をとる事にした。どんな料理なのかイマイチぴんとこなかったので、ドルススのお任せにした。

 運ばれてきたのはトルティーヤのような薄焼きパンの上にチーズ乗せて焼いた後にハチミツが掛かったものと、ファラフェルというコロッケに似たような料理が運ばれてきた。

「いただきます」

 胸の辺りで両手を合わせ、運ばれてきた料理に手を伸ばす。

「おいしい……」

 トルティーヤのような薄焼きパンは見た目ほどしつこくなく、すきっ腹に優しい甘さだった。

「でしょー? 私、ここのコレが大好きなの。イツキちゃんの口に合ってよかったわ」

 ドルススは見た目はかなり厳ついが、女性のように細かな気配りが出来る優しい性格だ。見た目と話し方が衝撃過ぎて誤解されがちだが……。

 次にファラフェルも食べてみる。ナッツが入っているのか、歯ごたえがカリカリしていてパセリやコリアンダーがいい仕事をしている。

 ドルススはタルタルソースを付けて食べていたが、俺はそのまま食べるほうが好きだ。

「さぁ、しっかり腹ごしらえはしたし、これでしっかり国王陛下と謁見できるわね」

「やっぱり行かんとおえん?」

(無理だわな。王都まで来とんじゃし)

「何言ってんの! こんな所まで来といて! 男がうじうじしてんじゃないわよ」

 あまりにうじうじ言う俺に痺れを切らし、ドルススとんでもない強行に及んだ。

 事もあろうに、人々が往来している街中で米俵よろしく俺を担いで無理矢理王宮に連行しようとした。

「分かった! ドルススさん! 降ろして! ちゃんと自分で歩くけん。ウジウジしてすいませんでした!」

「最初からそう言えばいいのよ。まったく、世話が焼けるったら」

 言いながらドルススは地面に降ろしてくれた。

「どうもすみませんでした」

 こうして、俺はドルススの後に付いて王宮を目指した。

 近くで見る王宮は迫力が凄かった。

(すげーな。アニメで観るのと実物を見るのとじゃ迫力が桁違いじゃな……。やばい、胃が痛くなってきた。帰りてぇ。泣きそうじゃわ)

 門番に今日訪問した理由と、国王の印章付きの手紙、組合カードを提示すると門が開かれた。

「へーすげーんじゃな。これ、どれだけ歩いたら国王に辿りつけるん? もう街じゃで、この中」

「はしたないわねー。口はしっかり閉じなさい。田舎者丸出しじゃないの」

「田舎者じゃもん」

「まぁ、そうだけど。あなたはいつでもそんな調子ね」

 ドルススはクスリと笑った。

 門を潜り10分後、王宮の門が見えた。また、先程と同じ過程があり、やっと国王陛下がいる建物内に入れた。

(厳重過ぎるじゃろ。セコムもビックリじゃわ。まぁそれだけ危険があるって事なんじゃろうな。国王陛下も大変じゃな)

 何目線で物申しているのか……。もはや正常な判断が出来なくなっていた。

 その後、扉にブチあたると同じ過程を繰り返し、やっと控室らしき部屋に通された。

「なぁ……王宮の敷地内に入ってからここまで1時間かかっとんじゃけど」

「そうね。まぁその位だわね」

「だわねじゃのーて……広過ぎん? 俺迷子になりそうなんじゃけど」

「仕方ないじゃないの。王宮とはそういうものよ! いい社会勉強になったわね」

「その知識を披露する間もなく、打ち首になりそうじゃけどな……」

―—コンコン――

 ドアからノック音が聞こえてきてドルススが「どうぞ」と返事をすると、執事っぽい1人の男性が騎士を連れて部屋のドアを開ける。

「お待たせ致しました。これから謁見の間にご案内致します」

 そううやうやしくお辞儀をすると、部屋を出ろと促す仕草をした。長い廊下を執事っぽい男性、ドルスス、俺、騎士の順でひたすら真っすぐ進むと、眼前に物凄いデカくて豪華な両開きのドアが現れた。

「こちらで王がお待ちです」

 執事っぽい男性はこちらに向き直り、ドアを手で示した。その後、大きくて豪華な扉をノックすると大きな声で

「ヌーフ=ドルスス様、イツキ=タナカ様、両名をお連れ致しました」

 暫く間があり「入れ」と声がした。

 扉は重々しくゆっくりと開き、中が見える。

(この扉からまた、ぼっけぇ遠くに国王陛下おるんじゃな。無駄な間じゃなー)

 ドルススの横顔にチラリと視線をやると、いつもの腑抜けた顔ではなく、誰かと思う程の凛々しい顔を作っていた。

扉が完全に開かれるのを待ってドルススが歩を進める。俺は1歩下がりドルススに付いていく。

 ある程度まで進むとドルススは跪いたので俺も慌ててそれに倣う。

「ヌーフ=ドルススとイツキ=タナカでございます。陛下におかれましてはご健勝のこととお慶び申し上げます」

「表を上げよ。よく参ってくれた。道中大変だったであろう」

「過分なお言葉痛み入ります」

 そう言ってからドルススが頭を上げたので、俺も倣って頭をあげる。

(あれが国王陛下かー。やっぱり威厳というか、オーラが凄いわ。それで、横に居る女性が王妃と言う訳か。で、王子に、王女……王女⁉)

「えっ?」

 しまった。つい声が。慌てて手で口を押えるも後の祭りだった。ドルススがもの凄い形相で睨んでいる。

「イツキ殿、どうした? 何か気になる事でも?」

「いえ! 大丈夫です! 申し訳ございません」

 そう言い、視線を国王陛下に向けたが俺は王女が気になって仕方ない。

(え? リーナが居った? え? 何で? 見間違い?)

 俺は暫し頭が混乱して、国王の話しなど聞いていなかった。

「それで相違はないか? イツキよ」

 急に名前を呼ばれ、意識が引き戻された。

「え? はい。間違いありません」

(何が? 何の話しじゃったん……)

 ドルススにチラリと視線を送ると、呆れた視線を飛ばされた。

(やばい。ドルススさんぼっけぇ怒っとるわ)

「では、まずはそれで進めて貰いたい。もし、何か必要な物や資金が足りない事があるようなら遠慮なく申せ。2人に期待しておるぞ」

「はっ! ヌーフ=ドルススその任謹んでお受け致します」

(任って何の事じゃろ……。ひとまずここはドルススさんと同じ事言うのが正解じゃろう)

「イツキ=タナカ謹んでお受け致します」

「では、宜しく頼む」

「それでは、我々はこれにて失礼致します」

 跪いたまま頭を下げ、謁見の間を退室した。そして、また控室に戻された。

「ちょっと! あんた何考えてんのよ! 国王陛下の御前で上の空なんてそんな度胸よくあるわね!」

(うわーやっぱりぼっけぇ怒っとるな)

「いや、上の空ってゆーか気になった事があって」

「それにしてもよ! 本当に打ち首になりたいの? まぁ、国王陛下はそんな事で打ち首にするような狭量なお人ではないけど。国王陛下の懐のデカさに感謝なさい!」

「わかった。悪かったって思ぉとる」

―—コンコン――

 ドルススに詰め寄られていると、扉がノックされた。

「誰かしら? どうぞ!」

 ドルススが答えると、扉が開き入ってきたのは

「リーナ⁉ やっぱりか!」

「お初にお目にかかります。イツキ=タナカ様。現国王サナクト=ペル=アーが娘フォリーナ=ペル=アーと申します。以後お見知りおきを」

 リーナはドレスの裾を持ち、優雅にお辞儀する。

「ドルススさんは知ってたんか! リーナが王女って事」

「知ってたわよー。当たり前じゃない。私だけじゃなくてゲブちゃんも知ってたはずよ!」

「俺、何も知らんかった。使節団が来た時も、貴族の令嬢はそんな事までするんか思うたけど、王女なら納得じゃわ」

 頭を抱えその場に座り込む。

「ごめんね。言うタイミング逃しちゃって。言わなきゃとは思ってたんだけど。でも、これからも今まで通りに接して欲しい。王女だからって理由で疎遠にならないで」

 リーナは俺の肩に手を添え、俺の目線の高さまでしゃがみ込んだ。

「リーナがそう言うんじゃったら分かった。名前は? リーナのままでええん?」

「ええ。リーナで呼んでくれると嬉しい」

 そう屈託なく微笑むので、それ以上恨み言を言う気が削がれてしまった。

「後、街の人にも言わないで欲しい。あの街では普通のリーナのままで過ごしたいの」

「分かった。皆には黙っとく」

「はい! じゃぁ、話が纏まったところで本題に入るわよ。リーナの件が気になって国王陛下のお話は聞いてなかったんでしょ?」

「う……まぁ……そうじゃ」

「アセプト公国の使節団が、コーヒーとモザイクガラスのランプシェードを気に入ったらしくてね。その2点を公国に卸してくれないかって話が出たんだって。それで、国王陛下も初めて目にしたらしくて王都でもその品物を売りたいと。だから、街でその2点を十分な数を製造できる体制を整えて欲しいって言われたの。もちろん、資金は国が出して下さるそうで、そこの従業員もこちらで決めて構わないと仰っていたわ」

 リーナは瞑目して頷いている。

「成程な。だから、コーヒーショップの店主や雑貨屋の店主が呼ばれず……発案者の俺が呼ばれたんじゃな。リーナが全て知ってたから」

「だって……。そのほうがスムーズに話しが纏まるでしょ? ドルススさんもイツキが発案者だって知ってたんだし」

「まぁま、いいじゃないの! 打ち首にならなくて! ね♡」

「え? 打ち首って何の話し?」 

 リーナは目を丸くしている。

「こっちの話しよ。さぁ、こうしちゃいられないわ! 早く街に帰って取り掛からなくっちゃ」

「まぁ、資金は国が出してくれるって言うんなら街の人にとっても悪い話しじゃないもんな」

「そうよー! それに、必要なものがあれば申せって国王陛下も言ってくださったのだし」

「足場を与えてくれ、そうすれば地球すら動かして見せよう―—byアルキメデス――」

「ん? 何? 何か言った?」

「いんや。何でもねーよ。仕方ない! これも街の為じゃもんな。それに、こうやって皆で1つの目標に向かって作り上げていくの結構好きじゃわ」

「あら、奇遇ね。私もよ!」

 ドルススはそう言って片目を瞑った。(決してウィンクなどではない……決して)


 

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