2話:『少しずつ、自信を持ち始める』
翌日、優は朝の光に目を覚ました。ふと、昨日の配信を思い出し、まだ胸の奥が高鳴っているのを感じる。
「やっぱり、昨日の配信は夢みたい…」
自分の部屋で目を覚ますと、いつもの静かな朝が広がっていた。カーテンを開けると、明るい日差しが部屋に差し込んできて、少しずつ目が覚める。昨夜の配信後、優は寝る前にコメントを見返し、少しだけ心が温かくなったことを思い出していた。
「みんな、ほんまにありがとう…」
優はベッドの中でつぶやきながら、昨夜の配信のことをじっくりと振り返っていた。最初は不安だったけれど、コメントのひとつひとつが自分を支えてくれて、少しずつ自信を持ち始めた。
その日は学校に行く途中、歩きながらもそのことが頭から離れなかった。朝の駅前、いつものように少しだけ慌ただしい人々が行き交う中、優は心の中で決意を固めていた。
「今日もまた、頑張ろう…」
学校に着くと、友達が集まっていた。昨日の配信のことを話し始めると、思わぬ反応が返ってきた。
「おお、優ちゃん、昨日の配信見たよ!めっちゃ頑張ってたやん!」
「ほんまや!最初ちょっと緊張してたけど、だんだん落ち着いてきてよかったな。」
「応援してるから、また見に行くね!」
優は驚いた。自分のことをこんな風に見てくれていたなんて、思いもよらなかったからだ。
「え?ほんまに見てたの?」
優は少し恥ずかしそうに笑った。
「うん、だってさ、頑張ってるのが伝わってきたから応援したくなったんや。」
友達が言うと、周りのクラスメイトたちも頷きながら笑顔で話し掛けてきた。
その言葉が、優の心にどんどんと響いていった。学校での一日を過ごしながらも、心の中で繰り返しその言葉を噛みしめていた。
「応援してるよ。」
その言葉が、今までの不安を少しずつ取り払っていく気がした。優は家に帰ると、すぐにパソコンを開き、配信の準備を始めた。
「次は、どんな配信をしようかな…」
前回は自己紹介がメインだったから、今回は少し内容を変えてみようと考えていた。
「ゲーム配信もやりたいし、雑談も面白そう…うーん、どうしよう。」
優はパソコンの前で考え込みながら、どんどんアイデアが浮かんでくるのを感じていた。自分のペースで、無理なく続けていけたらいいなと考えていた。以前はどこかで「できないかもしれない」という気持ちがあったが、今は少しずつそれを乗り越えられそうな気がしていた。
「よし、今日も頑張るぞ!」
配信が始まるまでの準備をする中で、優は何度も自分を励まし、少しずつ自信を取り戻していった。そして、ふと、昨日の配信を見返すと、自分の成長を実感することができた。
配信の時間が近づき、優は緊張しながらも心の中で決意を新たにした。
「今日はもっとリラックスして、楽しくやりたいな。」
前回の反省を活かし、少しずつ自分らしく配信できるようにしたいと思った。配信が始まると、コメント欄にはすぐに温かい言葉が並んでいた。
「優ちゃん、今日もがんばれ!」
「いつも応援してるよ!」
「今日の配信楽しみにしてた!」
優はコメントを見ながら、少しずつリラックスしていった。前回よりもずっと落ち着いて、コメントに返答することができるようになってきた。
「今日は、雑談をしながらちょっとだけゲームもやろうと思ってます!」
優は声を弾ませて、コメントを読んでいると、ふと視線を感じてカメラを見た。
「えっと…何か質問があれば、どんどんコメントくださいね!」
コメントがどんどん流れていく中で、優は少しずつ自分が成長していることを実感した。そして、配信が終わる頃には、前回よりもずっと楽しく、リラックスしていたことを感じ取った。
「今日は楽しかったな…」
配信を終えた後、優はまた少し成長した自分に気づいていた。以前の自分だったら、こんなに楽しいと思うことはなかったかもしれない。でも、今は違う。リスナーとの繋がりが、こんなにも心強いものだとは思っていなかった。
「次はもっともっと楽しく配信できるように、頑張ろう!」
優は深呼吸をしながら、次の配信に向けて心を新たにした。
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