『夢』の断捨離

ameumino

『夢』の断捨離

夕方、男は公園のベンチに座っていた。


男はため息をついた後

ポケットから『夢』を取り出し、投げ捨てた。


それを見た少年が男に駆け寄った。


「ポイ捨てはだめだよ!おじさん」

「別にいいだろ!」

「『夢』いらないの?」

「邪魔だからな」

「邪魔?」

「あー邪魔さ」


男はベンチから立った。


「これのせいで俺の人生無茶苦茶さ。安定した生き方をしようと思ってもこの夢が邪魔をするんだ。もう捨てて忘れたいんだ!」


「……分かったよ。捨てたい気持ちは。でもやっぱりポイ捨てはだめ! ちゃんと断捨離をしよう」


「断捨離?」

「夢と出会った日、それを大切にしてきた日々を思いだして感謝してそれからお別れをしてごみ箱に入れないと」

「感謝……?」

「じゃあ僕は帰るね。早く帰らないとママに怒られるから」


少年は立ち去った。


「夢と出会った日…」


男は落ちている『夢』を拾った。


夢と出会ったのは幼少期。


それから夢を叶えるために努力し続けた。時には苦しいこともあったが今思えば楽しかった日々だった。


「そうか邪魔なんかじゃなかったんだ……」


男は歩き出した。そしてごみ箱の前で立ち止まった。


「夢、ありがとう。お前のおかげで生きてこれたんだな……」



男は『夢』をごみ箱に


入れた。


「本当にありがとう。これからはお前なしでも楽しい人生を送ってやるよ!」


男は膝から崩れ落ち、そう叫んだ。



夕焼けが照らす公園には彼1人だけがいる。だから彼が泣いていたことを誰も知らない。

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