カウント

怪物イケダ

カウント

「……なあ、お前、今……鍵、閉めたよな」


 


「うん……たしか、閉めた。閉めたはず」


 


「はず、じゃなくて」


 


「でも、開いてたんだよ。今、カチって……勝手に」


 


「……風か?」


 


「無風だよ。窓、全部閉まってる」


 


「……じゃあ、誰か入ってきたのか?」


 


「誰が? おれら以外、ここに来るやつなんて──」


 


「なあ、さっきから、ずっと思ってた」


 


「……ん?」


 


「なんか、変じゃね?」


 


「何が?」


 


「この空気。重い。息が、吸いづらい」


 


「それ……気のせいじゃ」


 


「それに……数が合わねぇ」


 


「は?」


 


「おれら、五人で来た、よな?」


 


「……おれ、そいつの名前知らねえ」


 


「え?」


 


「そこに立ってるやつ。ずっと黙ってたけど。……誰だよ」


 


「……いや、そいつ、最初からいた」


 


「じゃあ、名前言ってみろ」


 


「……えっと……」


 


「──言えねえのかよ」


 


「ちょっと待て。お前、ほんとに……最初から、いたのか?」


 


「…………」


 


「なんで、黙ってんだよ……なあ、なんか、言えよ」


 


「……なあ。ほんとに、おれら、何人で来たんだっけ」


 


「……五人。だろ? たぶん……」


 


「……たぶん?」


 


「……四人、だったかも」


 


「……三人じゃなかったか?」


 


「……二人?」


 


「……」


 


「…………最初から、おれ、ひとり、だっけ」







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カウント 怪物イケダ @monster-ikeda0407

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