Ep50:隠された努力と新たな一歩
星見キッズの5年生メンバーは、チームの活動に真剣に取り組んでいた。
しかし、3人は学校や人目のある場所では、個人的な親密さを隠していた。それは、チームの結束や他のメンバーに誤解を与えたくないという思いからで、表面的にはただの協力関係を装っていた。
彼らは互いに信頼し合っていたが、その絆はあくまで友情の範囲内に留め、学校では冷静さを保つことを心がけていた。
放課後、教室で3人がそっと集まった。
リントがメガネを直し、静かに言った。
「ハル、ユウキ、学校では普通に振る舞おう。チームのためだ。」
ハルは頷き、小さな声で答えた。
「リント、ユウキ、うん。僕、3人で頑張るけど、目立たないようにね。」
ユウキが腕を組み、冷静に言った。
「そうだね。シュウたちに負担をかけたくない。」
3人は互いの手を軽く叩き、励まし合った後、すぐに作業に戻った。
校庭で運動会の応援団の練習が続く中、3人は桜の木の近くを歩きながらも、調査に集中する姿を装った。
リントが幹を軽く叩き、呟いた。
「ハル、ユウキ、ここは慎重に調べないと。」
ハルが真剣な顔で、言った。
「リント、ユウキ、うん。見逃さないように頑張ろう。」
ユウキが頷き、言った。
「うん。チームのために、全力だ。」
3人は心を一つにしつつ、表では普通の少年たちとして振る舞い続けた。
一方、シュウとタクミは、学校終わりに再び高校生探偵・波崎湊(ナミサキミナト)の自宅を訪れていた。 桜の木の謎解きで手がかりが全く見つからず、調査が頭打ちになっていることを伝えに来たのだ。
湊の家に着くと、シュウがドアをノックし、湊が眼鏡を光らせて迎え入れた。
「シュウ、タクミ! また来たね。何か進展があった?」
シュウはため息をつき、言った。
「湊兄さん、桜の木の調査、進まないよ。手がかりがなくて頭打ちだ。」
タクミがシュウに寄りかかり、小さい声で続けた。
「湊兄さん、僕、シュウと頑張ったけど、何も見つからない。助けて欲しい。」
湊が手紙を手に取り、タイプライターの文字を再び観察した。
「なるほどね。君たちが苦労してるのは分かる。記録もダメだったのか?」
シュウが頷き、説明した。
「うん、校長室の古いファイルも調べたけど、桜の木の植樹記録はない。湊兄さんの推理が頼りだ。」
タクミが湊に近づき、懇願した。
「湊兄さん、お願い。シュウを守りたいから、ヒントを教えて。」
湊が眼鏡を直し、考え込んだ後、決断を下した。
「分かった。少しの間、僕1人で調べてみるよ。タイプライターの出所や桜の木の歴史を深掘りしてみる。」
シュウがホッと息をつき、感謝した。
「湊兄さん、ありがとう。僕たち、待ってるよ。」
タクミが微笑み、言った。
「湊兄さん。頑張って。」
湊がノートに計画を書き込みながら、微笑んだ。
「君たちの努力は無駄にしない。結果が出たらすぐ連絡するよ。気長に待ってて。」
2人は湊の家を後にし、チームに戻る準備をした。
湊の言葉に希望を見出したものの、シュウの心にはチーム全体を導く責任感が重くのしかかっていた。
帰り道、シュウはタクミの手を握りながら考えを巡らせた。
「湊兄さんが動いてくれるなら、道が開けるかもしれない。タクミ、みんなで乗り越えよう。」
タクミがシュウに寄りかかり、明るい声で答えた。
「シュウ、うん! みんなで頑張ろうね。」
その夜、シュウは自宅でノートを見直していた。 桜の木の謎が解けない焦りと、チームを支える使命感が頭を支配していた。
タクミの笑顔や仲間たちの努力が思い出され、シュウは決意を新たにした。 「みんなを信じて、湊兄さんの結果を待とう。チームでこの謎を解く。」
シュウは窓の外を見つめ、長期戦への覚悟を固めた。
桜の花びらが舞う中、星見キッズの挑戦が新たな段階へと進んでいた。
(Ep50 完)
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