Ep6:図書室の暗号

星見小学校の「星見計画」にまつわる遺物、ペンダントを手に入れた僕たち「星見キッズ」。ペンダントには「星見 1945」と刻まれ、裏に奇妙な暗号が刻まれていた。田中さんと黒いコートの男は逮捕されたけど、星見計画の全貌はまだ明らかになっていない。




放課後、僕たちは図書室に集まり、暗号解読に挑むことにした。


図書室は静かで、古い本の匂いが漂っていた。窓から差し込む夕陽が、埃をキラキラと照らしている。僕はペンダントを取り出し、暗号をノートに書き写した。




暗号は「 K3-M7-R2-T9」という謎の文字列。




「シュウ、この暗号、何だと思う?」カナエが首をかしげた。




「分からないけど、図書室の本に関係があるかもしれない。『K3』とか、図書の分類番号みたいだ。みんなで探してみよう」僕はメガネをクイッと直した。




「俺、本棚のK列から見てくる!」ケンタが走り出した。




「私はM列を調べるよ。スケッチしながら、怪しい本を見つける」リナがスケッチブックを持って立ち上がった。




「僕、図書室のデータベース使って、1945年関連の本を検索してみる」タクミが古いパソコンに向かった。




カナエと僕は、図書室の古い地図や学校史の本をめくった。


すると、カナエが声を上げた。「シュウ、これ見て! 『星見小学校の歴史』って本に、1945年の記述がある!」




本を開くと、戦時中に星見小学校が軍の物資保管所として使われていたと書いてあった。


さらに、「星見計画」の名前が…。


「星見計画は、軍の暗号通信網の一部だった。詳細は不明」とある。




「やっぱり、星見計画は軍と関係があったんだ。暗号は、その通信網の鍵かもしれない」僕はノートにメモした。




その時、ケンタが本を持って戻ってきた。「シュウ、K列の3番目の棚に、古い暗号の本があった! タイトルが『暗号解読入門』だよ」本を開くと、暗号の解読法が書かれていた。




「K3-M7-R2-T9」は、図書室の本の位置を示すコードだと判明。


K列3番目の本、M列7番目の本…という具合だ。僕たちは急いで指定された本を探した。R列2番目の棚で、リナが小さなメモを見つけた。


「シュウ、この本の間に、メモが挟まってる!」




メモには、「星見の鍵は、校長室の金庫に」と書かれていた。




金庫? 校長室にそんなものがあったなんて…。


「校長室に行くしかない。でも、放課後だし、校長先生はもういないよね?」タクミが不安そうに言った。




「うん、でも調べる価値はある。校長室の鍵は、職員室にあるはず。カナエ、職員室の様子を見てきてくれる?」




「任せて!」カナエが走り出した。数分後、カナエが職員室から鍵を持って戻ってきた。




「シュウ、職員室に誰もいなかったから、鍵借りてきた! 早く行こう!」




校長室に入ると、確かに金庫があった。古いダイヤル式の金庫だ。


暗号の数字を試してみると、「3-7-2-9」でカチッと音がして開いた。中には、古い手紙と小さな金属の筒が入っていた。




手紙にはこう書かれていた。「星見計画の最終段階。暗号通信網の鍵をこの筒に封印した。敵に渡る前に隠せ。1945年8月」




金属の筒を開けると、細長い紙に暗号表が書かれていた。


「これ…星見計画の暗号通信網の鍵だ! 軍が使ってた暗号を解読するための表だよ」タクミが興奮した。




「すごい発見だね。でも、これをどうする? 警察に渡す?」リナがスケッチブックに暗号表を写しながら言った。




「うん、警察に渡すべきだ。でも、その前に、この暗号表を使って、星見計画の他の手がかりがないか調べてみよう」僕は提案した。




その時、校長室のドアがギィッと開いた。




振り返ると、図書室の司書、佐々木さんが立っていた。いつも優しい笑顔の佐々木さんだけど、今日は様子が違う。手にナイフを持っている。




「お前たち…星見計画のことを嗅ぎ回りすぎたようだね。田中が捕まったせいで、計画が遅れてしまった。その鍵、渡しなさい」




「佐々木さん…あなたも星見計画に関わってるの?」僕は驚きながらも冷静に尋ねた。




「私は…計画の最後の守護者だ。星見計画は、戦後、軍の財宝を隠すための暗号だった。田中はその財宝を掘り出そうとしていたが、失敗した。私はその財宝を守るために、ここにいる」佐々木さんの目が鋭く光った。




「財宝? でも、こんなことで人を傷つけるなんて…!」カナエが叫んだ。




「黙れ! その暗号表を渡せば、見逃してやる。さもなくば…」佐々木さんがナイフを振り上げた。




「逃げよう!」ケンタが叫び、僕たちは一斉に校長室から飛び出した。


佐々木さんが追いかけてくる。校舎の廊下を走りながら、僕たちは必死に逃げた。




「シュウ、図書室に戻ろう! 本棚の間に隠れられる!」リナが提案した。




図書室に駆け込み、本棚の間に身を隠した。佐々木さんの足音が近づいてくる。僕たちは息を殺して、彼女が通り過ぎるのを待った。




「シュウ、どうする? このままじゃ…」タクミが震えながら囁いた。




「佐々木さんを捕まえないと。暗号表は渡せない。みんな、力を合わせて…」僕が言いかけたその時、図書室の奥からガタンという音がした。




佐々木さんが本棚を倒そうとしている!


「見つけたぞ、ガキども!」佐々木さんが叫び、本棚が倒れてきた。




僕たちは間一髪で避けたけど、図書室は混乱状態に。その時、図書室のドアが勢いよく開いた。警察官たちが駆け込んできた。




「佐々木美奈子、両手を上げなさい!」警察は、田中さんの供述から佐々木さんが星見計画に関与している疑いがあると突き止め、捜査に来ていたのだ。


佐々木さんは抵抗したが、すぐに取り押さえられた。




後日、警察から連絡があった。星見計画の財宝は、桜の木のさらに奥深くに埋められている可能性があるが、発掘作業は専門家に任せることになった。暗号表は警察が保管し、星見計画の全貌解明に役立てるとのこと。




「シュウ、今回の事件、怖かったけど…やっぱり星見キッズは最強だね!」カナエが笑った。




「うん。でも、佐々木さんがあんな風になるなんて…。星見計画、まだ何か隠されてる気がする」僕はノートにそう書き込んだ。




図書室の一件は解決したけど、星見小学校にはまだ深い闇が潜んでいる。そんな予感がしていた。




(Ep6 完)


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