第5話 是正丸

 俺とガキは無敵だった。

 人を食らい飼われた鬼を下しながら俺達は鬼の矜持に明け暮れた。


「是正丸・・・」


 そんな時にあの手下だった人間が現れた。


「なぜだ。なぜ。人の心を手に入れたのではないのか!」


「オレは鬼だ。人の心なんてなかったのさ」


「やはり貴様は人肉食いだ。人の血肉を啜らねば生きていけないか」


「そうさ。今更なにを言ってる」


「お前は人間だった。鬼ではない。人間だった。それが同族を殺し人間を食った。

お前は人食いの鬼ではない。人肉食いの同族殺しだ!

大恩ある大君をその手にかけて貴様の得たものはなんだ」


「腑抜けた王に引導を渡しただけだ」

 

「この人肉食いめ! 同族食らいの人食い鬼が!」

 

「この腑抜けが! だから!俺が!代わりに!鬼になるのだ!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る