第2話 暗中摸索

気がつくと俺は暗闇の中にいた、その中で何度か目が覚めてはまた眠りについた、俺は死んだのだろうか、それとも助かったのだろうか、闇の中にいて何を見ることも出来ない、起き上がろうにも全身の感覚もない、また声を出そうにも息をする感覚すら無いのだ、言うなれば暗闇の中に俺のたましいだけが存在するような感覚だ、こんな不自由な環境なのになぜかやたらと居心地が良い。


やはり俺は死んだのだろう、俺はこの先どうなるんだろうか、眠りとも覚醒ともつかないボンヤリとした中で俺はそんな事を考えていた、それからどれだけ時間が経ったのだろうか、時間の感覚すら無くなってしまったようだ。


ある時いきなりあたりが明るくなったような気がして目を覚ました、そして俺は薄オレンジの光の中にいた、何か見えるようになったわけでなくただ光と色だけが感じられる、また暫くすると何やらゴニョゴニョと言う音が聞こえてくるようになった。


環境は変わったが居心地が良いのは変わらずだ、いやむしろ心地良さが増しているように思える程だ。


それから時々女の声がするようになった、何を言っているのかは分からないが何だか聞き覚えのある声のような気がする。



そして数カ月なのか数年なのか分からないが暫く経ったある日。

気がつくと突然色々な音がし始めたカチャン、ドスン、この前の女の声や今度は男の声、騒がしくて仕方がない、いきなり押し流されるような感じがしたりそれがまた収まったりとにかく落ち着かない、どんどん居心地が悪くなっていく、今度は図太い男の声が聞こえたと思うと俺は狭くて窮屈な所ヘ押し込まれてしまったそして更に押しつぶされそうになる、苦しくて死にそうだ!「一回死んだと思ったのに、俺はまた死ぬのか?」そう思った途端、俺はやたらと明るいところに押し出された、形も何も見えないのだが強烈に眩しい。


それより今は息苦しくて仕方がない、俺はずっと溜め込んでた息を思いっきり吐き出すと、周りは更に騒がしくなった。


そして俺はあちこちにヒョイヒョイ運ばれては体にイロイロ押し当てられたり何かにくるまれたりして今度はベットの上に乗せたれた。


いつの間にか体の感覚がよみがえって来たみたいだ、自由に動かせるわけでは無いが手のひらを閉じたり開いたるするくらいならできる。


ちょっと待てよさっきからやたらと騒がしいのは俺の泣き声かもしれない。


自分でギャーギャー泣いている事も気が付かなかったのか?


俺は泣いているはずなのに・・・


その奥で誰かの歓声みたいなのが聞こえてきたりお腹を優しくポンポン叩かれる感じがしたりする、何故かやたらとホッとしたようなそれていて優しい気持ちになる、この感覚は始めてではないような気がする。


遠い昔感じていたような、妙に懐かしさを感じる。


死ぬほどの苦しみから解放されたせいなのか、それとも昔感じたことのある感覚なのか、


今はまだ何が起きてるのか理解も想像もできない。


だけどそのうち分かるだろう、そんな気がする。


それよりも今の俺は眠くて仕方がない・・・俺はまた眠りについた。


つづく

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転生したと思ったら姉貴に生まれ変わってた! めだか3号 @medaka3gou

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