2,気付き
雄介は一人シップに乗って宇宙空間に居た。宇宙空間の無数に光輝く星々の中に浮かぶ、とてつもなく青く目が覚めるほど美しい地球を、一人で静かに眺めていた。そして雄介は、今朝方見た夢のことをもう一度考えていた。
「僕は、何て恐ろしい夢を見たんだ。でもあんな夢を見ると言うことは、あんな恐ろしい心が僕の心の奥底に有るんだ。宇宙波動エネルギーは、僕とリンリンが同質だと言っていた。だから今回ゾイバー星を引き寄せてしまったのかも知れない。リンリンを説得する前に、先ず僕が変わらなければ話にならない」
雄介は、自分の気が付いていない心の奥底と、どのように向き合って行けば良いのか分からなかった。
「自分では気が付いていない心と、どう向き合って行けばいいんだ」雄介は悩んだ。そしてふと、以前ワーマ星のマザーが言っていた言葉を思い出した。
「そう言えば、マザーさんが言っていた。自分の心の奥底に有る物としっかり向き合えと。それが今回のことなんだ。しかしどう向き合っていけばいいんだ。よしマザーさんに聞いてみよう」そして雄介は、マザーにテレパシーを送った。
『マザーさん。ワーマ星のマザーさん。地球の天野です。僕の声が聞こえますか』するとマザーから返事があった。
『はい天野さん。お久しぶりですね。マザーです。お元気ですか』
『マザーさん。ありがとうございます。元気にしております。マザーさんもお変わりありませんか』
『はい、ありがとうございます。私も元気ですよ。でもどうかなさいましたか。何か悩まれているようですが』
『はい、マザーさんにはもうお分かりですね。実はマザーさんが以前、私に言って下さった自分の心の奥底に有る物についてお尋ねしたいのです』
『そうですか、自分の心の奥底に有る物に気付かれて驚かれたのですね』
『そうです。そうなんです。自分では全く思ってもいなかった心が、自分の中に有ることに気が付いて驚いております。どのようにその心の奥底に有る物と向き合っていけば良いのでしょうか』
『天野さん、人間には自分で気が付いていない本当の自分と言う物があります。普段自分が表面に出している自分と、心の奥底に有る自分は全く正反対の場合が多いです。たいていの人は、自分の奥底にある本当の自分に気が付いても、そんなに驚きませんが、天野さんのように普段自分の心を良い状態に保たれている方が、その心と逆の心に気が付かれたときに大変驚かれるのです。
しかしそれは天野さんの表面に出ている心が、とても良い物だからこそ、奥底に隠れていた逆の心が、燻し出されるようにして出てきたのです。その奥底から出てきた心と真剣に向き合って、その心を滅していく努力をして下さい。
心の奥底に有る悪い心を滅し、そして表面に有る良い心で、自分の全ての心を満たすことができたとき、あなたは真の魂の力を得ることができるでしょう』
『そうですか、これも自然な流れなのでしょうか』
『そうですよ。あなたが魂を磨き上げ、そして心と魂を一体にしていく為に必ず通らなければならない試練です。心の奥底に隠れていた自分の悪い心と向き合い、それを滅していくのは大変なことですが、それが天野さんにとって必要な自然な流れなのです』
『分かりましたマザーさん、ありがとうございます。もう一つ教えて下さい。その心の奥底の悪い心を滅していくには、どのようにしていけば良いのでしょうか』
『それは、あなたの表面に有る良い心で、あなたの心の全てを満たしていくのです。そして誠心誠意で今直面していることに接していって下さい。あなたの良い心で全てが解決し、そしていま関わっている全ての人が、あなたの良い心に包まれたとき、あなたの魂は更に成長することでしょう』
『分かりましたマザーさん。頑張ってみます。今回私が直面した出来事は、私の魂を成長させる為には避けては通れないことなのですね。それをしっかりと心に刻み込んで、今回の出来事に向き合っていきます。本当にありがとうございました。また何か有りましたら連絡させて頂きます。それでは失礼いたします』雄介はマザーとのテレパシーを終了した。
そして雄介は、良太と由香里が居る会社に帰り、宇宙波動エネルギーに尋ねた内容や、昨夜見た夢のこと、マザーとテレパシーで話した内容を話した。
「そうなんだ、雄介の心の奥底に有る物がゾイバー星のリンリンと引き合って、そして今回のことに成ったんだね」
「でも、そう考えると雄介君の心は凄いのね。遥か遠い宇宙の星の人に繋がって引き寄せるなんて、普通の人間ではできないことよ」由香里も褒めているのか、けなしているのか分からないようなことを言った。
「でも雄介だからそんな心の奥底に気が付いて驚いたんだろうね。僕なんかしょっちゅう悪い心と遭遇しているから全然驚かないよ」
「あら、そうなの良太君。あなたの心の中はそうなのね。付き合い方を考えないといけないわ」
「でも多かれ少なかれ誰の心の中にでも、良い心と悪い心は存在しているんじゃないのかな。僕だって普段はそんな悪い心を使わないけど、実家に帰って両親や兄弟と話していると、ついついわがまま言ったり、イライラしたりして悪い心を使っている自分を感じるよ」
「そうね、そう言えば身近な人には、ついつい自分の本音を出したりしてしまうわね。気を付けないといけないわね」
「そうだよ、普通の人間なら良い心と悪い心を持っていて当たり前だよ。だから昔しっから戦闘物なんかの過激なアニメや映画なんかも流行ったりするじゃないの。皆の心の奥底には平和ではない心が潜んでいるんだよ。だから雄介そんなに気にしなくていいよ」
「二人とも僕を励ましてくれてありがとう」雄介には、落ち込んでいる雄介を励まそうと、色々言ってくれる二人の気持ちが良く分かった。
「しかし、よく考えてみるとほんと僕の心の奥底には、リンリンさんに対して『何故なんだ』と言う責める気持ちが有ったよ。人を責めているようでは、ギャラクシーユニオンの総理事長として恥ずかしいよ」雄介は、自分の心の中を見えるようになっていた。
「これからは自分の本当の心の奥底とも真剣に向き合って、マザーさんが言っていたように、良い心で自分の心の全てを満たして、誠心誠意でいま直面していることに取り組んでいくよ」
「そうなんだ、雄介なら大丈夫だ。きっと今回のことも乗り超えていけるよ」
「そうよ、雄介君。私達も応援するからまた三人で頑張りましょう」
「よし、それなら地球とゾイバー星にとって最も良い方法を考えていこうよ」良太が張り切っている。
「そうね、それで雄介君、何か良い方法は思いついたの」
「そうだね、今回の事態が起きた原因は、僕の心の中の悪い感情が招いたことだから、先ずそこは気を付けて悪い心を滅していく努力をするよ。それから誠心誠意で地球とゾイバー星にとって最も良い方法を探していかなければならない」
「地球にとって最も良い方法は、今の地球の平和を維持していくことだろ」
「じゃあ、ゾイバー星にとって最も良い方法とは何なの」
「ゾイバー星のリンリンさんが言っているのは、1年後地球に移住するか、1年以内にゾイバー星を元のように住める星に戻してゾイバー星に帰るか、別の星を快適に生活ができるように環境を整えてそこに移住するかだ」
「1年後に地球に移住するのは却下ね」
「そうだね、それは考えられないとして、後の二つを実行するにしても、ギャラクシーユニオンの力を借りないと実現は不可のだろうね」
「そうだね、今の地球だけの技術力では無理だね」
「なら、ギャラクシーユニオンの力を借りる為には、ゾイバー星のギャラクシーユニオン加入が必須よね。それをどうやっていくかが最大の課題よね」
「今のリンリンさんでは、とうていギャラクシーユニオン加入は無理だよね」
「今回、宇宙波動エネルギーに尋ねたときに、僕とリンリンさんは同質だと答えが出たと言うことは、僕が変われば必然的にリンリンさんは変わるのだと思うんだ」
「そうなんだね、雄介とリンリンさんは、全く正反対のようだけど、プラスとマイナスの磁石のように引き合っているんだね」
「そうね、雄介君は良い面を前面に出しているけど、心の奥底には悪い面もある。リンリンさんは、悪い面を前面に出しているけど、実は心の奥底には良い面も隠れているのかも知れないわね」
「じゃあさあ、雄介の心が完全に良い心で満たされたら、リンリンさんの心が悪い心で満たされて、地球を乗っ取りに来ることは無いのかな」
「それは大丈夫だよ。宇宙法則からしても自分の周りに集まる人は自分と同質な人だから、僕が完全に良い心になったらこの地球に近寄って来る人は良い心の人だ。もしリンリンさんが悪い心のままなら、完全に異質になるから自らどこかに行ってしまうと思うよ」
「そうなんだ、だったら雄介の心を完全に良い状態に保ちながら、ゾイバー星を元の状態に戻せるか、また別の星を探して、そこにゾイバー星の人々を移住させることができるか、この二つを検討していこうよ」
「そうね、そうゆう行動を起こすことが次の動きに繋がってくるかも知れないわね」
「よし、決まった。だったら先ず僕が瞑想の意識の力を使って、今のゾイバー星の状態を確認するよ。そしてギャラクシーユニオンの力を借りられたとして、1年以内に人が住める状態に戻せるのかアロンに相談してみるよ」
雄介は、早速シップに乗り込みシップからアロンに連絡を入れた。
「アロン、雄介です。聞こえますか」
「雄介、聞こえるよ。その後ゾイバー星のことはどうなったんだい」
「そうなんだ、そのことで連絡を入れたんだ。今回このような事態が起きた原因を宇宙波動エネルギーに尋ねたら、僕の心の奥底に有る悪い感情が招いたことだと分かったんだ。そこで僕の心を完全に良い心で満たしながら、ゾイバー星の為に行動を起こそうと決めたんだ。
それで今のゾイバー星の様子を瞑想の意識を使って確認して、もしギャラクシーユニオンの力を借りられたとして、ゾイバー星を元の状態に戻せる物か確認がしたいんだ。アロン、ゾイバー星の詳しい位置を教えてくれないか」
「そうか分かった。ゾイバー星は地球ではМ33と呼ばれている銀河の中に有る星で、地球からの距離は300万光年程有る。僕達のアンドロメダ星からは比較的に近い所に有るんだ。だから以前から僕は、ゾイバー星のことは気に掛けていたんだ。ゾイバー星は、今はとてもひどい状態だと思うから、それを元に戻すにはかなりの年数が掛かると思うよ」
「分かった。状態を確認して元に戻すのが無理なようなら、まだ文明が無い星に人が住めるようにして、そこに移住させようかとも思っているんだ」
「そっちの方がいいかも知れないな。また何か有ったら連絡してくれ」
雄介はアロンとの交信を切り直ぐに瞑想を始めた。意識を遥か遠いM33銀河に向けた。雄介の意識がM33銀河を見つけ、そして雄介はゆっくりと意識をM33銀河の中に入れて行った。そしてゾイバー星を意識で探した。
「ゾイバー星は何処に有るんだ。ん、これは空気が綺麗な惑星だ。違うな。ん~、これも雲が多いが地表も海も見える。違うな。あ、これだ、これがゾイバー星だ」雄介は、厚い灰色の雲に星全体が覆われたゾイバー星を見つけた。 そして雄介は、意識で厚い雲の中に入って行って星の表面の状態を見た。
「この星は何て酷い状態なんだ。厚い雲に覆われているから地表には日光がほとんど届いていない。植物は全部枯れ果てている。街も有ったようだが全ての建物も朽ち果てている。もうこの星は死んでしまっているんだ。
自然を壊して何も対策を取らなかったから、このような状態になったんだとアロンは言っていたが、全く酷い物だ。地球もこんな状態にならないように、自然環境を整える努力をしていかないと、結局自分達の首を絞めることに繋がるんだ」雄介は瞑想を終了して意識を戻した。
そして会社に帰り、今見たゾイバー星の状態を良太と由香里に話した。
「そんなに酷い状態なんだ。それならゾイバー星を元に戻すのは無理だね」
「そうだね、じゃあもう一つの案の、まだ文明が無い星を探してそこに人が住めるようにする方法で検討しよう」
「そうだね、その方が早いみたいだな」
「それで、どうやってまだ文明が無い星を探すの、雄介君」
「そうだな。比較的近い星がいいよね」
「だったら銀河系の中で探すか、もしくはマゼラン星雲ならプッペ議長も居るし比較的近いからどうかな」
「銀河系の中は僕達が探すとして、マゼラン雲の中はプッペ議長にお願いできるかも知れないな」
「プッペ議長ならきっと力になってくれるよ。雄介、事情を話して協力してもらおうよ」
「分かった、連絡してお願いしてみよう」
それから直ぐに雄介は、モナム星のプッペ議長に連絡を入れた。
「プッペ議長、地球の天野です。聞こえますか」
「雄介様、お久しぶりです。お元気ですか」
「ありがとうございます。プッペ議長、私達はとても元気にしております。議長もお元気ですか」
「アハハー、私はまた太ってしまって、お腹がパンパンです。でもとっても元気ですよ。ところでどうされたのですか、雄介様から連絡を頂くなんて」
「そうなんです。折り入ってプッペ議長にお願いしたいことがありまして、ご連絡致しました」
「何でしょう。雄介様のお願いなら何でもお聞き致しますよ」
「それはありがたいです。実は・・」そして雄介は、プッペ議長に今回ゾイバー星が1年後に地球に移住させろと言ってきたこと、その原因が自分の悪い心に有ったこと、そして今回のことを解決する為には、自分の良い心で誠心誠意を持って、ゾイバー星の為に新しい星を探そうと思っていることなどを伝えた。
「雄介様そうですか。ゾイバー星がね。雄介様、実を申しますとゾイバー星は以前私達のモナム星にもやって来て、移住させろと言ってきたことがあるんです」
「そうなんですか、モナム星にも」
「そうです。その時、私達のモナム星は、まだギャラクシーユニオンに加入していなかったのですが、そのことがきっかけでアロン様からギャラクシーユニオンへの加入のお誘いを頂いたのです。そして加入が認められ色々な星の方々の力のお蔭で、ゾイバー星を追い払って頂いたのです。
その時ゾイバー星のリンリンとは、色々やり取りしましたけど、あいつは本当に汚い奴です。雄介様のお願いでもゾイバー星の為に新しい星を探すのはご勘弁下さい。ゾイバー星を追い払うお手伝いなら喜んでご協力いたします」
「そうですか、そう言う経緯がありましたか。ならプッペ議長には無理は言えませんね。分かりました。今回のことは私達だけでなんとか致します」
「雄介様、あまりゾイバー星のリンリンとは関わらない方が良いですよ。一年と言わずに今すぐにでもゾイバー星を追い払いましょう。そうしないと本当に奴らは地球に対して何をするか分かりませんよ」
「そうですか、ご忠告ありがとうございます。でもプッペ議長、今回のゾイバー星のことは、私の心の奥底に有る汚くて恐ろしい程に悪い心が招いたことなのです。その私の奥底に有る悪い心を滅していく為には、ゾイバー星を追い払ってしまってはダメなのです。
私の良い心で今回のことを解決させることができて、初めて私の心の奥底の本当の自分を変えることができるのです。そしてそれができた時、地球や宇宙全体に本当の平和が訪れる気がするんです」
「雄介様、分かりました。ではもしゾイバー星を追い払うことになりましたらご連絡下さい。その時は喜んでお手伝いいたしますので」
そして雄介はプッペ議長との通信を切った。側でプッペ議長との話を良太と由香里も聞いていた。
「雄介、プッペ議長がリンリンさんのことを悪く言っていたけど、リンリンさんは相当悪い人なのかな。もしそうだとしたら一年以内に移住する星を準備できなかったら、どんな酷いことを地球にするんだろう」
「それは分からないけど、もし新しい星が準備できなくてリンリンさんが地球に対して酷いことをしそうなら、ギャラクシーユニオンが守ってくれるよ。それより僕達は、なんとか早く新しい星をこの銀河系の中で探そう」
「でも雄介君、銀河系の中で新しい星を探すと言ってもどうやって探すの。銀河系の中だけでもかなりの広さがあるわよ。闇雲に探してもそんなに直ぐには探せないんじゃないの」
「そうだね、シップがいいデーターを持っていないかな。シップに聞いてみよう」そして三人は、シップに乗り込んで聞いてみた。
「シップ、君はこの銀河系の中に有る、まだ文明を持っていない惑星で、人間が住むのに良い環境の星のデーターを持っていないかい」
「有ります」
「そうなの。じゃあシップ、そんな惑星は銀河系の中には何個位有るの」
「人間が住むのに適した気温の星で、重力も地球とほぼ同じの星は80個程です」
「その惑星の画像は有るの」
「有ります」
「では、その惑星の画像を一つずつ見せてくれ」
「承知致しました。では地球に近い惑星から順に映します」
するとシップのコックピットの中に有るディスプレイに惑星の画像が映し出された。最初に映し出された惑星の画像は、全体的に薄い緑色をしていて、海が多く陸地は少ないように見えた。
「シップ、この惑星の名前は何て言うの」
「この惑星にはまだ名前はありません。分類番号で言いますとZ28番です」
「雄介、この惑星はどう思う」
「うん、少し陸地が少ないような気がするな。もっと陸地が多くて植物が多い方がいいんじゃないかな」
「そうよね、将来文明が発展していくと段々と陸地は開発されていくものね。なるべく陸地が多くて植物も多い方がいいわよ」
「シップ、もっと陸地が多くて植物も多い星を見せてくれ」
「承知いたしました。では分類番号Z52番の惑星です」
「この惑星は、陸地が多くて陸地はほとんど植物のようだけど海が少ないね。この惑星も住みにくそうだね」
「シップ、次は陸地と海がほぼ同じ位の面積の惑星を見せてくれないかい」
「承知致しました。では分類番号Z39番の惑星です」
するとシップのディスプレイに綺麗な水色をした惑星の画像が映し出された。
「この惑星は陸地と海がほぼ同じ位の面積だね。陸地には植物も多そうだし良さそうだね」
「シップ、この惑星までの距離はどの位なの」
「地球からZ39番惑星までの距離は、6万光年程です」
「シップだとこの惑星まではどの位で行けるの」
「私で2日もあれば到着致します」
「そうか、だったら一度見に行ってもいいね。実際に行ってみてこの星に住んでいる人が居ないか確認もしておかないといけない」
「そうね、まだ文明が無くても既に原始的な生活を始めている人間が居るかも知れないものね」
「よし、そうなったら明日にでも見に行こう。三人で行くかい」
「オッケー」良太と由香里が声を揃えて言った。
次の日、雄介達は三人でシップに乗りZ39番惑星を目指した。シップは異次元空間を移送して、その惑星まで2日程で到着した。
「雄介様、間もなくZ39番惑星です」シップは、ゆっくりとZ39番惑星に近づいて行った。その惑星は、地球に似た感じで薄い水色をしていた。陸地には植物が生えていない場所もあったが、比較的植物も多い惑星だった。
「この惑星も自然がとても綺麗だね」良太がシップの窓から見えるZ39番惑星に見入っている。
「そうね、こんなに素敵な惑星なら私達が住んでもいいわね」
「この惑星ならゾイバー星の人々も気に入ってくれるかも知れないな。よし、じゃあシップ上空から惑星の陸地を見て回ろう。陸地の画像も撮っておいてくれないか。それと生命体が存在しないか確認もして欲しい」
「承知致しました」
雄介達は、ゆっくりと陸地の上空を飛びながら惑星全体を見て回った。その惑星は、まだ所々で火山活動も盛んで、できて間もない惑星の感じだった。しかし植物もしっかり生息を初めていて大きな森やジャングルのような所も多く有った。湖や川も有り海の水も豊かで、星全体が自然の宝庫の感じがした。
「雄介、この惑星を見ていると地球も大昔はこんな感じだったんだろうなって思うね」
「そうね、こんな状態の惑星に生物が誕生して人が生まれ、そして文明を築き上げて、地球も今のような素晴らしい星になってきたのね」
「僕達の地球も何億年と言う長い年月を掛けて誕生し、そして今のような幸せな暮らしを作り上げてきたんだ。その幸せな生活をこれから何年も、何百年も、何千年も続けていく為に、もっともっと幸せな星にしていかなければならないね」雄介達はZ39番惑星を見ながら、これからの地球のことにも感慨深く思って話していた。そして、雄介達が惑星の大体の全体を見て回るのに2日掛かった。
「雄介、惑星の全体を見て回ったけど、大きな動物等の生命体はまだ存在していないようだね」
「この惑星は比較的新しい惑星のようだから、動物なんかが生存してくるには、まだかなりの年数が必要なのかも知れないね」
「どうなの雄介君、この惑星にゾイバー星の人達を移住させるようにするの」
「君達はどう思う」雄介が良太と由香里に聞いた。
「この惑星をゾイバー星の移住先として、候補に挙げても良いと思うけど、一度そのことを宇宙波動エネルギーに尋ねてみたら」
「そうだね、じゃあ早速尋ねてみるよ」雄介はその場で瞑想を始め、宇宙波動エネルギーに尋ねた。
『宇宙波動エネルギーよ、お尋ねします。このZ39番惑星をゾイバー星の移住先の候補として上げるのは良いのでしょうか』すると雄介の左耳の奥で『ポク、ポク』と音がした。雄介は、ゆっくり目を開けて二人に親指を立てて見せた。
「オッケーだ」
「そうなんだ。でもこの惑星にゾイバー星の人達が住める街を作るのは大丈夫そうだけど、問題はゾイバー星がギャラクシーユニオンに加入できるかが問題だよね」
「そうね、移住先の候補としてこの惑星を上げても、今の地球だけの力ではとうていこの惑星に街を作ることは不可能だわ。どうしてもゾイバー星がギャラクシーユニオンに加入して、ギャラクシーユニオンの力を借りて住めるようにしないと無理よね」
「じゃあ今度は、ゾイバー星のリンリンさんと交渉しないといけないね」
「次の問題はそこね」
「よし、じゃあ次はゾイバー星をいかにしてギャラクシーユニオンに加入させるか対策をねろう」
「了解」
そして雄介達三人は、地球に帰って行く途中、ゾイバー星をギャラクシーユニオンに加入させる方法を話し合った。
「しかし、リンリンさんはかなりの頑固者のような気がするな」良太が腕組みしている。
「そうね、そんな人をどうやって説得して、ギャラクシーユニオンに加入できる人物に変えるの」
「そうだね、でもリンリンさんを説得する前に、僕の心の奥底にある悪い心を無くすことが必要だ」
「雄介はそれができそうなのかい」
「最近は自分の心の奥底を常に見て、悪い感情が出てこないか考えているんだけど、完全に悪い心を無くすことができているのか分からいよ」
「そうよね、自分の心の奥底なんて、本来なら自分の気が付いていない感情なんでしょ。それを意識して見るなんて凄いことよね」
「でも完全に悪い心を無くすことができていれば、リンリンさんに会って話しをしても、僕自身が感情的にならずに済むと思うんだ。それにリンリンさんも以前と変わってくれている気がするんだ」
「それが雄介が完全に悪い心を無くすことができたかの、指標になるんだね」
「でも、もっと何か僕の良い心で行わないと、僕は完全に変われない気がする。それが何なのかはまだ分からない」
「雄介君、でも一度リンリンさんと話してみたら。そしたら自分がどれだけ変われているのか分かるんじゃないの」
「そうだね、地球に帰ったらもう一度、リンリンさんと話しをしに行くよ」
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