13,総会

 次々とワーマ星の近くに、ギャラクシーユニオンに加盟している星々の宇宙船がやって来た。それぞれの星が、良太の指示に従ってワーマ星の海の上に会場を作る手伝いをした。その甲斐あって会場も直ぐに完成して、パーティーの準備も整った。


 「良太、会場の準備が整ったようだね」

 「ああ、多くの星の手助けが有ってとても助かったよ。もう何時でも総会を開催できるよ」

 「よし、それなら2日後に開催しよう。そう各星の理事に連絡してくれないか」


 「了解。ところで雄介、ワーマ星からは何人位出席してくれそうなんだい」

 「そうだな、マザーさんには出席してもらうようには話しているけど、他にも何人か呼んでいいのかい」

 「そうだな、500人位なら呼んでいいよ」


 「そうなんだ。凄いな。それならマザーさんにそう伝えるよ。きっと喜んでもらえるよ。良太も色々大変だったと思うけど、今回良太に総会の責任者を頼んで本当に良かったよ」

 「そう言ってもらえると僕も嬉しいよ。頑張った甲斐が有ったよ。ところで司会進行は誰がやるの」


 「それはプッペ議長に頼んでいる。プッペ議長は何回かやっていて慣れているからね」

 「了解、ならプッペ議長と打ち合わせしておくよ」

 「ありがとう良太。総会が無事に開催されるように、最後までよろしく頼むよ」

 「僕に任せておいてくれ」良太は自信ありげに親指を立てた。


 2日後、ギャラクシーユニオンの総会が開催された。ワーマ星の海の上に作られた会場は、外に有る広い広場とパーティーが開催されるドームとでできていた。会場の広場には約五百の星々からそれぞれ二名ずつの参加で、1,000人程の星人が集まっていた。星人は、背が2メートル程ある者や、目が四つある者、とても小さい者、昆虫のような顔をした者など様々な星人が集まっていた。


 「雄介、こうやって色々な星の星人を見ると凄いね。この宇宙の偉大さを感じるよ」良太が雄介と話している所に、アロンとソニヤがやって来た。

 「雄介、久しぶり。色々と頑張ったようだね」アロンが雄介の肩に手を置いて言った。

 「雄介さん、私もあなたの活躍を嬉しく思うわ」


 「アロン、ソニヤさん。ありがとう。来てくれたんだね」雄介も久しぶりにアロンとソニヤに会えて嬉しかった。

 「雄介、後でゆっくり話を聞かせてくれ」アロンとソニヤは、会場に入って行った。


 「ところで雄介、ワーマ星の人々はまだ来てないようだけど、どうやって会場まで来るんだい」良太が周りを見渡している。

 「それが、マザーさんに500人位の参加をお願いしたら、とても喜んで下さって、迎えに行くと言ったんだけど、それは自分達で行くから大丈夫と言われたんだ」


 するとワーマ星の大きな木の方から、大きな鷹のような鳥が何羽も飛んで来るのが見えた。その鳥が会場の近くに来ると、鳥の左右の足にワーマ星の人々が何人か掴まっているのが分かった。そして次々と会場に降り立った。その様子を見ていた星人達が歓声を上げた。


 「凄いな。こんな大きな鳥をこの星の人々は、操っているんだ」良太と雄介がその様子を見ていると、そこへマザーがやって来た。

 「天野さん。本日はギャラクシーユニオンの総会にお招き頂きましてありがとうございます。お言葉に甘えまして大勢でやって参りました」

 「マザーさん、よくいらして下さいました。ありがとうございます」


 会場に到着したワーマ星の人々に翻訳機を耳に付けてもらって、会場に居る星人達の中に入ってもらった。すると様々な星の星人にワーマ星の人々は驚いた様子だったが、とても友好的な星人ばかりなので、ワーマ星の人々は直ぐに打ち解けて楽しそうに会話した。


 「皆様、お待たせ致しました。只今からギャラクシーユニオン総会を開催致します」プッペ議長の声がマイクを通して会場に響くと、会場全体に拍手が沸き上がった。

 「それでは開催に先立ちまして、我がギャラクシーユニオン総理事長の天野雄介様よりご挨拶を頂きます。天野様よろしくお願い致します」雄介とマザーが壇上に上がった。


 「ギャラクシーユニオン会員の皆様、総理事長を務めております天野です。よろしくお願い致します。今回の総会開催は、事前な連絡も無く急な開催になりましたことを、まずはお詫び致します。しかし急な開催にも関わらず、大勢の方々にお集まり頂き、そして総会の準備にも皆様にお手伝い頂きまして誠にありがとうございました。


 今回総会が急な開催になりましたのは、このワーマ星を救う為でございます。皆様も、もうお分かりだと思いますが、私の後ろに見えている、あのとても大きな木がこの星には存在しております。あの大きな木にはこの宇宙全体の知性を持った生物の潜在意識が集まって来る木なのです」すると会場全体にどよめきが起こった。


 「皆さんも驚かれたと思います。しかしこれは事実なのです。そして、あの木に集められた潜在意識のエネルギーを宇宙に放出する為には、愛の心が必要なのです。それを長年やって来られたのが、こちらにおられますマザーさんです。


 マザーさんの魂は最高レベルの6に達している方です。その魂を使ってエネルギーを放出されて来られたのです。しかし今回マザーさんから依頼が有りました。マザーさんの後継者を見つけて欲しいと言うことでした。もしマザーさんの後継者が見つからず、木に集まった潜在意識のエネルギーを宇宙に放出することができなくなったら、この宇宙に存在する人々の心が繋がらなくなります。


 平和も、愛も、友情も無くなってしまうかもしれません。そんなことは決して有ってはならないのです。しかし、幸いにも後継者が見つかりました。それは皆様もご存じのラボーヌ星のコンピューターです」そこでまた、会場にどよめきが起こった。


 「2か月程前に私達は、そのラボーヌ星を助ける為に行って参りました。そして無事にラボーヌ星は危機を脱して、現在は復興しております。そのラボーヌ星での役目を終えたコンピューターを私が預かり、そして先日このワーマ星のあの大きな木に、そのコンピューターを接続したところ、正常に作動して立派にマザーさんの後継者が務まることが確認できました。


 そこでこのコンピューターを使用するに当たりまして、皆様の承認が必要となります。このワーマ星が我がギャラクシーユニオンに加入することが、この宇宙にとりまして良いことなのか、皆様にご判断して頂きたく思います。ではここでワーマ星のマザーさんにご挨拶をお願い致したいと思います」


 そして、壇上の中央にいる雄介の横にマザーが進んだ。すると会場からどよめきが起こった。マザーが発するオーラのエネルギーで、壇上の中央がひときわ明るくなったからだ。


 「皆様初めまして、私がこの星のマザーと申します。只今天野様の方からご説明が有った通りでございます。私はもう高齢です。本来ですと我が星の中から私の後継者を選ぶところですが、それが叶いそうではなかった為、今回ギャラクシーユニオンの天野様にお願い致しました。


 皆様、この星のあの大きな木は、この宇宙にとってとても大切な存在です。どうかそのことをご理解頂いて、我が星がギャラクシーユニオンに加盟することをお許し下さい。この星で生活しております全ての者で、この大切な木を守って行くことをお約束致します。ではここでその大きな木の中心を皆様にお見せ致します」


 「それは本当ですか」雄介がマザーの言葉に驚いた。

 「はい、本当です天野様。あの木の中心を見て頂けると、あの木の重要さが皆様にもご理解頂けると思います。ここにおりますこの星の者は、全てが魂のレベルが4か5に達した魂レベルの高い者ばかりです。


 皆さん近くに居るこの星の者と手を繋ぎ、そして目を閉じて下さい。そして意識を集中して下さい。皆さんの意識をこの星の大きな木の中心にお連れ致します」そう言うマザーの言葉に、会場に居る全ての星人が、ワーマ星の人々と手を繋ぎ、目を閉じて意識を集中した。


 「さあ、天野さんも私と手を繋ぎましょう」そう言ってマザーが雄介の前に手を出した。

 「そうですね。お願いします」雄介は、マザーと手を繋ぎ目を閉じた。するとゆっくりと意識が木の中心に近づいて行くのが分かった。そして頭の中にはっきりと、あの大きな木の中心が見えてきた。


 「天野さん、一時的にルシアを作動させてもよろしいでしょうか。皆様にルシアの力も見て頂きたいのです」

 「はい、いいですよ」

 するとマザーは、テレパシーを使ってルシアを作動させた。


 『ルシア、木のエネルギーをあなたの愛の心に集めて、そして宇宙に放出しなさい』

 『はい、マザー。分かりました』


 するとルシアは7色の眩しい光で、その空間の全てを照らすかのように激しく光を放った。そして次の瞬間、木の中心の幹がこれも7色の激しい光で輝きだし、下から上にもの凄い勢いでエネルギーを放出したのが分かった。それを見ていた全ての星人が歓声を上げた。


 「ワー」

 「皆さん。目を開けて空をご覧下さい」マザーがそう言ったので皆は、目を開けて大きな木の方を見た。すると大きな木の上空に、まるで花火が上がったかのように7色の光が天高くまで上がっていた。やがてその光が空一面に広がり、空全体が7色の光で覆いつくされた。それはこの世の物とは思えない程の美しい光景だった。それを見た星人達は口々に言った。


 「何て凄い光景だ。こんな綺麗な空を見たことがない」

 「この星の木のエネルギーは、とてつもなく凄いな」

 「あの木は、この宇宙にとって必要な木だよ」

 「マザーさんにも凄いオーラを感じる」


 マザーが再び皆に話した。

 「皆様、いかがでしたでしょうか。この星のあの木の重要性がご理解頂けましたでしょうか。皆様何卒、我が星のギャラクシーユニオン加入の承認をお願い申し上げます」マザーはそう言って深々と頭を下げた。すると会場にいたワーマ星の全ての人々も、周りに居る星人達に深々と頭を下げた。すると会場中に拍手が沸き上がった。


 「それでは皆様、ここでワーマ星のギャラクシーユニオン加入の採決を取りたいと思います」プッペ議長の声が会場に響いた。

 「ワーマ星のギャラクシーユニオン加入に賛成の方は、挙手をお願い致します」すると会場に居る全ての者が手を上げた。壇上の上に居た雄介もマザーも、そしてプッペ議長も、プッペ議長はしっぽまで高々と上げた。


 「皆様賛成ですね。反対の方は居ないですか。もし反対の方がいらっしゃいましたら、大きな声で発言して下さい。大丈夫ですね。それでは皆様、満場一致で、ワーマ星のギャラクシーユニオン加入が承認されました」すると会場中に大きな拍手が鳴り響いた。


 「それでは天野総理事長、総評をお願い致します」

 「皆様、ありがとうございます。ギャラクシーユニオンの全ての星がこのワーマ星を助ける為に、ワーマ星の加入に賛成して頂きまして、本当にありがとうございました。そして今回、総会の準備の段階から皆様の心が一つになり、この総会が素晴らしい物になりました。


 私はこれこそがこの宇宙の平和に繋がることだと思っております。今日この場で新しい仲間が増えました。この新しい仲間と共に更に素晴らしい宇宙の平和を築き上げて行こうではありませんか」


 「天野総理事長、ありがとうございました。それでは皆様、これよりワーマ星のギャラクシーユニオン加入を祝しましてパーティーを、皆様の後ろのドームで行いますので、そちらに移動をお願致します」すると会場から再び歓声が上がった。


 そして皆がドームに移動し乾杯の準備が整った。パーティー会場の司会席には再びプッペ議長が上がった。

 「皆様、お待たせ致しました。それでは乾杯の音頭を、今回の総会の総指揮に当たって下さいました。秋山良太様にお願いしたいと思います」

 

 「僕が、何も聞いてないよ」

 プッペ議長の近くに居た良太が、プッペ議長の言葉に驚いた。

 「秋山様は、天野総理事長のご友人で、お仕事も一緒にされています。皆様もご存じのように、今回の総会準備にはとてもご尽力頂いて、立派にこのような総会を開催することができました。それでは、秋山様よろしくお願い致します」


 「はい、分かりました」良太がグラスを持って、司会席に立った。

 「皆様、只今ご紹介に預かりました秋山良太と申します。急に乾杯の音頭を仰せつかりまして少々慌てておりますが、よろしくお願い致します。今回の総会の準備には皆様にご協力頂きまして、このように素晴らしい総会が開催できましたことを先ずはお礼申し上げます。本当にありがとうございました。では皆様グラスをお持ち下さい。


 今回新しくギャラクシーユニオンに加盟されましたワーマ星の皆様と、ギャラクシーユニオン会員の星々の皆様のご健康とご多幸を、そして宇宙全体の平和をお祈り致しまして、乾杯!」良太の大きな声が会場に響いた。すると、会場に居る全員が大きな声で言った。

 「乾杯!」会場全体に歓声が沸き上がり、皆が拍手をした。


 「秋山様、ありがとうございました。それでは皆様ごゆっくり料理をお召し上がり下さい。今回の料理は全ての星の皆様に料理を持ち寄って頂きました。皆様、様々な星の料理をお楽しみ下さい」プッペ議長がそう言うと、皆が様々な星の料理を楽しんだ。ワーマ星の人々も各星の星人達と楽しそうに話しをしながらパーティーを楽しんだ。


 「天野さん、本日は本当にありがとうございました。これでこの星の木が守られました。後はルシアをしっかりと私の後継者として教育致します」マザーが雄介に深々と頭を下げた。


 「マザーさん。今回のことはあなたが言われていたように、こう言う流れだったんですね。あなたは流れを待っていたとお話しでしたが、この宇宙は全てが繋がっていて、自然な流れがあるのですね。今回のことで良く分りました。この自然の流れを壊さないようにして、この宇宙全体の平和と愛を守っていかなければなりませんね」


 「そうですね。この宇宙の中には自然の大きな力が働いています。その自然の大きな力と共存していかなければなりません。もし今回私がその自然の流れを無視して、私の我で天野さんに協力をお願いしていたとしても、良い結果は得られなかったでしょう。


 自分のなすべきことを信じ、愛と平和の心で日々努力していれば、自然と良い結果を得ることに繋がっていくのです。人の心も同じです。自分を信じ愛と平和の心で日々過ごしていれば、自然と周りから良い結果を得られるものなのです」


 「はい、そうですね。愛と平和の心が大切なのですね。私も今回のことで色々と勉強になりました。しかしまだまだこの広い宇宙の中には、計り知れない未知の領域が有るような気がしてなりません。マザーさん、今後も色々と私に教えて下さい。よろしくお願い致します」


 「天野さん、私もギャラクシーユニオンの会員に成りましたので、これからはこの宇宙の平和と愛を守る為に。この命が続く限り協力させて頂くつもりでおります。こちらこそよろしくお願い致します」


 「マザーさん、ありがとうございます。あなたのように魂のレベルが高い方にご協力頂けると、とても心強いです。今後は時々テレパシーで交信させて頂いて、色々とご相談してもよろしいでしょうか」

 「どうぞ、何時でもいいですよ。私で分ることでしたら何でもご相談に乗ります」

 雄介は、マザーと言うとても魂のレベルが高く、この宇宙の仕組みについて多くの知識を持った協力者を得たことが、とても安心感に繋がった。


 無事にギャラクシーユニオン総会も終了し、各星の代表達も自分の星に帰って行った。最後にラボーヌ星のルバノーラ総長とダーバルが、雄介達のいるマザーシップに挨拶に来た。

 「天野さん、お疲れ様でした。私達もそろそろ帰ります。またラボーヌ星の近くに来られることが有りましたら、是非お立ち寄り下さい」


 「ありがとうございます。ルバノーラ総長、是非その時は寄らせて頂きます。ダーバルさんもありがとうございました。マザーさんには私から時々連絡を致しますので、もしルシアさんのことで何か有りましたらご連絡致します」


 「分かりました天野さん。何か有りましたらご連絡下さい」

 「ではこれで失礼致します。私達にできることが有りましたらご連絡下さい。この宇宙の愛と平和を守る為なら直ぐに駆けつけて参ります」そしてルバノーラ総長とダーバルは帰って行った。


 「雄介様、そろそろ私達も帰りますか」プッペ議長が言った。

 「そうですね。帰る前にもう一度マザーさんに連絡をしておきたいので少し待って頂けますか」そして雄介は、自分の部屋でマザーにテレパシーを送った。


 『マザーさん、聞こえますか。天野です』

 『はい、天野さん。聞こえますよ』

 『そろそろ私達も帰ろうと思います。この度は色々とお世話になりました。また何か有りましたらご連絡下さい。私の方からも色々相談させて頂きたいと思っておりますので、よろしくお願い致します。最後に一つだけお聞きしても宜しいでしょうか』


 『はい、いいですよ』

 『以前、魂のレベルが6に達した者は、更に魂を磨くことによって魂からオーラを発することができると聞きました。そのオーラで人を健康にできたり、幸せな気分にしたりすることができるそうですが、私もマザーさんのような強いオーラを発する為には、どのように魂を磨いていけば良いのでしょうか』


 『それは、天野さんの心と、この宇宙がどのような法則で動いているのかを感じ取ることが大切です』

 『心と宇宙の法則ですか?』


 『あなたは今回とても大切な心に気が付きましたね。その大切な心とは愛の心です。愛とは自分のこと以上に人のことを大切に思う心、そして全てを受け入れる心、全てを許す心です。愛の心こそがこの普遍宇宙の極点の心なのです。


 その愛の心と宇宙の法則を自分の心に深く刻み込むことが大切なのです』

『私は今回のことで愛の心の素晴らしさを学びました。そして愛の心が偉大な力を持っていることを感じました。その愛の心と宇宙の法則が大切なんですね』


 『そうです、人や物を愛するという愛の心にはエネルギーがあるのです。人の心の中に愛があると、その人の体からは強い愛のエネルギーが発せられます。そのエネルギーは目には見えませんが、必ず身近に居る人に伝わります。


 愛のエネルギーは、その人自身はもちろん、その人の周りの人にも健康や幸福をもたらします。逆に怒りや憎しみのような悪い心だと悪いエネルギーが発せられ、その人自身が病気になったり不幸になったり、周りの人にも悪い影響を与えたりします。


 ですから強い愛のエネルギーで心を満たさなければいけないのです。愛のエネルギーが強ければ強いほど、その人が居る星全体にもエネルギー広がって、星全体が愛で包まれるのです。


 もし愛の心が無くなれば一つの星が無くなってしまうことさえあります。この世は心の世界です。天野さん、あなたはこれから先この宇宙の愛と平和にとって、なくてはならない存在です。それをしっかりと自覚されて、ご自分の心の奥底を見て下さい。人間は強いようで弱い者です。その心の奥底に有るものと、しっかり向き合って行くことが大切なのです。


 そして次に、この宇宙全体の法則を理解する必要が有るのです。天野さんは、この宇宙が心の世界と現実の世界が、表裏一体となって存在していることはご存じですよね。それを身を持って実感し、そしてどのような心であれば、現実の世界をコントロールできるのかを知る必要があるのです。そうすれば、あなたの魂は更に磨かれて素晴らしいオーラの力を発揮するでしょう』


 『そうですか、心の奥底と向き合うことと、宇宙の法則を実感するのですね。それは具体的に、どのようにしていけば良いのでしょうか』

 『それは、これから先あなたが直面することの中で、自然と理解できてくると思います。そしてあなたの心と宇宙の法則が一つになった時、あなたは強いオーラを発することができるのです』


 『そうなんですね。分かりました。これから先、私もマザーさんのように強いオーラが発することができるように、精一杯精進して参ります』すると、ふと雄介の脳裏に思い出されたことが有った。


 『マザーさん。もしかしてあなたは、以前地球が滅亡の危機を迎えて、もうダメかと私が思った時に、私にテレパシーでメッセージをくれたのではないのですか』

 『そうですね。そんなことがありましたね』


 『そうだったのですね。あの時はありがとうございました。マザーさんの言葉で地球は救われました。あの時マザーさんの言葉が無ければ、今頃地球は存在していません。本当にありがとうございました。


 マザーさん、また色々と教えて下さい。よろしくお願い致します。ではこれで失礼します。マザーさん、お体には十分お気を付け下さって、ワーマ星や木を守って行って下さい。ありがとうございました』雄介は、マザーと別れを告げて帰って行った。


 雄介達三人が、ラウンジでくつろぎながら話しをしている。

 「雄介、しかし今回の旅は色々有ってとても刺激になったよ」良太が明るく言った。

 「そうね、こんなに長旅になるとは思わなかったけど、でもとっても有意義だったわね」由香里も嬉しそうに言った。


 「君達が今回一緒に来てくれていて本当に良かったよ。僕一人では何も解決できていなかったと思うよ。これからもよろしく頼むよ、お二人さん」

 「よし、これからも三人力を合わせて、この宇宙の愛と平和を守る為に頑張るぞ」

 「その調子だ。良太」


 「エイ、エイ、オー、イェーイ」三人は、声を揃え高々かと手を上げてハイタッチをした。ちょうどそこへプッペ議長がラウンジに入って来た。

 「おや、皆さんだけでハイタッチは無いでしょう。私も参加させて下さいよ」そう言ってプッペ議長も三人のハイタッチに、しっぽで参加しようとした。


 「ギャー、止めてプッペ議長」三人はラウンジの中を逃げ回ったが、プッペ議長が三人を追いかけまわした。そして雄介が議長に捕まって、頬ずりされた。

 「雄介様、これからもよろしくお願いしま~す」

 「ギャー、議長~、止めて~」宇宙全体に響き渡る程に雄介が悲鳴を上げた。


 アロンがアンドロメダに帰って雄介のことを長老に報告した。

 「長老、天野雄介は今回のことで色々と学んだようです。マザーと言う魂レベルの高い助言者にも出会い、愛の心の重要性も理解したようです」


 「そうだな、彼の魂も大分成長してきているようだな。人生において愛の心の重要性を学んだことは、この宇宙を守っていくためにも必要なことだ」

 「どうですか長老、これで彼の魂でダークパワーによる宇宙の異変を救うことができますでしょうか」


 「いや、まだだ。この宇宙の全てを救う為には、彼の魂をもっと磨いて魂から出る強いオーラの力が必要だ。彼を更に精進させるのだ」

 「そうですか。承知いたしました」


 雄介は、地球に向かうマザーシップの中で、瞑想をし心を宇宙と一体にしていた。雄介の心は、宇宙と同じほどの広い心になっていた。そして雄介の愛の心で宇宙全体を包んでいた。


 「この宇宙は偉大だ。僕はまだまだ学ぶことが沢山あるようだ。今回愛の心の重要性を学んだ。愛の心でこの宇宙に存在している全てを包んでいくぞ。そしてこの宇宙の法則をもっと、もっと学んで僕の魂からオーラが出せるように頑張っていくぞ」


 雄介の心は、やる気と希望に満ち溢れ、地球と宇宙全体の平和と幸福の為に、全力で尽くしていく決意を新たにしていたのだった。

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