第04話 Summon “CVM-22B&MRE&Canteen”
道なき大平原を疾走し、ようやく街道から1時間ほど離れた場所に到着した。
(帝都で騒ぎを起こしたからな。皇家の連中だけじゃ無く、他の召喚者に車両について知られるのも時間の問題だろう。ここは素早く遠くに逃げるべきだ。
それに魔法が存在するような世界。中世のように見えて何らかの遠隔通信手段があった場合、この帝国内の都市に寄るのは危険だ。
そもそも身包み剥がされて無一文だ。今の所収入を得られる充ても無い。
ここは高飛びに適した物を召喚しよう。)
「Summon CVM-22B」
今度は詳細なオプションも指定する。
オプションは細かい装備だったり、パイロットなどの人員すら含まれる。
自己の中でスキルに問いかけすると、召喚と言っても、私のような現実世界からの誘拐召喚とは異なり、現実世界の装備や人員のコピー体を召喚するものと分かった。
都合の良いことに、召喚した物を送還したり、そのまま存在を固定することも可能だ。
つまり、水や食料等の消耗品はそのまま使えるし、これまで召喚した車両・航空機などが不要になったら送還できる。
但し、同時召喚できる数にも限りがあるし、召喚&送還したら、再召喚までの待ち時間が発生するので、そのへんの遣り繰りも工夫する必要がありそうだ。
とは言え、パイロット込みで航空機を召喚したので中に乗り込み、パイロットに指示を出す。
「まずは一旦離陸し、高度を上げて海を探してくれ。見つかったら海岸線を目指して飛行し、海岸沿いの無人の原野に着陸するように。」
「分かりました。」
発進準備をしている間に、HMMWVを送還する。この航空機には積載できないからだ。
発進までまだ時間があるが、飲まず食わずだったことを思い出して手軽な物を召喚する。
「Summon MRE&Canteen」
丁度1食分のMREと1L程の水入り水筒を出した。
早速喫食する。
(食えないことは無いが、旨いものじゃない。腹が減っているから食うんだけど。
ネットで見たように、ここの物はあまり旨くないって本当だったんだな。)
食べ終わり、一息着いた頃には飛行準備が完了したので、早速離陸させる。
ホバリングしながら浮き上がった後、ティルトローターが角度を変え、飛行モードへと移行する。
徐々に高度を上げ、巡航速度に到達してから可能な限り上昇してその場を大きく一周する。
幸いにも天気が良く、雲も少ない。遠くまでよく見える。願いかなって海が見える。
この機体の航続距離は今のペイロードを鑑みると1295km以上。目測だが余裕で辿り着けそうだ。
そのまま機首を海に向け、移動を開始した。
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