第03話 Summon “Military Boots&HMMWV”

 大通りを郊外方向へ歩いて行くと、途中ちょっと開けた場所があった。辺りを見回し、屋台も何もない場所へ行く。


 (足が痛い。木製サンダルだと限界・・・。)

 

 自身のユニークスキルに向き合い、問いかける。すると頭の中に膨大なリストが浮かんでくる。

 (思った以上だ。これで生き抜く目処が立った。早速だが靴を何とかしよう。)


 「Summon “Military Boots”」

 と呟く。すると、目の前に軍用ブーツが現れる。

 (これこれ。足下は何とかなりそうだな。)

 すぐさま、ブーツに履き替える。サイズもぴったりで、足に馴染む。



 郊外方向を眺めてみると、街から完全に脱出できるまでまだ距離がありそうだ。

 (数kmはありそうだし、正直治安もかなり悪い。ここまでスリには遭ったが絡まれたりしなかったのは大通りだからだろう。安全かつ迅速に通り抜けるには、これが良さそうだな。)


 再度呟く。

 「Summon “HMMWV”」

 軍用の4輪軽車両が出現した。

 (もうかなり注目を集めている。直ぐ行くしかない。オプションも選べたが、吟味する時間も無い。素の状態で十分!)


 早速車内に入りエンジンを始動する。ガラガラとディーゼルエンジン特有の音がする。

 やはりというか、完全に周囲の注目を集めてしまった。

 (これ以上ここに留まるのはリスクしか無い!)


 早速シフトをDに入れ急発進する。周囲の人間が驚いて道を空ける。

 アクセルを踏み込んで速度を上げる。道自体の凹凸があるので、上げられる速度には限界があるが、順調に街から遠ざかっている。

 大通りには馬車も通行しているので、可能な限り速度を落とさずに蛇行しながら進む。

 (周囲の馬車の馬が驚いたりして騒ぎになっているが、知ったことか。)


 そのまま進むと帝都と街道の間に設けられた検問所が見えてくる。建物から兵士が次々と現れ抜剣したり、槍を構えたりして目の前に立ちはだかる。


 (やるなら徹底的にだ!)

 更にアクセルを踏み込み、速度を上げる。


 恐ろしい勢いで突き進むHMMWVを前に、危険を察知した兵士はすぐさま道を空けるが、出遅れたのか使命感に駆られているのか分からないが、2人ほどそのまま立っている。


 (ここが日本なら急ブレーキだが、こんな糞みたいな帝国に遠慮することは無い。この力の真価がバレても良いように利用されるのがオチだ。)


 そのまま突っ込み、2人を跳ね飛ばし、無事帝都から脱出することが出来た。不思議と罪悪感は感じなかった。


 (このまま燃料の限界まで走行して距離を稼ぐぞ。)


 街道をそのまま走った後、街道から離れ、直ぐに誰かが追い縋ってこないよう道なき平原をひたすらに走り続けた。

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