第三話

「えと、ここまでで僕が玲衣だということ、君が僕の元?彼女だということはわかったんだけどさ…」


ここまで少しの情報を手に入れられたのはいいが、ここからどうするかは何もわからず終いだった。


「んー?」


と、首をかしげながら前を歩き始めていた彼女が振り返る。


「僕は、どうすればいい、の…」


それだけというか、それに関していろいろ問題が多すぎるのだ。


住む場所は、学校は(まだ自分の年齢も確定していないが)どうしるかなど詩文の名前などが知れても何にもならない。


「どうすればってー、多分学校とか家のことだよね。

 玲衣の家とかはわからないからなー…」


家を知っていてくれたら手っ取り早かったのだが、それは叶わなかったらしい。


「じゃあ!私の家来るー?」


急にそんなことを言われ戸惑ってしまう。


彼氏とは言え家に男子を軽々と招き入れていいものなのかなど色々考えてしまって黙ってしまう。


「んー?急に黙っちゃってどうしたの、だめだった?」


心配そうな顔でこっちを見てきたので思わず


「あ、大丈夫です!」


反射でそう答えてしまった。


「おっけー、じゃあそうしよっか」


ん…?何がどういうことだ。


あれ、僕まずい反応した、かも。


「そうしようって何ですか…!?

 反射で言っちゃっただけで家に行くのに大丈夫ってわけでは…」


「そーなの、まあいいじゃん!結局何もできないより私の家来たほうが安心でしょ~」


安心とかの問題じゃない…!!


「えーと、けどー、色々ありますし…?」


「はいはい気にしなーい、あと敬語なってるよ?

 それの罰ってことでー!はい!いこう!」


無茶苦茶な人だ…


僕は記憶喪失になる前この人とどうやって付き合ってたんだ。


そんなことを考える僕だったがすぐに手を引っ張っていかれ考えるのをやめるのだった。

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何も知らない僕は君と恋をする。 @kanato0116

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