人間と AI の関わり方については星の数ほどパターンが述べられてきました。
本作はその極限です。人間の時代の終わり、「人新世」の終わりにおいて、人間と AI がいかに関わるか。
相手が AI であるのは、もはや人間は誰一人生き延びられないから。遺言を残す相手に選ばれたのは、生存条件が違い、生存確率が高い AI でした。
それでありながら遺言を編集し残すまでの過程はなんと情感豊かなことか。始めはステレオタイプとも言えるほど機械然とした AI との会話が実に瑞々しくて。人間が二人で会話しても、これほど幸せな経過をたどることは稀です。
この物語は遺言が残された背景です。遺言そのものには記されていない箇所を多く含むことでしょう。
これは人類の最後の遺言が残される裏にあった美しい物語。誰も見るはずがなかった物語を読者は見ます。
感動的な物語でした(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)✨
私もSF作品を書きますが、SFは表現の仕方によっては硬い印象になり、読み手の幅を狭めてしまうことがあります。
そのため、バランスを取ろうとして、ついSF以外の要素を増やしがちです。
ですが、この作品では最後までSFの軸がぶれることなく、奥深い古典SFの魅力がしっかり伝わってきて、とても素敵だなと思いました。
少し分析的なレビューになってしまいましたが、普段SF作品を読まない方でも、専門用語が苦手な方でも大変読みやすく書かれているので楽しめると思います。
幅広いジャンルの読者の人達に是非おすすめします。