高橋 忠男(たかはし・ただお)

[log] 1948/10/29 04:55:00

誕生。山形県東村山郡の農家。

囲炉裏の火のそばで産婆に取り上げられる。

父は無口に頷き、母は「ありがでごぜぇます」と手を合わせた。


> assign.name: 高橋 忠男

> family: 5人兄弟の長男

> season: 新米の匂いが残る秋


[log] 1954/04/01 06:40:00

小学校入学。冬の朝はカンジキで通学。

雪の上に描いた足跡が、友達との会話だった。


> favorite.game: 雪合戦と川遊び

> note: 石油ストーブの匂い=安心


[log] 1961/06/15 17:20:00

中学校を出たあと、高校には行かず畑に立つ。

「次男は好きにしていい。でもおめは跡継ぎだ」

父の言葉が重く、まだ実感はなかった。


> role: expected_successor

> regret: not yet


[log] 1968/07/10 09:10:00

20歳。トラクター導入。

「これでウチも“現代”だな!」と弟がはしゃいだが、

祖父は「土の声が聞こえねぇ」と渋い顔をした。


> technology.introduced

> nostalgia.triggered


[log] 1975/11/03 13:00:00

結婚。見合いで知り合った和子さんと。

最初は無口同士だったが、白菜を一緒に漬ける頃には、

笑い声も出るようになった。


> wife: 和子

> family.start = quiet + steady


[log] 1979/06/02 06:12:00

長男・正樹 誕生。

「勉強しろ」とは言えなかった。

「手ぇ冷やすなよ、稲が嫌がるぞ」と教えた。


> parenting: inherited

> warmth.unit = calloused hands


[log] 1995/04/25 14:44:00

父の死。

遺品のなかに、若い頃の農具と手帳。

「いつか自由になってくれ」と鉛筆で書いてあった。


> grief: internalized

> lineage: accepted


[log] 2009/09/10 10:30:00

引退。田んぼは正樹に譲る。

「父ちゃんの時代は大変だったな」

「でもおめも、きっとそう言われるぞ」と笑った。


> work.status = retired

> handover: complete


[log] 2021/01/02 06:50:00

雪見の縁側。こたつでミカンを剥きながら、

孫に「東京には雪降らねのが?」と聞いて笑われる。


> peace_level: full

> record: 無言の幸せ


[log] 2033/12/12 03:25:00

静かな朝、眠るように息を引き取る。

和子に手を握られたまま、「あったけなぁ」と呟いたのが最後。


> process.shutdown

> age: 85

> status: deceased


[log] 最終出力:

「オラぁ、遠くには行かねがったけど、

 こごにいて、十分生きだ。」


> archive: /lifetime/takahashi_tadao_yamagata.log

> power.off(でも、田んぼは今も生きている)

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