文明が崩壊した世界では、ダンジョンクリアで神様から王権が貰えるけど俺はそれより神を超えたい~第三次世界大戦は神の怒りで終了し人類はこん棒と意志で闘うようです~
第20話 知的な馬鹿は、物事を複雑にする傾向がある
第20話 知的な馬鹿は、物事を複雑にする傾向がある
大混乱となったショッピングモール。世紀末君たちは主にモールの外で警戒をしていたんだが。
そこには黒狼が投げ込まれ世紀末VS黒狼のバトルが繰り広げられている。
しかし大分へっぴり腰だな世紀末君。黒狼は俺がここまで出会った魔物のなかでは最弱だぞ?
数人は意志の力を持っているようで黒狼と互角に立ち回っているか。しかし覚悟と言うかメンタルが足りないな。
何のために意志を持ったんだ? それじゃ魔物と戦っていくのも一苦労じゃないか。
真田達を見ろよ。一人はそこまで戦えないのか退避してるが、それでも一人でいるんだぞ?本来は護衛される前提で付いてきただろうに文句は言ってない。
いや言っているのかもしれないが少なくともこの状況になった以上、一人で何とかしようとしているんだ。
村上と真田は上手いこと黒狼を間引きながら世紀末君たちを無力化していってる。警察は武力より制圧力とは本当だったんだな。
そして被支配層は。こちらはいつもそうなんだろう、集まって事態を見守っている。今までも世紀末たちが小競り合いをしてただろうがその時も同じだったんだろう。
だがそんな被支配層だって一枚岩じゃないのが見て取れる。世紀末寄りになっていい思いをしようとしてたやつらは焦ってるし。
世紀末にとって代わろうとしてたやつは、チャンスと思ってるんだろうな。そしてそんな下剋上、いや革命家か?そいつこそが俺たちのターゲットであり、次の一手だ。
――――――――◇◇―――――――――――――――――
被支配層であるスーパー側の集団は、混乱の最中でも100人ほどが寄り集まっていた。
人というのは悲しいもので、100人が一致団結というのは難しい。寧ろ同じ立場であるはずの被支配層のなかでさらに優劣をつける。
ここから外の様子はうかがい知れないが、それでも何か起こっていることは分かる。普段自分たちの監視をしているイキった若者が慌てていることからも分かる。
もっとも、イキってると思いながらも、自ら率先して逆らう気概はないのが被支配層となっている要因でもあるのだが。
そして混乱のなかでも嫌な規律だけは守られるのも人間の性である。
つまり危険と思われる集団の外周により立場の弱いものが押しやられ、強いものは中心部に居座る。
そして中心部には5人ほどのグループがあり、周囲とは違い一致団結をしているようにも見える。
その集団のなかにいる一人は思う。
(なんだかよく分からないけどコレはもしかしてチャンスか?アイツらが本格的に争いだしてくれたなら間違いなくチャンスだ。
あいつらにヘイトを受け持ってもらってタイミングよく僕が皆を助けたように見せれば、このモールの王様になれる。
僕が手懐けてあるこの5人を上手く使えば周囲の店からも物資を集められるだろうし一年くらいはいい思いが出来るかも?
それに本気を出せばアイツらなんて倒せるんだ。僕を危険なところに送り込んだ報いだ。僕はそのお陰で必死で魔物から逃げて、その内に前より力があることに気付いて。それで一匹は倒せたんだ。アイツらが倒せない魔物を。
ココで一番強いはずの僕が王様になるのは自然なことだし。このチャンスだって異変後に頑張った僕への神様からのご褒美だ。ここは、動こう)
以前に10人程度で行動していた集団が、スーパーを占拠していたことがある。その集団のなかで最も弱い立場だった彼は、最も危険な仕事を割り振られていた。
外の探索である。彼らは外に魔物がいることを知っていた。しかし、探索を命じていた男が、密かに力を付けていることは知らなかった。
スーパーと言っても本当に小規模な店舗だった。思った以上に消費が激しいことと、物資の偏りがあった。
彼らは新天地を求めてショッピングモールへとたどり着き、そこを占拠していたグループのうち最も大きなな勢力と争いになり傘下に下った。
悲しいことに人間たちはこんな小規模であっても争い合ったのだ。最も、全員が生きておりその後に表面上とは言え協力し合う程度には平和的な争いだが。
そうしてモール内でも勢力争いが続く中、密かに力を蓄えていた男は徐々に自身のシンパを増やしていた。自身の力である、抗う意志を持って。
集団の中で抑圧されていた彼が、権力に抗おうと思い発現したその力は。周囲を巻き込み自身に協力させる洗脳系の力。
彼が異変前に抱いていた思想と親和性があったそれは。魔物と戦う際に周囲の動物を肉壁として利用することに使われていた。
そうして倒した魔物を持ち帰り、力を一部だけ明かし、明かしていない洗脳の力でシンパを増やし、機会をうかがっていた彼は今がチャンスとばかりに立ち上がった。
(これでココの王様になる。そしてこいつらを利用して良い思いをする。今まで苦労した分だ。これはご褒美だ)
「みんな! 今こそ立ち上がろう! 何があったかは分からないけど、あいつらは混乱している。僕が先頭に立ってあいつらと戦います!みんなも出来ることだけでいいから、協力してくれっ!アイツラの支配から、抜け出そう!」
抗う意志を周囲に伝達し、自らが先頭に立つことでこの小さな世界の王になろうと思った男は周囲を見渡す。
これで、全員とは言わないが自身に付いて来るか、少なくとも自身に救いを求めるだろうと思って。その上で支配者を倒そうと思って。
しかし、そんな男の思惑とは裏腹に周囲の視線が冷たい。特に、シンパであるはずの男たちの目線には憎悪が籠っている。
「どうした? これはチャンスだぞ!? あいつらを倒して、避難所生活とは言え、少しでも平和で平等な―」
「うるさい! 俺らをだましてやがったな? お前、自分の考えを伝えられるっていってたもんな。それで自由を勝ち取ろうなんて俺らを洗脳しやがって」
「なっ!?何を言ってるんだ?俺はそんなことー」
「チャンスと思って油断でもしたか? 本音が直接、伝わって来たぜ? お前が王になる? あいつらになり替わるだけじゃねぇか!」
「そうだ、俺にも伝わった。コイツに任せたってなんも変わんねぇ。確かに少し強いかもしれないが複数相手じゃどうにもなんねぇだろ」
皮肉にも自らがシンパとして従えたせいで、シンパは力を増していた。まだはっきりと意志の力は使えないが身体能力は増している。初期の海斗のように。
その結果、立ち上がった男はシンパであった男たちに組み伏せられ、あっさりと小さな革命の火は消えた。
そしてそれを見ていた周囲の多くの人間たちはこれまでと同じように「厄介ごとには拘わらない」とばかりに無関心を装うことを貫き。
小さな革命の火は種火すら残すことなく、消滅した。周囲の人間に「このままではいけないな」という思いだけを強くさせて。
――――――――◇◇―――――――――――――――――
「黄色、沈黙したわね。赤も全滅。周囲は青のみ。ミッションクリア、ってところかしら?」
「そうだね、もう意思は伝えられないけど。元が沈黙しちゃったからね。こっちのミッションも終了だと思うよ。こっちはこの後の事情聴取も必要だけどさ」
「死者ゼロは僥倖だ。雫、重症者の様子はどうだ?」
「数人が重症でしたが後は軽傷でした。重体はゼロです。案外彼らも丈夫だったんですね。それとも雅人さんが何か?」
「黒狼を多少軽くしておいただけさ。死にそうなやつがいないなら治療はまだだぞ。効果的に使わんとな」
重体が生命の危機で重症が入院必要とかだっけか?重症者は悪いがもう少し待ってくれ、色々聞きたいんでな。
とにかくこれでショッピングモールの件は解決だろう。後始末の時間となるわけだが、さて。
「終わりましたか。いや不安でしたよ一人でいるのは。私は戦闘はからきしですので」
馬場か。いやあんたも頑張ってたと思うよ。安全な場所を探すのは得意らしいしな。今も真っ先に俺たちの周辺に来るあたり一番安全な場所を嗅ぎつけたんだろうな。
「おう馬場。すまなかったな」
「真田隊長、ご無事で何よりです。あの状況なら仕方がないでしょう。それに、やっと私の仕事が出来ると思えば苦労の回もあったというものですしね」
「ああ。彼らとの交渉、というか調整か。合流の段取りや向こうでの生活の説明なんかになるだろうな。ま、そんな話はお前の領分だ。任せた」
「了解です。早速彼らと話をしたいところですが、大丈夫ですかね?」
「大丈夫だ。安心させるためにも早めに行って説明を始めててくれ。こっちのことが片付いたら俺も行く」
馬場は集団へ向かい村上もその護衛か一緒に付いていった。そして残った真田だが
「こいつらの処分なんだが協力はして貰えそうかな?流石に俺たちだけじゃどうにもならん。重症者もいるし下手にはうごかせんからなぁ」
「それでしたら元々手伝うつもりでしたよ。雫は看護士でして。それにこの際お伝えしておきますが超常の力もあります。ある程度の傷なら治せます。
運搬もなんとかなるでしょう。ここにはホームセンターもあったはずですし。市役所とここの往復で数回で済むでしょう。私たちなら可能です」
「ありがたいね。そうしたら役割分担を決めてちゃっちゃと動くか。お互いに残業代も危険手当もないしな。手早く終わらせよう」
ま、細かいことは全部任せたいけどな。そんで俺たちは家に帰りたいんだ。ココは勿論ここよりマシであろう避難所も。
拠点に比べれば居住性がな。という訳でちゃっちゃと動きますか。成果給は貰えるのかな?ないだろうけど。
そして往復を繰り返すこと数回。魔物との戦闘や傍らに控える真田や海斗のお陰か、もしくは怪我のせいか。
すっかりおとなしくなった世紀末君たちを避難所に送りショッピングモールのことは真田に任せ。
夜にはなんとか家に帰ることが出来ましたとさ。
こんな世の中でもお仕事頑張って暗くなって帰宅とは、本当に世知辛い世の中だよ。
市長さんよ。明日また会う訳だが。一体お代はいかほど頂けるんでしょうかね?
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