第8話 王都

王都に入るにはパスがいる?

入都市の検問があり、その列に並んでいる。身分証が必要らしい。彼女はいそいそと用意をし始めた。僕はといえば、社員証、免許証、マイナンバーカード、どれも車の中で燃えつきている。どれも証明するものがない。ダメだろうな。すぐに殺される事はないだろうけど、牢屋とかに入るのだろうか?いっそにげだすべきか?悩んでいる。

 検問の順番がちかづきドキドキと高鳴る。二日酔いの気分の悪さがどこかに行ってしまった。という間に僕らの番がきてしまった。

 結果としては何事もなかったことの様に通過。どうも金持ち特権がはたらいた様だ。彼女が一言で客人ですと僕の多分を説明をするとそれが、身分保障になったというわけだ。感謝せねば。

 王都の街並みはさすがに綺麗だった。

 家並みが整然としており、古風な石畳の道の両側には色とりどりの野菜、果物、肉、魚の露店や行商人が並ぶ。おいしい匂いが心地よい。別の世界に来ていると感じてしまう。これからどうするのか?将来への不安感が増してくる。

 どうすべきか?

 まずは身分証明書。次に、 職探し。最後に住むところの確保。生活ができるようになったら、元の正解に戻る方法をさがすべきだろう。

 しかし、その前に自分の素性を話して理解してもらう必要があるし、この世界で生活できる技術を持っているかも不明である。

 先ほど使っていた回復魔法が使えれば、無医村に行って医者の代用で仕事ができるのだろうが、今は同じことができる自信はない。そちらの方の情報も入手して勉強する必要がある。

やるべきことは山積みである。


不安をよそに馬車は進んでいく。


 進んでいた馬車は大きな門を通り抜け、さらに木立を進んで止まった。

「着きました。おりましょう」

 少女に促され馬車から降りる。

 見上げるほどの大きな家である。玄関の扉も広くて大きい。大変なところに来てしまった。

「お帰りなさいませ。お嬢様」

立ち並んだメイド?が声を揃えて迎い入れる。

すごいなぁ。

「お客様とご一緒です。丁重におもてなしお願いします」

「承知いたしました」

 一緒にいた白髪の老人がすかさず答える。

「セバス、お客様を客室にご案内してください。私はお父様にご報告してきます」

「お任せください。では、ヒロシ様、こちらへ」

 老人の後ろをついていく。

 改めて自分の現在の服装がこの家にそぐわないことに気づく。

 ポロシャツ、チノパンにスニーカー。カジュアルすぎる。デートにいくつもりだったからどうしようもないか?

 あっ、彼女どうしたかなぁ?まだ待っていたら可哀そうだけど、どうしようもない。焦る気持ちが湧いてきた。なんとかしなきゃな。

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