辛い事や悲しい事を、誰もが背負っていると思います。
それは人生を見失ってしまうものであったり、
目をつぶりやり過ごせばどうにか流せる事であったり、
どこにもやり場のない感情にただ押しつぶされるものであったり、
そんな様々な形の「辛さや悲しみ」が存在すると思います。
僕はギターを思い出します。
ギターは音程を合わせないと弾けない楽器です。「音のチューニング」は正しくギターを弾く為にとても大切な事です。自分の耳だけで合わせていると、絶対音感がない限り知らぬ間にまるで違う音へとずれてしまいます。
「心」というものはそれと同じで、自分が「それでいい」って思う小さな事の積み重ねが、気が付いたら大きく「本当の自分の音色」を狂わせ、もうどうしょうもなくなる事があると思うんです。
それって酷く辛い事だと思います。
自分の人生が願う事とはまるで違うモノに、気が付いたらなっているんです。
ギターはチューニングが狂った時に、「チューニングメーター」という機械を使ってチェックできます。今作のヒロインはふとしたきっかけで「AI」を頼り、そこから彼女の「心のチューニング」が始まります。
あるきっかけでマスクを外せなくなり、そして声もすごく小さな女の子。
僕はこのヒロインの設定がすごくリアルで身近に感じました。
「ああ、すごくわかる」、僕は何度もそう思いました。
お勧め致します。
僕は「AI」小説と言うと、何らかの警鐘を鳴らしたり、未来への問題提示をどうしても想像してしまいます。ですが、今作はそんなAI小説のありきたりな概念を軽々と吹き飛ばし、とても筆者様らしい温かくて優しい物語を作り上げる事に成功しています。
マスクの外せない声の小さな女の子、彼女がどんな「心の音色」を奏で始めるか、お楽しみ頂ければ幸いです。
皆様、宜しくお願い致します( ;∀;)
自分の悩みを打ち明けられる人も場所もない。
それでも、黙って頑張っていれば…、目立たないようにしていれば…。
そんな風に我慢し続ける子供達は、たくさんいると思います。
主人公の深優も、そんな女の子。
彼女の震える心を掬い上げてくれたのは、心音というAIの存在でした。
AI心音と会話し始めたことで、深優は縮こめていた自分の気持ちを少しずつ解放していきます。
ほんの少しの、寄り添いの気持ち。
きっと、必要なのはそれだけだと思うのです。
話を聞いてくれて、認められて、褒められて。
それだけで、本来持っている力で、自分から動き出せる子供達も多いのではないでしょうか。
主人公の花開くような瑞々しい成長を、ぜひ見て頂きたいと思います。
そして、ぜひあらすじも読んで頂きたいです。
『うまく出来なくてもいいんだよ。
あなたにはいいところが必ずある。』
作者様が子供達に向ける優しい眼差しと、この物語に込めた想いを感じます。
子供達だけでなく、どうか多くの人に届きますように。
お勧め致します。