星屑の旅路 スターダストジャーニー
ほしのみくる
プロローグ エルドラードの終焉
アンドロメダ宙域、M110コロニー。かつて銀河で最も先進的な科学技術を誇り、「エルドラード」とも呼ばれた都市が、突如として消滅した事件。
だが、それは表の顔に過ぎなかった。
そんな中、研究施設では秘密裏に行われていた実験が、一つの結末を迎えようとしていた。
警報が鳴り響く。警戒灯が赤く点滅し、研究施設内の空間は異様な熱気と緊張感に包まれていた。白衣の男女が血相を変えて駆け抜ける。爆発の衝撃で施設の壁面がひび割れ、煙が立ち込める。
走る二人の科学者。男は手にデータ端末を握りしめ、汗を拭う余裕もなく前を見据えていた。女性は必死に何かを抱え、背後を何度も振り返る。
「もう時間がない…!」
施設の長い廊下の奥、影が動いた。冷たい金属の足音が響く。ゆっくりと、だが着実に彼らを追い詰める者たちがいた。漆黒の戦闘スーツに身を包んだ追手たちは、焦ることもなく淡々と前進している。その統率の取れた動きには、無駄な感情が一切なかった。
「逃げ道はないぞ。大人しく渡せ。」
先頭に立つ男は冷酷な声で命令する。
彼の目は何の感情も宿していない。背後の兵士たちが無言で銃を構え、標的をロックオンしている。
科学者たちはお互いに一瞬視線を交わした後、震える手で何かを操作した。
「やめろ…何をした?!」
兵士が銃を向ける。
しかし、次の瞬間、科学者の手元に握られた小さなケースが差し出される。それは、「賢者の石」と呼ばれる物質の原石だった。ケースの内部で赤子のような形をした物体が静かに脈動している。
男は一瞬だけそれを見つめると、手を伸ばし静かに受け取った。そして、まるで儀式のように、無言で銃を科学者夫婦に向ける。
「これが……賢者の石か。」
静かに呟いた直後、乾いた銃声が響いた。
その瞬間、場にいた全ての者たちが突如として頭を抱え、膝をついた。耐え難い耳鳴りが鼓膜を突き破るように響き、脳を焼き尽くすかのような激痛が走る。無表情だった兵士たちすら、呻き声を上げ、視界が揺れる。誰もが意識を保つのに必死だった。
そして、それを感じ取ったのは彼らだけではなかった。
宇宙の彼方、小さな存在が何かを感じ取った。
悲しみ、絶望、怒り――それらが渦巻き、彼らの思念が宇宙空間に解き放たれた。
次の瞬間、爆発が起こった。しかし、それは単なる爆発ではなかった。
建物が崩れるどころか、星そのものが光に呑まれていく。研究施設の爆破以上に、超常的なエネルギーが宇宙を震わせる。エネルギーの暴走が連鎖反応を引き起こし、
宇宙の彼方で、
その夜、遠く離れた惑星の片隅で、一人の星読みが空を仰いでいた。
静寂の中、夜空に二つの光が連なって流れる。
「連なる流れ星……凶兆か。」
それは、まるで何かが宇宙の深淵へと駆けていくかのようだった。
壮麗な科学都市は、一瞬にして閃光となり、闇に溶けた。
銀河歴史上最大の未解決事件の一つとして、今もなお多くの謎を残したまま…。
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