11, 1000歳
アリスは思いがけない話でびっくりしました、自分は魔女かもしれない、魔女の家系の娘かもしれないというのだ。
でもお母さんが魔法を使っているところなんて見たことが無かったし、お姉ちゃんだって魔法なんて使えないと思う。
アリスは少し考えて、学校は好きではないし嫌だなと思いました。
けれども先程オサイ会長が見せた魔法が使えるようになると素敵だな、魔法学校に行けば魔法が使えるのなら行ってみたいなとも思いました。
それでアリスは返事をしました。
「行ってきます、オサイ会長」
それを聞いたオサイ会長はニッコリ笑ってサマンサを呼ぶと、
「今日の遅刻は大目に見て、減級はしないでおきます。
その代りこの娘アリスを魔法学校に連れて行って、オリエ校長に会って話を聞いて来てちょうだい。
今から校長に連絡しておきますからね」
そう言ってオサイ会長はポーチからスマホを取り出すと、校長に電話をかけ何事か話をしてスマホを閉じました。
「ではサマンサ、オリエ校長に連絡が取れたのでアリスを連れて一緒に行って来てちょうだい。
そして校長とお話して、その結果を持って帰って報告してちょうだい、待ってますよ」
とオサイ会長は言いました。
サマンサはオサイ会長にお辞儀をするとアリスの手を取って建物から外に出ました。
「アリス、魔法学校に行くわよ、私のホウキに乗ってね」
とサマンサが言って二人が待っていると、ホウキがスーッと空を飛んできて二人の前で止まりました。
アリスはもう慣れたので、すぐにホウキに乗ってサマンサの体にしっかりつかまると、
二人を乗せたホウキは浮き上がって前に進み始めました。
「どれくらいかかるの?」
とアリスはサマンサに尋ねます。
「すぐにつくわよ、私が通ってた学校だから間違えっこないしね」
とサマンサが答えます。
「へえ、サマンサも魔法学校に通ってたの?」
とアリスが聞くと、
「そうよ、今年やっと100才になって学校を卒業出来たので、新米の魔女になったってわけよね。
でも同期の娘たちはもう150才を越てるので、私はずいぶん遅れちゃってるわ」
アリスは不思議に思って尋ねました
「サマンサは100歳のおばあちゃんには見えないのだけれども。
私より3つ上のお姉ちゃんと同じ中学生みたいに見えるんだけれど」
サマンサは笑いながら答えました。
「中学生って何だかわからないけれども、魔女の年齢は生まれてからの年数だけじゃないのよ。
学校で色々な魔法や呪文を覚えて習得すると年齢がもらえるの、だから何もない年齢だけだとアリスの言うように、あなたより4つだけ上のお姉ちゃんよね。
だけど学校で勉強して年齢をもらったので、今年やっと100歳になれたのよ。」
「100歳になると良いことがあるの? わたしのお母さんなんて誕生日が来ると『イヤだわ、また一つおばあちゃんになっちゃった』と言って年を取るのを嫌がっているわよ」
とアリスが言うと。
「そうよね、ふつうの人間はそう言うわね。
でも魔女は年をとればとるほど尊敬されるし使える魔法が増えるのよ、それに100歳を越えないと一人前の魔女とは認めてもらえないしね。
それにね、1000歳を超えると大魔女として地域のリーダーの役目が与えられるのよ。
そうそうアリスがホウキなしで空を飛んで見せたけれど、その魔法は1000歳を越えないと使えない魔法なのよ。
だからここでは、オサイ会長と魔法学校のオリエ校長くらいしか使えない魔法なのに、アリスが出来るからみんな驚いちゃったのよね」
とサマンサが説明をしてくれました。
でもアリス自身はどうして飛べるようになったのか、自分でも分かっていませんでしたので、
「ふーん、そうなの」と興味なさそうに返事をしました。
島の真ん中にある山に飛んできました。
鬱蒼と木が茂った森の中にある建物が見えてくると。
「さあ着いたわよ」とサマンサが言って、ホウキを建物正面の扉の前にゆっくりと降ろして止めました。
二人が降りるとホウキはまたどこかへ飛んで行きました。
サマンサがインターホンに向かって何か呪文を喋ると扉が開きました。
つづく
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