手放す恋
aoinishinosora
第1話はじまり
本当に無理。私との約束を忘れたの?痛くて情けなくて涙がこみ上げてきた。家の中に入りジーパンを脛までめくった。赤くなって腫れてきていた。スマホを手に取りそれを写真に残す。もっと深い傷になれば良い。と何となく思った。裾を直していると玄関からドタバタと足音が近づいてくる。恐怖で身体が動けなくなるのがわかる。扉が強く閉められ智は布団に入った。智は明日不倫デートだ。私に解るように女が居る匂いをだす。
智が起きてこないのを確認してそっと部屋を出た。子供部屋ではまだ子供達がゲームをしていた。
「ごめんね。ままと一緒にぴーちゃん家で暮らそう…。」
「パパと離婚したいの。」
この春に中学生になったばかりの娘、その2歳下の息子、小学2年生の息子にお願いした。私の涙を見て全てを察知したのか何を言っても仕方ないと思ったのか静かに頷いて、
「ママと一緒に行くよ。」
そう言ってくれた。
リビングへ行きうたた寝をしていた義母を起こし、明日出でいく事を伝える。初めは驚いていたが日頃の智の態度を見ていればいずれこうなる事は予想していたのか義母は『ごめんね』と言って私に頭を下げた。
智は簡単な朝食を済ませ私を睨んで不倫相手の元へ出掛けて行った。
私は子供達に学校で使う物と3日分の着替えをまとめるように話すと残りの洋服等を離れの座敷に運んだ。帰って来た智が怒って私達の荷物を捨てないよう智があまり立ち入らない祖父が使っている離れに隠した。物が無くなった部屋は音が響いた。コレを見た智がどう思うだろう?と考えると楽しくなる私がいた。
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