大人になりかけた頃の、どうしようもない心の揺れが繊細に表現されている。

社会に出ることを、ほんの片隅で意識し始めたある大学生の物語。彼にはひとつの夢がありました。それは、小説家になること。

けれど、その夢を聞いたとき、周囲の大人たちはどう反応するでしょうか。応援してくれる人もいるかもしれませんが、大多数は反対し、「もっと現実的な道を」と導こうとするでしょう。

それでも彼は夢を諦めず、挑戦し続けます。しかし、その先に待っていたのは、決して甘くはない、厳しい現実でした。

この作品がとても印象的なのは、執筆時点で作者様ご自身が現役の大学生であり、しかも就職という人生の大きな転機を目前に控えているという点です。その立場から描かれる「夢と現実の狭間で揺れる心」は非常にリアルで、繊細な感情の機微が丁寧に綴られています。

また、物語の中では小説投稿サイトが舞台となる場面も登場し、顔の見えない読者から投げかけられる容赦ない言葉の数々に、主人公が打ちのめされる様子も印象的に描かれています。

この作品の結末はぜひ、実際に読んでお確かめください。今まさに夢と現実の間でもがいている方、あるいはかつてその場所に立っていた方にこそ、深く刺さる作品だと思います。おすすめです!