第8話 私は神。この状況を全て俯瞰で見ている全知全能の神だ
私は神。この状況を全て俯瞰で見ている全知全能の神だ。
暇だから久しぶりに、人間で言うところの局部銀河群、天の川銀河、太陽系に所属する地球を見てみたら、稀に見る状況になっていた。
アンドロメダ銀河から飛来したジュロプリアムという種族が人間と接触している。
彼らの飛行船から、豪邸の2階の窓ピンポイントに光が放たれ、それに気づいた2階にいた少女が窓際まで歩いていっている。
そこにはサンタクロースの格好をした彼女の叔父、本物のサンタクロース、妻と子を亡くした強盗、正義感の強い警察官がもみ合いをしている。
そしてその状況を撮影する女性ジャーナリスト。
少女が窓を開けると、窓のすぐ外にはもみ合う4人の大人。
そして丁度よくジュロプリアム族の飛行船が彼らに光を放った。
「おじさんたち、なにをしてるの?」
もみ合う4人の動きが止まる。
「おじさん達は……サンタクロースだよ!! な、なぁ!?」
叔父はそう答えたが、さすがに無理があるだろう。
「そ……そうだよ……いい子にしてたかな?」
強盗の男は亡くした子供と少女を重ねたのか、叔父をフォローした。
「君にプレゼントを持ってきたんじゃ」
本物のサンタクロースも負けじと少女に笑顔を向けている。
「おまわりさんは?」
「お、お巡りさんは、サンタさんたちをここまで案内してたんだよ!」
警察官はそう言って彼らと肩を組んだ。
「あのおねえさんは?」
指を差された女性ジャーナリストは体をビクつかせると、演技っぽく答えた。
「わ、私はサンタさん専属カメラマンよ!! ほら! 笑って笑って!」
「あのひかりは?」
男達も気になっていた光。
少女の質問に対し、しどろもどろになっている。
それはそうだ。あの光が何なのかを知っているのは、当のジュロプリアム族と神の私くらいだからな。
ジュロプリアム族はどうするか。
「これは、そこのサンタクロースがプレゼントを入れて運ぶ船の光だよ」
機械音声でそう発するジュロプリアム族。流石は平和な種族だ。
「驚かせてごめんね」
「驚かせてしまったお詫びに、君のほしいものを言ってごらん。プレゼントしてあげる」
「いうのはずかしい……」
「じゃぁ言わなくても大丈夫だよ。サンタクロースには分かるから」
「そうなの? じゃぁ……」
ジュロプリアム族は少女の内心を感じ取った。
「君の欲しい物はわかったよ。楽しみにしててね」
そう言って飛行船は一瞬の光と共に一点に収束して姿を消した。
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