第7話 微睡の記憶たちへ


 三日後。

 ユウトは“外縁回廊”と呼ばれる区画へと向かっていた。


 旧都区のさらに外。

 地図にも記載されていない、廃墟と化した通り。


 かつて都市計画に失敗し、立ち入りが制限された区域——だが、その中に「次の層の入り口」があると、あの謎のメッセージが教えていた。


 (ここが、次の鍵の場所……)


 立ち止まると、足元のアスファルトが“軋んだ”。


 ——記憶の中の、誰かの声が呼んでいる。


 > 『夢の中の君は、ずっと笑っていた』

 > 『現実の君だけが、泣いていた』


 誰の声だったか、思い出せない。

 けれど、そこに“感情”だけが残っていた。


 気づけば、目の前の壁が歪み、隠された扉が浮かび上がっていた。


 「……行こう」


 ユウトは、踏み込んだ。


 次の層へ。

 かつて“彼”が記した最後の記録を、辿るために。


 そして——この歪んだ現実に、“自分の夢”を刻むために。

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