「徒桜(あだざくら)」

「徒桜(あだざくら)」


春風に乗って 咲いた物語は

糸(意図)も 簡単に 幕を下ろして

つまらない 喜劇に散った


僕達は出逢わなければよかったのかな?

ずっと頭に 木霊する言葉

どんな想いを囁き合っても 聴けない怖さ

吐いてしまえば それまで渇望


桃色の雪が 重力に逆らうように

ヒラ ヒラ ヒラっ と、 揺れ堕ちてゆく

灰色の世界 生き場のない日々に流れ

フラ フラ フラっと、彷徨っていく


過去に溺れて沈み 息の仕方(死に方)さえ忘れる


ふと見上げた空 雲を数えて

意識することで見える雲

もっと早く気付けたなら

迫り来る 帰結(きけつ)まで 立ち尽くし 乗り過ごす


紅色の蝶が 世界中に逆らうように

ヒラ ヒラ ヒラっと、舞い上がってゆく

紅色の蝶が 羽を引き離されてもなお

フラ フラ フラっと、立ち上がってゆく


大罪犯したとしても あの日々

美しいと(鬱苦しいと)


桃色の雪が 風力に流されるまま

ヒラ ヒラ ヒラっと 揺れ溶けてゆく

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