第2話「無銭でコロッケパン食ったら警察きて草」

上野駅からちょっと歩いたとこにある、深夜営業のスーパー。

去年と配置変わってへんかな〜と不安になりつつ入店。

結果、レジの位置もカメラの角度も去年と同じ。勝ったわ。



ワイ、総菜コーナー直行。

半額シールの貼られたコロッケパンをスッ…と手に取り、

そっとレジをスルーして店内ベンチに着席。

からの——

開封→食う→完食(無言)



いやマジでな、

「コロッケってこんなうまかったっけ?」ってくらい沁みたわ。

たぶん涙の塩分で味が完成しとった。



んで、店員が声かけてきたタイミングで

「はいどーもー、現行犯でーす」って顔しながら立ち上がる。

ワイ、完璧な犯罪者ムーブかましとる。


店員「ちょっと…それ、お会計まだですよね?」


ワイ「せやな(爽やかスマイル)」



通報されて、パトカー到着。

おまわりさん「どうしたの?寒かったの?」

ワイ「寒いっす(即答)」

おまわりさん「事情、署で聞かせてもらえる?」

ワイ「お願いします(超協力的)」



あったかいパトカーに乗った瞬間、マジで泣きそうやった。

皮膚じゃなくて、“魂”が暖まった感じしたわ。



留置所に着いて、身体検査と持ち物チェック。

小銭だけ渡して、あとは名前と生年月日。


おまわりさん「佐野達也さんね、過去にも……あぁ、去年も来てますね」


ワイ「毎年恒例なんで(恒例行事感)」



そして、鉄格子の奥、

ほんのりあったかいコンクリートの床に敷かれた毛布。

壁に備え付けの小さいテレビから、NHKの深夜ニュース。


「はぁ〜〜〜……生きとるわ〜〜〜」



この時点で、ワイの“越冬ミッション”、成功率90%超えや。

あとは検察が略式起訴出してくれれば、

罰金→払えません→労役場送りのフルコースや。



でもまあ、今は寝る。

久々に“死なずに朝を迎えられそう”って思える夜や。

この毛布、天国の匂いするわ(たぶん柔軟剤ちゃうけど)

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