第3話 琥景の主張

「そんな、そんなの、私たちだって同じ状況の中作業してるのに、、!」

そんな言い訳で納得されるはずもなく、田代たちから、批判の声が上がる。


湊「おいおい、わかるけど一旦落ち着けって。」

湊がまだ場をコントロールする。

湊「どー思う琥景」

琥景「え、」

唐突に自分のターンが来て驚く琥景。みんなの視線が琥景に集まる。


琥景「…まぁ、勉強と委員会の仕事の両立って大変だよね。私も普段から色々助けてもらってるし。ほら、今日のことも一つの助け合いってことで、サポートしてあげた、でいいんじゃない?」

琥景が微笑みながら言う。


湊「お前、、浅はかにも程があんだろ💧誰でも思いつくぞ」

湊が一瞬間を置いた後琥景に言った。

琥景「!!…浅くてすみませんでしたねえ💢」

湊が言ったことに対して、書記としての模範解答を言ったはずなのに、と琥景は納得がいかない。

湊「相田のこと励ませなんて言ってねーだろ。お前がどう思うか聞いたんだよ。」

琥景「…!」



琥景「…正直、自分の能力の見積りが甘いと思う。」

琥景が真っ直ぐに相田の方を見て話し出した。

琥景「委員会の仕事は個人技じゃない。うちの委員会、他の委員会、地域の人も関わってくる。この学校は色々選べる自由はそれなりに用意されてるけど、自分でできるって言ったものができないんじゃ話にならない。」


場が少し静かになる。

『身の丈にあった仕事をしろって伝わったかな、、』と思う琥景の頭にポンっと湊の大きな手が触れる。

湊「おーおー、言葉に棘ばっかだな笑」

湊「相田、泣きそうになってんぞ。」

琥景「!?!?」


俯いて肩を振るわせる相田に、流石の琥景も驚く。

琥景「あ、ああ相田くん、私別に怒ってるわけじゃなくて、ただ」

湊「こいつもわかってるから泣きそうなんだろ。」

琥景の言葉を遮るように湊がいい、相田の元へゆっくりと歩く。相田の前で腰をかがめ、ポケットから出したハンカチを相田の顔の近くに持って行く。


湊「実際、琥景の言ったことは正しいよ。自分がどれくらいできねーやつなのか、ここにいりゃよくわかる。そーゆー場所だろ。」

琥景・田代・大山・金高・柴「……」

湊「でも、ちょっとしんどいくらいのことだったら続けてるうちにいつのまにか当たり前のことになんだろ。そうならねーくらいしんどいなら普通科に編入しりゃいい。悪いことではねえよ。」


2年生へ上がる時のみ、光色高校では普通科と特進科を移動することができる。普通科にいて特に優秀な生徒は、試験を受けた結果によって特進科は編入が可能で、特進科の生徒は正当な理由があれば本人の意思で普通科へ編入することができる。


湊「まー1つ間違ってるとすりゃ、琥景の言葉は完全に個人プレーの理論だな。できないってわかりゃ誰か頼れ。俺でも琥景でも誰でもいい。」

琥景は湊を見る。

湊は相田のまえでしゃがみ、相田を見る。

湊「頼るのってのは、諦めたくねーやつがすることだろうが。」



相田「っ、、はい、、。」

湊「おら、涙引っ込めろ」

相田「はい、」

湊「今日も補講あんだろ」

相田「、はい、」

湊「あ、頼るときは早めに言えよ」

相田「っ、はい、、、。」


相田「本当に、ありがとう,ございました、、。湊副委員長も、、梶原さんも、、!」

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