綺麗なおじさん
@traceweaver
第一話「はじめての音」
まだ頬が大福のように柔らかかった頃、近所にピアノを嗜む、物腰の柔らかな「綺麗なおじさん」がいた。
口調は女性のように穏やかで、歩き方には静かな品があり、香るような声で挨拶をしてくれた。
見た目はたしかに「男性」なのに、なぜか私は、その人から目が離せなかった。
あの日、おじさんが家の窓から聴かせてくれたシューマンの旋律が、私の中のなにかを静かに揺らしたのだと思う。
以来、言葉遣いに気を配るようになり、ピアノも習い始めた。
大人になった今、見知らぬ誰かが、私を「綺麗なおじさん」と呼んでくれたなら、それはきっとあの人から受け継いだものだ。
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