第3話 タバコ

 今日のロースクールは人が少ない。なんでかって?それはもちろん日曜日だからだ。

大きなビルの空洞に人間が2.3人ほどしかいない。唐突なロースクールの空洞化に惑わされることもなく、僕は自習室の席に着く。


 山崎と町松はロースクールに棲みついている。自習室の外から"彼ら"の声が聞こえてきた。

「眠いわ...」

「俺も眠い...」

他愛もなさすぎる会話だった。

相変わらず2人は仲良いなと思った。

会話の続きを聞いてみると、町松は、明日彼女とデートに行くらしい。


昼下がりに喫煙所の近くを通ると、そこに町松がいた。

「明日彼女とデート?」

「うん、飯食うだけだけど」


町松はタバコを吸いながら、曇天の空を見上げて言う。


「明日は晴れるといいな。」


一瞬、町松のタバコの火が強く大きく、僕には見えた。


無常にもタバコの煙は曇天の空に消えてゆく。


町松の隣にいた小綺麗な男性が一言、

「明日は晴れるといいですわな。」



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法律家 ヤグーツク・ゴセ @yama0720

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