隣人のお姉さんたちに溺愛される日々

夜空 星龍

第1話 新生活初日に隣のお姉さんが作る手料理の試食係になった件①

 来月から大学生となる俺は進学を機に一人暮らしをすることにした。 

 

「ふぅ、ちょっと休憩するか」


 引っ越しの片付け作業を始めて、かれこれ二時間以上が経とうとしていた。

 ほとんど片付け終わったので、一旦休憩することにした。

 ちょうどお昼前ということもあって、お腹が空いていた。


「ご飯を買いに行くか」

 

 冷蔵庫は設置されているが、まだ中に何も入っていない。

 だから、料理をするにしても食材がないので何も作ることができない。

 

「ついでにお隣さんに挨拶行くか」


 今日この家に来たばかりなので、まだ隣の家に引っ越しの挨拶をしに行っていなかった。

 引っ越しの挨拶をするしないは、その人の自由だが、この家に少なくとも四年間は住むつもりだから、何かあった時のためにその辺はしっかりとしておいた方がいいだろうと俺は思っていた。

 俺はスマホと財布をズボンのポケットに入れて、外に出た。

 俺の部屋は角部屋なので、隣の部屋は右側の『有栖川ありすがわ』という表札のついた部屋だけだった。

 俺はその『有栖川』という表札のついた部屋の呼び鈴を押した。 

 

「は~い。どちら様ですか~?」


 呼び鈴を押してすぐにインターファンから女性の声が聞こえてきた。


「すみません。本日から隣の家に引っ越してきた皇ヶ崎というものなんですけど、引っ越しの挨拶をさせてもらいに来ました」

「少しだけ待っててもらえますか~?」

「あ、はい。分かりました」


 少しだけ待っててほしいということだったので、俺はお隣さんが出てくるまで待つことにした。

 インターファン越しに何かを焼く音がしていたから、もしかしたら料理中だったかもしれない。

 今はお昼時だし。

 お隣さんが出てくるのを待つと数分、ガチャッと扉が開いた。


「すみません~。お待たせしました~」


 出てきたのはインターフォンから聞こえてきた声の女性の人だった。 

 予想通り料理中だったから、ピンク色のエプロンを着けていた。

(というか、めっちゃ美人……)  

 茶髪のミディアムヘア、琥珀色の大きな瞳、透き通るほど真っ白な肌、アイドルと言われても疑わないほど可愛らしい顔つき、出てきた女性は思わず息を飲んでしまうほど美人だった。


「ごめんなさいね~。ちょうど料理中だったもので」

「いえ、こちらこそこんな時間にすみません」

「大丈夫ですよ~。ちょうど今、終わったところですから~。それで、今日からお隣に引っ越してこられたんでしたよね?」

「はい。隣の家に引っ越してきた皇ヶ崎龍太こうがさきりょうたといいます」

天岡咲姫あまおかさきです」

「天岡さん?」

 

 俺は表札の名前を確認した。

 確かにそこには『天岡』ではなく『有栖川』と書いてある。

 一体どういうことだろうか? 

 不思議に思っていると、天岡さんがふふっと笑った。


「戸惑わせてしまって、ごめんなさいね。実はこの家の家主が有栖川っていうんです」

「あ~だから、表札が」

「そうなんです。私は有栖川の友達で、一緒に住ませてもらってるって感じですね」

「そうなんですね」

「はい。私と有栖川と、もう一人、霜村って子の三人で暮らしてます。もしかしたら、うるさくする時があるかもしれないので、その時は遠慮せずにおっしゃってください」

「分かりました」


 話した感じ、お隣さんが優しそうな人で安心した。

 まぁ、天岡さんの他にも二人、同居人がいるみたいだけど。

 他の二人の同居人も優しそうな人だといいな。


「それでは、これで失礼させてもらいますね」

「あの、変なことお聞きするんですけど、もうお昼ご飯は食べられましたか?」

「えっ、お昼ご飯ですか?」

「はい」

「実はちょうど買いに行こうかなって思っていたところです」

「本当ですか~! もしよろしければなんですけど、今、ちょうど出来たばかりの料理があるんですが、試食してもらえませんか?」


 そう言われて俺は戸惑った。

 一体どういう意図があってそんなことを俺に言ってきたのだろうか?

 初対面の相手にそんなことを言ってくるなんて何か裏があるんじゃないかと考えてしまう。

 例えば、美人局とか。 

 これだけ美人な人なら彼氏くらいいるだろうし……。


「お願いします! 今すぐに料理の感想が聞きたいんですけど、いつも感想を言ってくれる由美、有栖川は今仕事に行ってて、感想を言ってくれる人がいないんです。だから、もしよろしければ、試食をしていただいて感想を言ってくれませんか?」


 天岡さんは切羽詰まったような感じで俺に頼み込んできた。

 正直、怪しさはあるけど、天岡さんが悪い人には見えないから迷ってしまう。

 他意がなく、本当に料理の感想を聞きたいだけなのだとしたら協力してあげたいと思った。

 ちょうど、お昼ご飯を買いに行こうと思っていたところでもあったし。

 

「一つ確認なんですけど、美人局……とかじゃないですよね?」


 俺がそう聞くと天岡さんは可笑しそうに笑った。

 

「いきなりこんなことお願いされたら怪しく思っちゃいますよね」

「そうですね」

「安心してください。絶対に美人局じゃないです。というか、彼氏いないので美人局しようと思ってもできないですから」

「そういうことなら、いいですけど……」

「本当ですか!?」


 天岡さんは嬉しそうに笑うと俺の手を握ってきた。

 急に距離感が近くなり、甘い匂いが天岡さんから漂ってきて、俺の心臓はいつもの倍の速さで鼓動し始めた。

 ただでさえ、女性に対してあんまり免疫がないのに、こんなに美人な人にいきなり近づかれたら緊張するに決まってる。

 俺が緊張していることなど天岡さんに伝わっているわけもなく、天岡さんは「じゃあ、早速お願いしてもいいかしら!」と俺の手を引いて家の中に俺のことを連れて行った。


☆☆☆


 皆さんお久しぶりです。

 夜空星龍です。

 小説の投稿を再開しようと思っています。

 またこれから頑張っていこうと思っているので、どうか応援のほどをよろしくお願いします! 

 

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