平成電波異世界日和 - 誰にも送れなかった魔法 -

引き出しの奥から見つかったのは、もう使っていないはずのガラケー。
電源は入れていないのに、液晶には『通信圏外です』の文字。

それを境に、部屋の空気が変わり始めた。
虹色に光る着信ランプ、ノイズのようにゆれる時間、そして《NEX-WAVE通信層》──

少年が迷い込んだのは、“未送信の想い”が蓄積される異界「ミデリカ村」。

届かなかった言葉たちが“音”として世界に滞留し、それを十人に“響かせよ”と告げる謎の紙片。

これは、言葉にならなかった感情が、
再び世界を繋ぎ直すための“送信履歴”を刻む物語。