童帝ピグマ・リオン
@hirokissos
☆
プロローグ
ワイ、ピグマ・リオン。30歳、童貞。キプロス島の王や。
子供いないからワイの代でウチは終わりかもやけど知ったこっちゃない。
現実の女はいろいろあって嫌やからプリンターで精製したワイ好みの人形とあんなことやこんなことしてるの方が好きなんや。
人形はガラテア、ガラ恵、ガラ子、ガラシャ、ガラ奈、ガラーヌ、ガラーネ、ガラ乃、ガラ葉、ガラ妃、ガラ美、ガラ夢、ガラ矢、ガラ夜、ガラ和の15人や。多すぎやろ!
今日も一緒に食事したりお風呂したり映画みたりで楽しすぎるやで。
あー、でもそろそろ公務の時間やな。ちょっと行ってくるでハニー達‥。
天界からこの様子を見ていた女神はこう思った。
「キンモー☆‥!‥せや!」
女神の奇跡で15人は生命力を与えられ人間になった。
今んところの登場人物
今さらの登場人物紹介
ピグマ・リオン〈キプロス島の王。30歳。〉
女神〈女神の中の女神。見方によってはめっちゃええやつ。多分。〉
ガラテア〈最高の金髪ウェーブロング女。ピグマが最初につくった。なのでちょっと飽きられている。〉
ガラ恵〈最高の黒髪ルーズサイドテール女。サディスト。ピグマを痛め付けることに快感を覚えている。〉
ガラ子〈最高の黒髪お下げ女。おとなしい。自我薄め。ピグマが一番好きなタイプ。しかしストレスを溜めやすく二日に一度山奥にキチゲ解放しに行く。〉
ガラシャ〈最高の茶髪クラウンブレイド女。エセ武家。ピグマは嫌いだが救ってやるのが武士の情けだと思っている。〉
ガラ奈〈最高の金髪ツインテ女。高飛車。〉
ガラーヌ〈最高の銀髪まとめ髪女。エセ修道女。ピグマは邪悪な存在だが救ってやろうと思っている。〉
ガラーネ〈最高の金髪ウルフカット女。エセ勇者。ピグマはキモいが救ってやるのが勇者らしいとおもっている。〉
ガラ乃〈最高のライトブラウンセミショート女。ピグマの特にお気に入りだったのだが女神のイタズラによりタトゥーだらけのイカちい女になった。〉
ガラ葉〈最高の黒髪スーパーロング女。髪の手入れで忙しい。〉
ガラ妃〈最高の金髪姫カット女。エセ貴族。ピグマはキモいがそんな奴でも救ってやるのが貴族っぽいとおもっている。〉
ガラ美〈最高の赤髪片目隠れヘア女。キチゲ解放頻度高し。〉
ガラ夢〈最高の黒髪おかっぱ女。病みやすい。しかしキチゲ解放はそんなにしない。そんなに。〉
ガラ矢〈最高の金髪ポニテ女。ピグマよりも金が好き。〉
ガラ夜〈最高のアッシュグレーエアリーボブ女。ピグマのことはどうでもいいと思っている。縦ノリ派。〉
ガラ和〈最高の金髪ハーフアップ女。エセ医者。ピグマで色々練習したがっている〉
誰が一番好きやねん?
公務から帰ると人形が人間になっていた。
「え‥嘘やろ‥え、スゴ‥。」
しかし現実の女は苦手なんやが‥。しかし見た目補正で大丈夫ちゃ大丈夫。
彼女たちはワイを見るなり気分を悪くしていた。吐くものさえいた。
「おい、キモオタ。覚えてるか!V8の化身みたいな車に私を乗せて海に行っただろ!ヤバい格好させて!ワイセツなんとか罪だ!殺すぞ!」
ガラ乃‥悪かった‥てかなんでそんなタトゥーだらけなん‥。お気にやったのに。
「まあ、悪かった。落ち着いて‥Calm downや。一応この島の王やから補償的なものはできると思うんで。ゼーキンパワーで。」
この時、一部を除いて態度が変わった。
「こんなかで誰が一番好きやねん?」
ガラ矢、変わり身はえーな。でも一生嫌われてるよりええわ。
「いやーワイには決められへんよな。実際。だから15人もおるしな。という訳でこれから定期的にゲーム的なものをしていまんとこ1位決めるわ。暫定1位。なんか願い事聞いたるわ。聞くだけな。ドラゴンみたいに。」
「いまんとこ1位って‥クズだな‥まあいいや。早く始めろ!」
「ちょっと待っとけや。」
そういうとピグマは地下に向かった。
「‥あー聴こえてますかァ?今、地下迷宮最深部の5階から通信してます。ワイはここでモニタリングしてるからここまで会いに来てください。順番はワイが決めます。じゃガラ矢!来い!」
「よっしゃ!行くで!お前の持ちもん全部物々交換サイトに出したる!」
「来れたらな‥ハハハ」
地下迷宮に入り7歩目でガラ矢はワイヤートラップにかかり動けなくなった。
「鈍臭いなぁ。はい次~。ガラ妃。」
ガラ妃は地下迷宮2階まで来たがここでヤバい奴に遭遇する。
「いやあああ!何なんですのこの方たちはァァ!」ダッシュで逃げるガラ妃。
「ムトゥッ!ムトゥッ!(おっ!女キタコレ!)」追い続けるガチムチ集団。
「あーそいつらは何年か前にガチムチスタンからこーてきたムラムラ無藤ちゅー警備員や。女に飢えてるから何されるか分からんで!ダッシュで逃げるんや!」
「きゃあああああ!」
この時、ガラーネはこう思った。
(今時、人身売買して食ってる国があるなんて。ガチムチスタン!許せない!必ず滅ぼす!)
と、怒りに燃えていた。人生の目標を1つ見つけたのだった。
「んー。じゃ次。ガラ子来いや。」
ガラ子は注意深く進んだが、運悪く地下迷宮3階で壁の変なボタンを触り、水路に落とされ外に出される。
「はぁー。誰も突破出来ないんかい。ワイを救ってくれる姫騎士おらんのか~。次、ガラ恵。」
ガラ恵は地下最深部まで、腕力だけでやって来た。ガチムチスタン人も叩きのめして。
あまりの惨状にピグマは震えた。
「ふぅー。やっとついたッス。」
「お、おう。着いたか。願いを言うんや。」
「しこたま殴らせて欲しいッス。」
「え、なんやて‥?」
次の瞬間、重く早い一撃がピグマの肋骨あたりに入った。
「ほげえっ!」
この握り拳、人差し指の第2関節がしっかり出されててクソ痛い!次々繰り出される最適打撃の猛ラッシュ。死ぬ!
「オラオラオラ!豚のような悲鳴をあげろッ!泣けッ!喚けえッ!」
「ぷぎゃっ!ぷぎゃッ!ぷぎゃあああああっ!」
「やめるんだ!ガラ恵ッ!」
ガラーネか!助かったァ。
「うおおおおっ!」
偽ロングソードで斬りかかる。がその時、ぺッとガラ恵が唾をはいた。目に入ったガラーネの動きが鈍り、みぞおちに最適打撃が入る。
「ぷひぃんッ!」
ガラーネは一撃で倒れた!弱えええっ!
「弱過ぎッスよ。」
お前が妙に強すぎんねん‥。ワイはここで死ぬのか‥。
「そこまでにしましょうね。殺されちゃうと色々困りますので。」
「自分もまだまだ殴り足りないんでいいッスよ。回復させましょー。」
ガラ和!助かったで‥。ガラーネまじ使えん‥。
「はい。チクッとしますよ。」
「ぷぎ。」
目覚めると身長が10センチくらい伸びていた。何したんやあの女‥。
お前ら、働いてくれ【ガラ奈編】
15人が好き勝手暮らしているのでピグマん家は火の車だった。ピグマの想像以上に金遣いが荒かったのである。
増税でなんとかできるレベルではない。こいつらをなんとしても働かせなければ‥。
しかしガラ奈は不満タラタラである。
「カネならシモジモから取ればいいでしょ!カネは沸いてくるけど私の時間は永久に帰ってこないんだけど?!」
うーん、重症やな‥。
「増税しまくってると革命でも起こされるとたまらんからな。まあ、ほら生き甲斐みたいなの見つけるかもしれんやろ。もしかしたら自分のヲタみたいなのできてガラ奈が脇の下で握ったおにぎり食べに来たりするかもしれんで。搾取できるかもやで?知らんけど。」
「‥‥。」
「人気者になりたいやろ~。モテたいやろ~。お前なら出来る!働くんや。頼む。お願いします。」
こうして料理の練習始めたのだが‥。
「なんやこのパスタ。カルボナーラか?卵焼きになっとるやんけ。」
「これ料理ちゃうで。火葬や。火葬。」
「6種類のガン発症しそうな料理やね。」
「この料理見てたら動脈硬化する音が聴こえてきたんやが。」
「このたこ焼きタコ入ってないやん。」
「このブロッコリー固すぎやろ。」
「屁が物凄く臭くなりそうやね。」
「なんや、このパン。べっとりしてて固いんやが。」
「野菜たちの悲鳴が聴こえるで。」
今んところ飲み食いした中で一番美味いの水や。
お前ら、働いてくれ【ガラ奈編2】
結局、腕が上がることはなかった。
「なるべく工場生産されたものを組み合わせて作るしかないやろ。
とりあえず脇の下おにぎりと脇の下寿司は確定や。生魚が駄目なやつにはコーンドッグ寿司で。コーンドッグを輪切りにしてそれっぽくするで。店の方針はとにかく邪道系で。」
「後はフライパンで巨大なチョコチップクッキーを作って、その上にアイスクリームやキャラメルとかかける。スキレットなんとかやね。それからチーズケーキシェイクや。切ったチーズケーキをアイスクリームと牛乳でミキサーして作るねん。アホみたいなカロリーやで。
バター、メイプルシロップ、鶏肉をベーコンで包んで油で揚げたものとかもええな。」
ガラ奈が顔をしかめる。
「さんざん文句言っといてヤバい物考え過ぎ。こっちは脇の下で握るのもめんどくさいのよね。ゲルマニア地方では生豚肉をパンに塗って食べるらしいじゃない。それでいいわ。」
「お前、何考えてんねん‥。豚肉を生でいくやつなんかいるわけないやろ?揚げバターと同じくらいありえへんから。映画で観たことは忘れろや。」
「ちゃんと検査する人がちゃんとしてれば大丈夫よ。」
「健康でいられる権利とかあるやろ。それの侵害や。」
「脇の下おにぎり食べさせようとしてるやつが何言ってんの‥。」
お前ら、働いてくれ【ガラ奈編3】
こうして邪道食堂ピグマ屋は開店した。
初日はイマイチだったが、腐っても最高のツインテ女なのでしばらくしたらヘビロテし始めるものが現れ始めた。
「ハハハ、やりはじめて良かったやろガラ奈よ。金貨袋は牛の○袋みたいにずっしりや。」
「ヲタどもの写真撮影のリクエストがキモすぎんのよ。9割貰わないと納得出来ないわね。」
「えぇ‥まあガラ奈あっての邪道食堂やからな。しゃーないわー。」
SNSを通じて国内外から人が訪れヲタ化していくのだが訪れるのはヲタばかりではなかった。
「アホか‥こいつらに本物の料理教えてやるか‥」
イタリア半島系中国人、チャオチャオ。男性25才。15代続くイタリアンと中華の名店<シルクロード>の料理人である。
「邪魔するぜぇ~」
「なんか用?」
「フッ‥態度悪いな。料理の質も最悪だけどな。脇の下おにぎりなんか香港じゃ乞食も食わんぜ。」
「私が考えた訳じゃないしなによりヲタどもは喜んでるからいいんじゃないの。」
「俺は良くねえな。おめえみてえなのが料理人やってるとか料理が穢れんだよ。俺と勝負しろよ。俺が勝ったら閉めてもらうぜ。俺が負けたら邪道食堂の傘下に入ってやるよ。」
「はぁーめんどくさ!ちょっと待ってて。‥あー、もしもしキモオタ?今、変な料理人きてんのよ。すぐ来て。」
数十分後‥
「ハハハ。面白そうやしやろうや。」
「調べたら歴史ある店の料理人みたいじゃん。勝てる訳ないでしょーが!」
「負けへんやろ。地元やし。」
チャオチャオは謎パスタを繰り出してきた。「トマトソースの香りが漂いニンニクのパンチも効いてプリプリのエビが踊る‥。そしてそこに隠れてる中華のスパイスの香り‥甘酸っぱくて少しピリ辛‥絶妙なバランスやね。」
「キモオタ!あんたどっちの味方してんの!」
しかしヲタたちは手づかみで黙々と食べている。あるいはズルズル啜りながら食べている。
「じゃ私はこれを出すわ」
ガラ奈は謎の生豚肉パンを繰り出してきた。
「待て待て待て待てェッ!おいコラァッ!何してんねん!お前ェッ!」
ピグマはブチ切れたがヲタたちは嬉々として食べている。
「‥勝った。この味が分かるなら確かに私のヲタのようね。その豚肉は脇の下でこねくりまわしたものよ。」
チャオチャオは膝から崩れ落ちた。
「この‥バカ舌の豚どもが‥。」
「所詮、あんたの料理が私の肉体的魅力に勝てる訳がないということ!約束どうり傘下に入りなさいよ!」
「それにしても豚同士で共食いはアカンやろ‥。」
15代続いた名店シルクロードはその命脈を絶った。
お前ら、働いてくれ【ガラ奈編4】
チャオチャオの店は邪道食堂の傘下に入って数分で解散を命じられた。
「キャハハ!橋の下で乞食でもしてなさい!チャオ~!キャハハ!」
「まあ、当然の結果やろなあ。チャオチャオが美少女やったらアレやったけども。」
ホームなので向かうところ敵なしであった。邪道食堂を潰そうとした料理人は完全アウェーの中返り討ちにされていく。
数日後‥
「どうも。おはようございます。邪道食堂ピグマ屋さんってここですか?」
「そうやけど‥」
「我々、偽日本食の取り締まりやってる者なんですけど、こちらで違法すしやってるって情報入って調査しに来ました。」
「え、違法とかあるんや‥。」
「ええ。法律違反してるんですよね。違法寿司は最低でも60年は固いです。」
「え‥嘘やろ‥。」
「脇の下おにぎりとかは極刑になったケースもあるんですよ。」
「え‥嘘やろ。」
「防犯カメラとかありますか?ちょっと確認させてもらっても?」
「いやちょっと待って‥いや、ちゃいますねん。寿司とかおにぎりとかじゃなくて、その‥ちゃいますねん。揚げ物してただけですねん。」
「ちょっと中入っていいですかね。」
「いやー‥ホント、すんませんでした。」
「?」
「これで見逃して欲しいんやけど‥」
ピグマは有り金全部出してきた。
「いやーそういうのはちょっと‥。」
「ホント見逃して欲しい」
「うーん。分かりました。今日のところはこの辺で‥」
「よっしゃ‥じゃねーや‥ありがとうございました」
結論、詐欺であった。ガラ奈はブチきれていた。
「このキモオタァ!生きてるだけでも罪深いのにまだ罪を重ねるの!」
「いやーまさか詐欺だったとは。ハハハ。」
調査の結果、チャオチャオの仕業の可能性が出てきた。
「報復に行くわよ」
「えぇ‥」
数時間後‥香港‥
廃墟と化したシルクロードに入るピグマたち。
「おお、ピグマじゃねえか。よく見つけたな。しかしおめえのあの慌てぶりは笑えたぜ。」
「わーくにの諜報部隊は優秀やから。今は詐欺師で食ってるんやね。それにしても惜しい男や。まじで邪道食堂こいや。」
「邪道食堂に居場所は無いわ。こいつが行くのはピグマん家の地下迷宮の奥深くよ。」
「やれるもんならやって‥ふがっ」
喋ってる最中、ガラ奈は脇の下に隠していたおにぎりを口の中に球速121キロくらいでぶん投げた。
チャオチャオは泣き始めた。
ふと思い出したあの日のこと。友達と食べたおにぎり。汗ばむ肌‥夏の風。笑って話したあの時間‥。あの頃の無邪気な笑顔、もう一度感じてみたくなった。
「脇の下おにぎり‥ありがとう。」
存在しない記憶がチャオチャオに刷り込まれていく。
「地下迷宮行きなさい。」
「‥はい。」
「ちゃんとしたマトモなチャオチャオになってまた帰ってくるんやで。」
金を全額取り戻したが、香港競馬で半分失うのであった。
お前ら、働いてくれ【ガラ恵編】
職業訓練に時間がかかるので、元々一芸に秀でたやつらから説得することにした。
次のターゲットはガラ恵だ。
「ガラ恵、闘技場やらんか?死なない程度に痛め付けてくれればええ。」
「あ、全然いいッスよ。」
ピグマアレーナ。収容人数3万人、
スタジアム内には、400人収容のVIPラウンジ及びスイート、200席の報道メディア席、レストラン・小売店・衣料品店が収容されている。さらに、追加料金なしで駐車することのできる駐車場がだいたい2000台分用意されている。
ここにはサッカーとバスケなどのコートも併設されている。
「じゃ、試合組むから来週からよろしく頼むで。」
「了解ッス」
一週間後‥ピグマアレーナ
「デビュー戦やな。手始めに今日はガラーネと戦ってもらうで。」
「あんなカカポみたいな奴が相手でいいんスか?」
「カカポより弱いかもやが‥圧倒的勝利を見せつけ強い対戦希望者を釣りたいねん。」
「ガラーネは生け贄ッスね?」
「そうやね。残念ながら。」
「じゃ、ちょっとガラーネと話してくるわ。」
ガラーネの控え室に入ると、ガラーネは恐怖で震えていた。
「‥ぼくはおしまいだ‥ここで死ぬんだ‥。」
こいつ‥僕っ子やったんか‥。
「‥まあガラーネ、一度死んだと思えば出来んことはないはずや。ていうか防具つけるから死なん。」
この防具には各部位にライフポイントが設定されており手足が0にされても片方が生きてれば試合は続くが頭部と胴体が0なら敗北。人が死なない戦争は楽しい。
「ま、そういうことやから頑張れや。」
入場するガラーネとガラ恵。武器はガラ恵がグラディウス、ガラーネがロングソード。リーチはガラーネの方がある。
審判から説明を受ける。
「ルールは殺人以外何でもあり。2本先取です。では、一本目はじめ。」
「ふおおおおっ!」
ガラーネの大振りな縦切り‥本当はかわせたがガラ恵はグラディウスで防ぎロングソードを掴むとぐるんと横に回しガラーネを蹴り飛ばす。ロングソードを奪い取ったガラ恵はグラディウスとロングソードの二刀流でメッタ打ちにしていく。
「お前は勇者じゃなくて街娘がお似合いッス!」
全部位ライフ0‥。5分しないうちに1本取られた。
「‥ガラ恵、つえー。」
ピグマの思惑通り早くもガラ恵のヲタ化が進んでいる。
「‥良いぞ‥もっとカッコ良く打ちのめすんや‥ガラ恵‥。」
ピグマはニチャアと笑った。
「まだ試合続行しますか?」
審判の問いに首を横に降るガラーネ。これにピグマがぶちきれる。
「ガラーネエエエエ!敗戦とはッ!自分は負けてしまったと思う戦いッ!のことやで!お前まだ行けるやろオオオオッ!」
「グスッ‥ム゛リ゛でず‥。」
ガラ恵の圧倒的勝利は国内外に拡散された。
数日後‥ゲルマニア地方ドイッチュラント
「あんな強い奴がキプロスなんかに居たなんて‥ワクワクしてきたでちゅ~。」
一人の金髪三つ編みおさげ女がキプロスへ向かった。
お前ら、働いてくれ【ガラ恵編2】
ジークリンデ・ロスラー。20才。金髪三つ編みおさげ女。趣味で騎士をやっている。
「ここがキプロスでちゅか!とんでもない田舎でちゅね!さっさとガラ恵とやらをシメてドイッチュラントに帰るでちゅ~。おっちゃん!ピグマアレーナまで!」
タクシーに乗りピグマアレーナまで向かうのだが‥
「あ‥ありえね~でちゅ~!今時金貨支払いって!電子マネー使えないんでちゅかァ?!」
「うちはそういうのやってないんで。ちゅちゅ言ってないで早くカネ払ってよ。警察呼ぶよ。」
「ありえね~でちゅー‥」
「お困りの用ですなあ」
ピグマであった。ガラ恵と一緒に円盾を購入してきたのだ。
「あーキモい人~助かったでちゅ!実は金貨持ってなくて支払い出来ないでちゅ!代わりに支払いを頼みたいんでちゅが‥?」
「ふーん。ええで。」
ピグマは運賃を払ってやった。見た目がまあまあだったので。
「いやー助かったでちゅー。帰りの旅費もよろしくお願いしたいのでちゅが‥?」
「まあ、しゃーないわー。ギャーコクジンには楽しく過ごして帰ってもらいたいやで。」
「キモいけど良い人でちゅー。実はガラ恵って人と戦いたいんでちゅが‥?」
「あ、そうなん。じゃー今日出れる?今から。」
「キモいけど、話しが速くて助かるでちゅー。」
ピグマとガラ恵は控え室に入ると、二人でバカ笑いした。
「ギャーハッハッ!なんやねんあの話し方はァ!」
「あれで身長がそこそこあるのも面白いッス!」
「んじゃ今日も派手に頼むやで!」
「了解ッスよ」
入場するガラ恵とジークリンデ。会場はガラ恵ヲタで満員である。ガラ恵はハルバードを選んだ。
「‥買った円盾使わんのかい‥」
ジークリンデは持参のツヴァイヘンダー。
審判から説明を受ける。
「試合は一本先取で勝利。ルールは殺人以外何でもあり。」
「え!一本勝負なんでちゅか!聞いてないでちゅよ?」
「それはそのときの審判の気分によります。私は今日早く帰りたいので。」
「ぐっ‥じゃ、しょうがないでちゅね」
「では‥はじめ」
ツヴァイヘンダーの一撃の重さならすぐにライフを0にできるだろう。リカッソを掴み刺突を繰り出そうとしたその時‥。お辞儀をするガラ恵。
「ジークリンデとやら!一礼するッス!」
一喝するガラ恵。その気迫に気圧され一礼し返したジークリンデ。しかし!
ガラ恵のぶん投げたハルバードが首付近に直撃した。
「うぴっ??!」
強武器、威力減衰無しの最適打撃。ガラ恵の元々の攻撃力の高さのトリプル役満で頭のライフ0。秒で敗北である。
「なっ?!こんな?!ガラ恵ェッ!ひっ卑怯者過ぎるでちゅー!審判!どーなってるでちゅか!」
「私ははじめろと言いましたよ。その後の事は知りません。」
「ジークリンデ‥常在戦場ッスよ!」
「ガ‥ガラ恵~!許さねえでちゅー!」
ジークリンデは試合後の暴行未遂で拘束されドイッチュラントに強制送還された。
お前ら、働いてくれ【ガラ恵編3】
ジークリンデの敗北は西欧武術ギルドでちょっとだけ噂になった。趣味で騎士やってるだけの女が負けただけって話しなのである。
「アイツらはホームだからって好き勝手やり過ぎでちゅー!」
「見苦しいな‥君はこれからローゼンブルクに行って修行してきた方がいい。今頃はチバニアと戦争状態だから、死なない程度にね。」
デイヴィッド・スミス。30歳。ちょいハゲ。大ブリタニア金獅子十字勲章を授与された事のあるバイク版V8の化身を乗りこなす騎士の中の騎士である。
「ローゼンブルク‥い、嫌でちゅー!そんなところ行きたくねーでちゅー!あー!」
警備員に連れて行かれるジークリンデ。
「‥要するにキプロスで戦わなきゃいいんだろ。ブリタニアに呼べばいいじゃん。」
デイヴィッドはピグマ宛に拳闘大会の招待状を送ったのだった。
しかし、ピグマはこれを断る。
「なんで断ったんスか!」
ガラ恵は特に理由はないが悔しがった。
「だってさァアイツらの食いもん苦手なんだよね。魚を雑草と一緒に鬼のように煮詰めて、パッサパサになった身に咽せる程酸っぱいビネガーをドボドボかけて葉っぱと一緒に食うの。ワイ、ちょっとキツいんだよね。」
「マジッスか‥。じゃあ仕方ないッスね。」
「アイツが来りゃいいんだよ。」
ピグマは拳闘大会の招待状をデイヴィッドに出した。
大会当日、デイヴィッドはキプロスに来た。
「アイツ‥まじで来やがったんか。」
「とんでもない田舎だな。早く終わらして帰ろっと。」
「その要望にお答えするで。第一回戦にしてファイナル。デイヴィッド・スミス対ガラ恵や。」
「いや、俺はお前と戦いにきたんだけど。」
「は?訳ワケらんで?」
「男対女なんて俺、勝手も負けても損しかしねーじゃん。」
「それも‥そうやな。」
悲劇‥ピグマはデイヴィッドと戦うことになった。
「あーなんでこうなるんかなー。」
「デイヴィッドをボコるチャンス‥うらやまッス!」
「はー送んなきゃ良かったわ。」
入場するデイヴィッドとピグマ。ガラ恵ヲタはガラ恵が見れないことにぶちきれており会場内は険悪なムードである。
審判から説明を受ける。
「試合は50分。タイムアップまで存分に戦って下さい。ルールは殺人以外何でもありです
。」
「ちょっと待てや!50分てなに考えてんねん!」
「今日は楽しくなりそうですね。」
「クソ審判~!」
「でははじめ。」
そのあとの事を、ピグマはよく覚えていない。気づいたら病院にいた。だが体じゅうが痛いのでボコられたのだろう。しかしキプロス島民ニュースは無効試合と報道していた。
「どうなっとるんや‥。」
実はあのあと、暴徒化した1万人近いガラ恵ヲタとガラ恵が乱入しデイヴィッド対ガラ恵、ガラ恵ヲタという事態になっていたのだ。
その最中さりげなくピグマもガラ恵にボコられていた。暴徒に防具をひんむかれるピグマ。
「‥ちっさ‥あとホクロすごいッスね‥」
これがきっかけで童帝と呼ばれることになる。
ちなみにブリタニアとの仲はちょっと悪くなった。
お前ら、働いてくれ【闇の乙女編】
ピグマはガラ美、ガラ夢、ガラ夜が音楽活動を始めている事を知った。
「なんや、アイツら。早く言ってくれればええのに。国家権力ごり押し露出させたるで。」
ダークで邪悪な病み深きグループにする予定である。
「ちょっと一曲なんか聴かしてくれへん?」
「聴かしてくれへん?じゃねえんだわ。キモオタ。どこで知ったんだよ。」
ガラ美がキレる。
「ワイは乙女の秘密を集めるのが仕事なんやで。」
「‥。」
あまりのキモさに言葉を失う3人。
「すぐにピグマアレーナでやらしたるわ。なるはやで仕上げてくるんやぞ。」
数日後‥
「じゃ歌ってもらおうかな。ガラ夢さんとうぞ。」
「曲名は祝福です‥。」
ガラ夢は病みがちだからこのグループの方向性的には向いているはず‥
「誰かの笑い声が~遠くから聞こえてくるゥー幸せそうでェ羨ましくてェ胸が締め付けられるゥーおめでとうと笑顔で言った言葉は嘘じゃなァい心からそう願ってる本当のことなのにィだけど少しだけェ黒い影が心の隅に潜むゥー満たされない想いがじわりと疼いてくるゥー!口先で祝福しィ腹の底で呪うゥー!こんな自分が嫌になるーそれでも止まらないィ!嫉妬と羨望と後悔と不安が渦巻いて私を飲み込んでいくー!いーつーかこの感情が消えて無くなるまで祈りを捧げてるゥー誰にも言えないこの秘密を抱いてェー‥」
ピグマの予想どうりちょっと影のある病み曲が出来ていた。
「いやー期待を裏切らんなおかっぱわ!採用ー!」
「では次、ガラ夜さん。始めてください。」
「‥あ、はい。笑殺です。歌います。」
「狂気に満ちた~笑い声が響く暗闇に満ちたこの世界で~残酷な運命が待ち受けるゥー誰もが逃れられないーッ笑い殺すゥーこの愛の行方ェェ闇に満ちた愛の果てにィ~」
ピグマが思ったより透き通っていた。
「もっとスラッシュメタルな奴かと思ってたわ‥。とにかく採用で。」
「ガラ美さん。どうぞ。」
「涙の果てにィ~見える光ッ!
心を奮い立たせ前を向いてェ
強さを知るゥーッその瞬間
幸せが待っているゥーン!」
ピグマ的にはアウトであった。世界観的に合わねーなと‥。
「なんやねんその歌ァ~。そんな曲売れるわけないやろー。ちょっとガラ美さん‥ごめんやで。」
「‥ギギギ‥。」
ガラ美はやはりダークな方向性に合わないのでソロ活動することにした。
お前ら、働いてくれ【闇の乙女編2】
SNSを通じてその評判は広まっていき、気付けばあれよあれよという間にファンがついていた。
いつものように動画サイトへ曲を投稿していると、それにコメントが付く。気晴らし程度に目を通していたのだが、そのときのコメントはどこか様子がおかしかった。
『私も歌いたい!』 『すごく素敵な歌です!』そんなメッセージが書き込まれていた。
はっきり言って、闇の乙女たちはとても驚いた。なぜなら、わざわざこんな病み曲を聴きたいと思う人なんていないだろうと思っていた。
ただ、それでも嬉しかったのは事実だ。自分の曲を認めてもらえることは初めてだったから……。
それからというもの、コメント欄でのやり取りが始まった。闇の乙女たちはそれに返信する形でやり取りを続けていき、次第に仲良くなっていった。
そんなある日、その相手からとある提案があった。
それは、一緒に歌うということだった。被り物をしていて顔も分からない人だがそれでも構わない、むしろその方が面白いかもしれないと思い了承する。そして闇の乙女たちは彼女の動画を見ながら歌を合わせていく…とても楽しかったし、なによりも楽しかった!こんなにも心躍るものがあったなんて…今まで知らなかったことだ。
それからというものの、闇の乙女たちは毎日のように歌の練習や雑談を続けていたのだが…。
お前ら、働いてくれ【闇の乙女編3】
コメント欄でやり取りをしていた闇の乙女たちだったが、突然彼女からの返信が来なくなってしまった。
どうしたのだろう…?と心配になりつつも、それでも毎日続けていた…だけど、1週間後、2週間後も返信は一向に来なかった。
さすがにおかしいと思い、闇の乙女たちは彼女をフォローしていたファンの1人から話を聞くことにしたのだがそこで驚くべき事実を知ることとなる。
なんと、彼女は既に亡くなっているという。しかも病気などではなく、他殺の可能性があるらしい。闇の乙女たちはショックのあまり言葉を失った。それと同時に怒りが込み上げてくる。それからというものの、闇の乙女たちは独自に彼女のことを調べることにした。
分かったことはいくつかあるのだが、まず、彼女には恋人がいたらしい。名前はサラサラ間藤というらしく、そして職業は港湾関連だという。
正直驚いたのだが、同時に納得もした…。おそらくサラサラ間藤のなんらかの密輸事件か何かを知りすぎてしまって口封じに殺されたのだ……と闇の乙女たちは考えた。
お前ら、働いてくれ【闇の乙女編4】
サラサラ間藤が犯人かは分からないが、多分そうだと決めつけ、 復讐を決意をする。彼を捕まえて警察に突き出す。だが、そう決めた矢先だった。そのサラサラ間藤という男が自殺した。理由は不明だという話だそうだが、おそらく罪悪感によるものだろうと闇の乙女たちは断定した。
しかし‥これでは復讐することができないじゃないか…。
しばらくしてメッセージが届く。
「真相を知りたければリマソールにある廃工場に来い。」
闇の乙女たちはピグマに相談することにした。
「ほーん、やったろやないかい。」
夜8時頃、V8の化身に乗って廃工場に着く。中に入ると男が一人‥。ゆっくり近づいてくると拳銃を突きつけてきた。
「騙して悪いが、真相を教える‥というのは嘘だ。ここで死ね。」
しかしピグマは動じない。それどころか拳銃を掴むと挑発し始めた。
「撃ってみ。撃ってみ。」
「アホが‥」
ピグマはどこかで聞き齧ったことを実戦でやりたくなってしまう困ったやつだった。だがスライドの押さえかたが悪く、弾は発射され左肩を撃ち抜いた。
「ぷぎゃあああああ?!」
無能のピグマ。闇の乙女たちは絶対絶命‥。
その時、後をつけてきていたガラ美が銃を構えて中に入ってきた!
「フリーズ!」
「‥プリーズッ?!」
ピクッとした拳銃を持った男‥
「No!フリーズつったろ!」
激怒したガラ美は男を容赦なく射殺した。
ピグマは病院に運ばれガラ和により全く関係ない顔面整形手術を受けアドニスに比肩するクソイケメンにされてしまった。
「‥ガラ和‥やっぱすごいわ‥。」
今回の一連の事件の真相探るのがめんどくさくなったピグマはとりあえずリマソールの港湾業の人間を全員国外追放にした。
トキョ継承戦争【ジークリンデ編】
関東大震災2ndでトキョがほぼ壊滅し、移民14億人流入という状況の日本。新たなトキョをどこにするかたびたび議論されてきたが話し合いでは解決しなかった。トキョ継承戦争の勃発である。江戸湾海戦で旧トキョ連合軍をチバニア・ローゼンブルク連合軍が青くプルついた何かで爆発四散させて以来、夢の国、チバニア。ドイッチュラントの傀儡みたいな国、ローゼンブルクの2トップ状態。その後仲違いし、青くプルついた何かと毒ガス兵器を駆使するローゼンブルクはチバニアを勝浦まで追い詰めるが、チバニアの特殊部隊は勝浦から泳いでローゼンブルク軍の背後を突き青くプルついた何かをいくつか奪取することに成功する。結果的にチバニアは柏あたりまで国境線を回復した。ほぼ振り出しに戻ったどころか状況が悪くなっている‥。そんなタイミングでジークリンデはローゼンブルクに到着した。
「‥はぁーなんで遊びでやってるだけなのにこんな激戦地送りになるんでちゅかねェ‥。」
「どうもこんにちは。サタケと言います。サタケ卿と呼んでください(笑)あなたが西欧武術ギルドからきた援軍?一人だけなんですか?」
「あーそうなんでちゅよ。しかも遊びでやってるだけなんでちゅよ。」
「えー‥あのちょいハゲなに考えてるんだろうなぁ。」
その後ちょっとした作戦会議と対人練習をした。この様子をチバニアの偵察部隊が撮影し、チバニアのトップである三木卿に見せた。
「ハハッ!‥活きがいいのがいるねェ!楽しくなりそうだねグフィエレス!ハハッ!」
「アッヒヒ‥アッヒッ!」
トキョ継承戦争【ジークリンデ編2】
館山にある新チバニアンランドまで道のりは遠い‥。とりあえずこれから柏を襲撃しに行く。するとサタケがやって来た。
「ロスラーさん、これどうぞ。」
ジークリンデは見たことないくらいバカみたいなバイクを借り受けた。
「なんなんでちゅか‥このバイクは‥?」
「芝刈り機のエンジンを24個つけたものです。騎士ですよね。バイクくらい乗れるはずです。」
「こんなバカバイク初めてみたんでちゅが‥。」
「迂回路とかないんでちゅかね?」
「火山やらフォールアウトやらで危険なのでチバニアより西側にはあまり入らない方が良いですよ。」
「‥。」
二人でせっせと24個のエンジンをかけてようやくバイクに乗り柏へ向かった。
歩兵がぞろぞろいたがツヴァイを振り回したりバイクで轢いてるうちに突破した。そして駐屯地らしき拠点にたどり着くと貰ってきたお手軽テルミット爆弾で焼き払う。
「ふぅー、この調子ならすぐに浦安も火の海でちゅねえ。」
油断していたら高台から大男がメイスとショートソードで落下攻撃を仕掛けてきた。
「‥!?」
ローリングでかわすジークリンデ。
「アッヒャ‥」
犬頭形兜の騎士グフィエレス。メキシコ人。元ルチャドールである。普段は浦安にある水没しかけの旧チバニアンランドを拠点にしている。
「二刀流でちゅか‥。ちょっと厄介でちゅねえ。」
だがジークリンデのガントレットにはある仕掛けがついていた。
トキョ継承戦争【ジークリンデ編3】
ジークリンデはガントレットに着けておいたネットランチャーを射出しようとした。このネットで動きを止めてツヴァイで脳天かち割る作戦である。しかしグフィエレスはまずメイスを投げショートソードで刺突してくる。
「アッヒ!」
ツヴァイで捌いてるうちにさらにグフィエレスはショートソードも投げてくる。
「‥?!」
ツヴァイで防ぐが、気づけばグフィエレスに懐に入り込まれていた。
「アッヒョオオオオオッ!」
グフィエレスの得意技のひとつである垂直落下式ブレーンバスターを食らってしまった。
「う‥うぴ~‥」
気絶するジークリンデ。グフィエレスは金髪三つ編みおさげをグッと掴むとひきづりながら浦安に帰った。
旧チバニアンランドに三木卿も来ていた。
「ハハッ!思ったより弱かったね!」
「アッヒョ!」
「そうそう!99%の努力と1%の才能!この1%がクソみたいに深くて広くて高いんだよねハハッ!」
「アッヒヒ!」
「ドイッチュラントの人なんだよね確か!速達で明日にはドイッチュラントに届くかな!ハハッ!」
三木卿は適当な箱にジークリンデをぶちこむと郵便に出した。
その後、チバニアはローゼンブルク城を制圧。サタケ卿は秋田に移住した。
「チバニア万歳!」「チバニア万歳!」館山というかチバニア全体が沸いていた。バン○オブチ○ンの曲で朝まで騒いだのだった。
お前ら、働いてくれ【ガラ妃編】
ある日、ピグマは金貨を貯蔵している部屋からずっしり金貨袋をもって出てくるガラ妃を見かけた。
「お?ガラ妃、その金貨どこ持っていくねん?」
「ごきげんよう、ピグマさま。これからこの金貨を貧しい方々に配ろうと思っていますわ。とてもノブレスでオブリージュでしょう?」
「お、おう‥ノブレスでオブリージュかもやけど自分のカネでやるべきやと思うで。その金ガラ恵とかガラ奈のカネみたいなもんやし。泥棒はまずいやろ‥。」
「泥棒扱いしているんですの?!名誉毀損と侮辱罪で訴えますわ!裁判所で会いましょう?」
「えぇ‥」
数日後‥
「それでは開廷します。好き勝手に始めてください。」
裁判長がふっかける。ピグマが先に仕掛けた。
「この女の言ってる事はめちゃくちゃやで‥。金貨袋盗んでたのは事実やし泥棒扱いされても仕方ないやろ。」
「そーなのかー‥そりゃそうだ。」
傍聴者はアホ面で納得する。
「その男の言ってる事に何一つ真実はありませんわ。そもそも映像もなにも証拠がありませんもの!」
「そーなのかー‥。証拠が無いんじゃなあ‥無実だろ」
傍聴者はアホ面でうなづく。
「確かに証拠は無いんやけどこの人無職みたいなもんなんですよ。そんな人が寄付できるお金持ってますぅ?無いでしょ。だから人の金であるのは間違いないんですよぉ!」
「そーなのかー‥なら盗ったのかもなあ。」
「なっ‥無職じゃないですわ。貴族ですッ。」
傍聴者はピグマ側に流れた。しかしその時‥。
ガラ妃は自らの衣服を脱ぎ捨て、全裸になった。
「な、なんですとーッ!」
傍聴者と裁判長はパフィーなニップルに大興奮である。
「健全な魂は健全な肉体に宿ると言いますッ‥!このわたくしが嘘や盗みを働く人間だと本気で思ってるんですのッ!?」
「た、確かにーッ!」
傍聴者と裁判長はガラ妃のパーフェクツなボディに完全に分からされた。
「何考えとんねんッ!アホ裁判長ッ!頭にウジでも飼っとるんかッ!」
キレてるピグマのもとにガラ妃がヒタヒタ歩いてきてピグマの衣服を破り捨てた。
「ぷぎゃああ!何すんねん!このヘンタイ!」
「この18センチ以下の短小黒乳首男が正しい訳がありませんわッ!」
「た、確かにーッ!」
「お、お前らーッ!」
結果、ピグマは刑務所送りになるところだったが裏取引をして解放された。夜明け頃だった。
お前ら、働いてくれ【ガラ妃編2】
それからのガラ妃はすっかり不良貴族‥悪い子になってしまった。元々エセ貴族、ただの貴族気取りなので仕方ないのだが‥。
ちょっと悪さをして裁判になってもすぐ全裸になって無実を証明し戦勝率100%であった。
ガラ妃は密かに義賊を目指す事にした。見つからずにそのまま奪えればよし。捕まって裁判になっても全てを脱ぎ捨てれば勝つ。負けるはずのない勝負。スリリング!エキサイティング!楽しくなりそうだ!
「それにしても、義賊って‥‥とても良い響きですこと‥。」
ガラ妃は自分に酔いしれるようにうっとりと呟いた。
最初のターゲットはフランス王国、パリのロゼリア伯爵家の秘宝、〈夜泣きのルビー〉。
夜中に石の中で誰かが涙を流しているとか、見ていると赤子の泣き声が聴こえてくるとか来ないとか‥。そんなことはどうでもよく高価で美しい盗み甲斐のあるものだ。
「宝石といわれるものが無事で居られると思わないことですわ‥!」
黒マントに身を包んだガラ妃は、まるで舞台女優のようにひとり芝居をしながら、ロゼリア邸の屋根に忍び込んだ。
泥棒のくせに、マントはひらひら、ブーツはコツコツ、隠密性ゼロ。だが、なぜかバレない。
「貴族の警備なんて、見せかけですもの。ほら、寝てますわね、あの兵士。口を開けて。」
まっすぐ宝石の間へ向かう。
途中、絨毯に足を取られたり、調度品にうっとり見とれたりしながらついに〈夜泣きのルビー〉の眠るガラスケースの前に立った。
「見つけましたわ…! 今宵、あなたはわたくしのもの…。」
ガラ妃は、得意満面でケースに手をかけたその瞬間。カチッ。何かが起動し警報が鳴った。
「……え?」
兵士たちの怒声が飛び交う。
「捕らえろ!賊だ!」
「っ!」
ガラ妃、ミッション失敗のお知らせ。
「フッ‥仕方ありませんわね‥」
無駄な抵抗はせず大人しく逮捕されたのだった。
お前ら、働いてくれ【ガラ妃編3】
翌日。
町の中央広場に設けられた特設裁判所。
豪奢なテントと臨時の玉座。フランス王、噂好き、野次馬、暇な貴族たちで、異様な熱気に包まれていた。
そこに現れたのは、堂々たる態度の被告人。
漆黒のマント一枚。その下は、何も着ていない。
「本日も、裁かれに参りましたわ!」
どこまでも明るく爽やかに、被告人席へと歩くガラ妃。
審理が始まる。
「被告、ガラ妃。貴女はロゼリア伯爵家邸に侵入し、〈夜泣きのルビー〉の盗難未遂に及びました。何か弁明は?」
「はい。まず第一に、わたくしが盗むつもりで邸に入った証拠がどこにありますの?」
「ガラスケースを壊しにかかった時点でェ‥」
「そォれェはァ‥落とし物を拾おうとしただけですわ!」
「ケースの中に落ちていたとッ?」
「ええ。‥わたくしの心が、ですけれども。」
「…‥。」
裁判長は頭を抱える。
傍聴席のご婦人たちがざわつく。
「さらに申し上げますと、この姿、この無垢なる裸体こそ、わたくしがいかにやましいことなど何ひとつしておりません!という証明なのですわ!」
彼女はバッとマントを翻し、キラキラとポージングを決めた。
「ご覧なさい! わたくしの潔白なる肉体美! 罪を犯す者に、こんなにツヤのある尻が育ちます!?」
どこからか「なるほど……」という声。
変なとこがパキつきはじめる判事。
夢中でスケッチを始める画家。
賛同の拍手が起こり始める。
結果ッ!
「よって被告、ガラ妃。……無罪ッ!」
「フッ‥やはりそうなりますわよね!」
勝ち誇った笑顔で、ガラ妃は広場を後にした。
彼女のマントがはためくたび、歓喜と若干の混乱が巻き起こる。
そしてガラ妃は、誰にも聞こえぬように小さく呟く。
「フランス‥肉体芸術の解る素晴らしい国でしたわ‥。次こそは成功させてみせますわ。義賊として…!」
その後フランス王から正式に誤認逮捕の謝罪と賠償金が支払われた。その義援金でチョコの味を知らないカカオ農家は20%くらい減った。
お前ら、働いてくれ【冒険者たち編】
ピグマはガラシャ、ガラーネ、ガラ乃はあまり一般人な生活が向いてなさそうなので冒険家やって配信したり書籍ださせることにした。
「なんか写真撮って素材屋に売ったり配信して投げ銭してもらうしかないやろあんたら。闘技場でも勝てへんしな。」
ガラーネはガラ恵に地下迷宮でみぞおちを殴られたがその際に心ごと粉砕されていた。
「うちゃまだ戦うとらんが?」
ガラシャはまだガラ恵と戦ったことがないのでヤバさをよく知らない。
「あーやめた方がええよ。どうしてもやるなら神話で聞くような魔物と戦うという心構えやないとね。まあ、京都とか行ってみたらおもろいかもよ。」
ピグマに言われるがまま冒険者一行は京都に向かった。
数時間後‥京都‥
「無礼討ちどすー☆無礼討ちどすー☆」
久しぶりに日本に帰省中のモンゴル帝国及び京都王マイコ・ハーンが自分の悪口を言っていた市民をなで切りにしては街頭に吊るしていた。いずれはチバニアの三木卿と日本のトップを巡り争うかもしれない。早く後継者を決めなければ日本列島は自我を持っているので島民全てが日本列島に滅ぼされてしまう。最強の者が後を引き継ぐのだ‥。
「…もっと風情あるところやて思うとったが‥。」
ガラシャは古地図を見ながらつぶやいた。
目の前には、燃える家屋、うなだれる市民。
「無礼討ちどすー☆ 無礼討ちどすー☆」
ぬるぬると舞い踊るマイコ・ハーン。
とてつもなく華やかな着物を着込み、片手にお扇子、もう片手には日本刀(ダマスカス鋼製)。
「……あれが王?」
「いや、魔王だろ‥もう」
「チャット欄めっちゃ荒れてる。BANされるぞ!とか倫理コードやばいとか……」
ガラ乃は撮影を続けながら、裏で動画タイトルを編集していた。
〈【現地生中継】京都、終わる。~マイコ・ハーンと見る地獄風景~〉
「お金にはならないかもだけど、これはバズる」
「地獄……」
「いや京都だ」
そのとき、空からふわりと白い紙が舞い落ちてきた。
無礼討ち警告書と書いてある。
「わ、!名指しされてるよ!」
「大丈夫。これはセーフ。レッドカード出るまでは記録してていいって、どこかのガイドに書いてた」
「何のガイド……」
一行はひとまず川沿いのカフェに避難し、アイス抹茶とくず餅パフェを注文した。
背後で市民が吊るされながら回転している。
「……で、次どこ行く?」
「奈良とかまだ生きてるかもしれん」
「ガラーネ、まだお腹押さえてるじゃん」
「傷が疼くよ……」
「じゃあ、奈良行くか。シカもたぶん居るし」
旅は続く。
お前ら、働いてくれ【冒険者たち編2】
奈良。
そこはかつて、穏やかな神鹿と修学旅行生が共存していた地。
今は、鹿が統治していた。
「ん?なんか鹿、デカい?」
ガラーネの言葉に、ガラ乃が携帯端末のズームを最大にする。
神社の楼門を突き破って出てきたのは、推定身長2.8メートル、目が完全に据わった暴君系の神鹿だった。
「鹿王・ナラマルク……」
「それ神話のやつ?本当に?」
「地元の古文書。〈シカと文明の終焉〉って本に載ってた」
ナラマルクは神々しくも目の焦点が合っておらず、口からはせんべいがポロポロ落ちている。
背後にいるシカ兵団もしゃべるし、腕組みしてる。
「異邦の者よ。せんべいか命か、選ぶがよい」
「言葉しゃべった!?!?」
「なあ、今これバグじゃない?いや、日本のバグじゃない?」
「ちょっと、これ配信続けたら運営に通報されるかも」
そのとき、ナラマルクの角が発光し、ズキュウウゥンという音とともに光線が発射される。
近くの土産屋が一軒、粉になった。
「……ヤバすぎ!どうする?!」
「タイトル変えた。【逃走中】奈良、鹿に支配されてた件でいく」
「強いなあんた……」
とりあえず命だけは惜しいので、冒険者一行は奈良公園を後にする。
「でも、今日の配信投げ銭すごい!叫びながら送金してる。」
「マジで世界、終わってんな……」
「……ところで次、どこ行く?」
「淡路島がいいってコメントにあった。」
「凄い所だね奈良って…」
旅は続く。
お前ら、働いてくれ【冒険者たち編3】
淡路島は静かだった。
奈良の神鹿に比べれば、明らかにまだ現実のふりをしている雰囲気があった。
だが、その静けさは不自然なほどだった。
「……なんか、静かすぎ?」
「観光地で人類の声が一切しないの‥怖い」
ガラ乃たちは港近くの廃ホテルに拠点を構えた。配信は継続中、チャット欄では心配する声と投げ銭が交錯している。
〈この前まで淡路に住んでたけど、急に水族館から音楽が聞こえるって噂あったんよ〉
〈やめとけ、絶対こいつら行くやつやんそれ……〉
「……行くか」
夜。
水族館は、今や完全無人のはず。
それなのに、聴こえてくる。
妙に間の抜けた、しかしどこか洗脳的なメロディーが。
「これ、聞いたら駄目なやつじゃない?」
水槽の奥。
見えたのは、巨大なクラゲのようなもの。
が、それはクラゲではなかった。
タコ足のついたグランドピアノが、水中で優雅に旋律を奏でていた。
「あれが、音楽魔獣……!」
「なにその単語初めて聞いたんだけど!?」
「伝説の存在らしい。作曲で人間を惑わし、たまになにかしらのランキング入りするって」
「すごいや……」
ガラ乃はカメラを最大倍率にズームした。
「いいねこれ、【閲覧注意】水中ピアノモンスターと狂気の夜で行こうか」
「ついに怪談系に突入してきた……」
「どうでもいいけど今、ガラシャずっと踊ってる」
「え、マジで?」
「無意識に音楽に操られてる」
「でもキレがすごいな……」
音楽魔獣は唐突に姿を消した。
ガラシャは回復したけど振り付けだけ覚えていた。
「一回帰らない?」
「無理。再生数、うなぎ登りだし。」
その夜も、彼女たちは配信を終え、視聴者からの「どこまで行くんだこの人ら」というコメントを眺めながら、廃ホテルでごろ寝した。
旅は続く。
お前ら、働いてくれ【冒険者たち編4】
四国は、四国としての自我に目覚めていた。
「この道、なんか変じゃない?」
ガラーネが指差す道は、30分前からずっと同じ神社と同じ自販機を繰り返していた。
「ループしてるな。また変なとこ通ってるな。地図上はまっすぐだけどな、たぶん概念としての道に入り込んだ」
「は?」
ガラ乃たちは、うどん屋を目指していた。だが、辿り着けない。
なぜなら、うどん屋の存在そのものが、高度な術式で封印されていたからである。
「四国ではな、うどんが神格化してるんだ。」
ガラ乃は四国についてにわかな知識を語りだした。
「年に一度、選ばれし者しかうどんにありつけないんだ。その試練を超えた者だけが、真のコシを知る」
「そのうどん、何かと戦ってない?」
「知らないけど、多分人格はある」
そのとき、道端の祠が開いた。
中から出てきたのは、小学生サイズの石像。そしてしゃべる。
「冒険者よ。四国へようこそ。ここは八十八の迷い道のひとつ、試練の六十七番目なり」
「多いなあ」
「おぬしら、真の冒険者ならば、次の問いに答えるがよい」
「讃岐、伊予、讃岐、阿波……どれが“うどん警察”の本拠地か」
「……え、讃岐二個入ってるんだけど?」
「ツッコミ待ちか……」
ガラ乃は一瞬考えてから言った。
「伊予」
「正解である」
「えっ!?」
「うどん警察は伊予に潜伏しておる。讃岐は、ただの分身にすぎぬ」
石像は言い残すと、また祠に戻って扉を閉じた。
道がゆがみ、光が差し、ついに!
「……うどん屋、あった!」
「すごい、BGMが壮大すぎる」
「しかも……うどん、しゃべってる」
「よう来たな旅人よ。我こそは久遠のコシ、この地の守護麺なり」
うどんを食べると、マジでアガッた。
画面上に「ガラーネは知恵のコシを得た!」とコメントが流れ、視聴者の投げ銭がまた爆発する。
その夜、ガラ乃は書籍のタイトルをメモしていた。
『四国遍麺記 八十八の味と一つの正解』
ガラーネたちはとりあえず一旦帰国した。
お前ら、働いてくれ【ガラ葉編】
午後3時。ガラ葉、起床。髪はスーパーロング。夢もスーパーロング。でも今のところ予定は、寝る→髪手入れ→うたた寝のループ。
「……今日も特に何も予定はないけど……髪、いい感じ……」
鏡の前でブラシを持つ姿は、まるで女神。
ただし服はジャージ、ブラシは高級、行動力ゼロ。
たまたまピグマが通りすがり‥
「いいかげん働いてくれるとうれしいんやけどなぁ。その髪、面接で武器になるで」
「武器じゃないの。これは鎧。社会からの攻撃を防ぐの」
「なに言うてんねん‥」
ガラ葉はブラシを止め、ゆっくりと顔を上げる。鏡の中の自分を見つめながら、神妙な顔でつぶやく。
「でも……ピグマ、思わない?この髪に命をかけてるってことは、もう立派な職業みたいなもんじゃない?」
「いや、ニートの言い訳としてはトップクラスやけどな」
「むしろ誇ってほしい。この時代にここまで自己管理に全力な人、そうそういないよ」
「じゃあその情熱をな、社会に還元してくれや」
「え、じゃあ、髪見せびらかす系の仕事……」
「いや、それもうしてるつもりなんやろ?」
ガラ葉は再びブラシを手に取り、優雅に髪をとかしながら呟いた。
「いいのよ。世界が私を見つけにくれば」
その時チャイムの音が鳴る。
ガラ葉はブラシを止めた。
「……誰?ピグマ、宅配頼んだ?」
「いや、ワイ何も頼んでへんで。」
ガラ葉は溜息をつきながら立ち上がる。
「面倒……でも髪、いい感じ……対応、できそう……」
そう呟きながら、ジャージのまま玄関を開けると、そこには黒服の男女が三人。サングラス。無表情。
「ガラ葉さんですね。ご同行願います」
「え、なに、髪ファンクラブの方々?」
返事はない。
次の瞬間、ガラ葉の視界が暗転する。
布袋を被せられた!
「ちょっ、髪、引っかかってるから!引っ張らないで!それ、神聖領域だから!……聞いてる!?」
ピグマの叫びが、遠ざかる車の音にかき消される。
「おい!さらっと誘拐すんなや!てか、ブラシ持っていったんか!?高級やぞそれ!」
お前ら、働いてくれ【ガラ葉編2】
暗い車内。布袋の中でガラ葉はもぞもぞと動きながら、何とか顔を出す。
髪がファサァ…と外にあふれ出て、黒服の一人がそれをそっと直す。
「……え、優しい……誰?」
「失礼しました。乱暴な手段に出ましたが、こちらも急いでおりまして」
「いや、急ぐにしても袋はやめて……せめて、髪のスペース確保して……」
「ガラ葉様。あなたは選ばれた髪の持ち主です」
「え、なにその設定。勝手に盛るのやめて」
「私たちは長髪特化型芸能プロダクション・ヘアレジェンドの者です。あなたに是非、神秘系モデルとしてデビューしていただきたく」
「いやいやいや。私、基本ジャージだし……神秘とか、もう今ブラシのことしか考えてなかったし……」
「見ました。あのブラッシング。神が宿ってました。光が見えました」
「髪に?」
「はい、明確にオーラが。スーパーロング、未踏領域です」
「……えっ、マジで?」
「マジです」
ピグマがブラシに着けておいた発信器を頼りに事務所の前にたどり着いたのは、それから約一時間後だった。
手にはガラ葉の非常用ブラシセット(予備がちゃんとある)、肩で息をしながら扉を蹴るように開ける。
「おい!うちのガラ葉どこや!あの子、社会性ゼロやぞ!誘拐して責任とれるんかい!」
受付にいたスーツ姿の女性が、にっこりと笑った。
「ご安心ください。現在、メイクルームで撮影用のヘアチェック中です」
「もう仕事始まってるんか?!」
その頃メイクルームでは鏡の前に座らされたガラ葉は、すでにプロの手で三方向から髪を持ち上げられていた。
「やばい……なにこの感じ……やたら髪を大事にされてる……」
「この毛先のまとまり、自然?まさかノンシリコン?」
「はい。あと、炭入り櫛で整えてます」
「えっ、通ですね……!」
スタイリストたちはもはや畏敬の念すら抱いていた。
その空気に押され、ガラ葉もついポツリと口を開く。
「……あの……これ、寝たままでもできます?」
「もちろん、弊社では寝ながら映えるが基本コンセプトです!」
「……なんて私向き……!」
その瞬間、パシャッと一枚。
誰かが試しに撮った写真が、たまたまSNSにアップされた。
〈#神秘の黒髪〉〈#ジャージ女神〉〈#寝ながら働く時代へ〉‥
数時間後‥ガラ葉は「ジャージ美神(仮)」として一夜でバズることになるのだった。
お前ら、働いてくれ【ガラーヌ編】
ある日、ピグマはガラーヌが宗教団体を立ち上げていることを知った。
「なんや、ガラーヌ。カルトやっとるんか。別にエエけど家庭壊したりするなよ。揉め事起こさんようにな。細々ツボ売るくらいにするんやぞ。」
「うちはそんなんじゃないですよォ~。もっとこう……心の居場所、みたいな……ほら、癒しの場ってやつですゥ~。」
その口調はいつも通りのゆるさだったが、目の奥に何かしらの確信を秘めていた。
ガラーヌが主宰するその団体の名は〈内奥醒神会〉(ないおうせいしんかい)」。
パンフレットには、あなたの中に眠る星の記憶を目覚めさせましょうと書かれている。
週に二回、ニコシアから少し外れたレンタルスペースに信者が集まり、蝋燭の炎を囲んで星母への祈りを捧げる。
「星母は見ておられます。私たちの周波数が整えば、星母の導きが現れます」と、ガラーヌは真剣な顔で語る。
会の活動内容は、一見するとスピリチュアル系の自己啓発に近い。
だが、その中にはいくつか不可解な儀式や用語が存在した。
たとえば、入信の際には「魂の名〈アースネーム〉」を授かる。儀式中には独特の言語での詠唱が行われる。ガラーヌ曰く、「高次元の存在と波長を合わせるための神語」らしい。
さらに最近では、信者の間で「聖なる水」なるものが密かに販売されているという噂もある。
一本金貨800枚で、「飲めばカルマのしがらみが流れる」とのこと。
ピグマは、翌週の集会にふらりと顔を出してみることにした。
表向きは「興味本位」で、内心は「どんなアホなことやっとるんか確認しとかなあかん」という警戒心からだ。
場所は、郊外にある古びた洋館。
もともと画家のアトリエだったらしいが、今はガラーヌが借りている。
館の中には、白いローブ姿の男女が十数人。年齢も性別もばらばら。
皆が目を閉じ、低くうねるような声で詠唱していた。
「アール・ヴァル・セーレ……ナミア・コル……」
なんやこの呪文、ピグマは思わず眉をひそめた。
そのとき、壇上に立つガラーヌが、ゆっくりと手を広げる。
「星母は今夜も、私たちを見守ってくださっています。どうか、自分の内なる光に耳を傾けてください…カルマは溶け、記憶は目覚め、魂は巡るのです……」
信者たちの顔が恍惚とするなか、ピグマはそっとガラーヌに近づいた。
「あのな、ガラーヌ。お前これ、もうツボ売る段階越えとるやろ。なんやねん星母て。カッコつけるなァ‥。」
「ピグマさん……ちゃんと感じてくださいよォ。星母の存在、あなたも分かるはずですって……。前世、あなたは光の観測者だったんですから。」
「はァ?ワイ前世コンビニ店員やった気ぃするけどな?」
ガラーヌは微笑む。その顔には、まるで狂気も悪意もなかった。
あるのはただ、信じきった者の、まっすぐな確信だけ。
ピグマは背筋に微かな寒気を覚えた‥。
お前ら、働いてくれ【ガラーヌ編2】
ピグマはその日、儀式のあとに信者たちと少しだけ雑談を交わした。
「星母から啓示を受けた」と語る者、「過去世で水晶だった」と本気で信じている者。
どいつもこいつも、ちょっとズレている。だが、目はまっすぐだった。
ガラーヌは言う。
「この世界は物質領域に過ぎません。
本当の自己は、星界にあるんです。そこに帰るには、魂を軽くしなきゃいけないんです~。」
「それで浄化の水飲んで、カルマ流すんかいな。」
「そうです~。最近は星の粉も人気で……金貨50枚で頒布してます~。あ、でもこれは任意ですよ?まったくの自由意思です~。」
「せやけど、お前その星の粉の袋、業務用片栗粉のパッケージやったぞ。」
「魂に本物かどうかは関係ないんですよォ~。」
そう言って微笑むガラーヌの顔は、どこまでも平和で、どこまでもヤバかった。
その晩、ピグマは気になって団体の資料を持ち帰った。
分厚い教本に、星界の構造図、前世占いのチャート、そして「覚醒者の記録」なる冊子。
読み進めていくうちに、妙な名前が出てきた。
〈初代星母・ユ=ガ=リナ〉
〈外縁層の神カオ=ザクルの声を聞いた者〉
〈観測者ピグ=マリオ、封印の鍵を持つ者〉
「……ワイの名前、載っとるやんけ」
ぞくり、と背筋が凍った。
どうやらガラーヌは‥いや、ガラーヌだけじゃない。
この団体は最初からピグマを観測していた‥。
お前ら、働いてくれ【ガラーヌ編3】
翌日。ピグマは妙な夢を見た。
青白い光に満ちた空間。遠くに浮かぶ巨大な目。その瞳は星々でできていた。
「……ピグ=マリオ……カギを、返しに来てください…」
声が、直接脳に響く。呼吸が苦しくなるほどの重圧。目覚めたとき、額は汗でぐっしょり濡れていた。
「……なんなんや……星母って…?」
だが疑念は確信に変わりつつあった。
自分が何か中心に近い存在だとあの団体にとっての。
その夜、ピグマはもう一度、洋館へ向かった。
信者たちの集会が終わったあと、ガラーヌの目を盗み、裏手の鍵のかかった部屋に忍び込んだ。
中には古びた祭壇があり、中央には一冊の黒革の書物が置かれていた。
〈星母降臨ノ記録〉
その第一章には、こう記されていた。
「大封印ノ地ニ、観測者〈ピグ=マリオ〉アリ。彼ノ記憶、封印ノ鍵ヲ宿セリ。鍵ハ血ニヨリ開カレ、光ヲ呼バン。」
「……ハァ!?なんでワイ、勝手に鍵にされとんねん……!」
その瞬間、背後からふわりとした声が響いた。
「やっぱり来ちゃいましたねェ、ピグマさん。」
振り返ると、そこにはローブ姿のガラーヌ。
いつもの柔和な笑みは消えていた。
その目は、ぞっとするほど澄みきっていてどこか、人間味がなかった。
「……星母が言ってるんですよ。
鍵が近づいた。そろそろ扉を、開くときだって。」
お前ら、働いてくれ【ガラーヌ編4】
「ちょ、お前……ほんまに何なんや、これ。なんでワイが鍵やねん。」
ピグマは黒革の書を抱えながら、じりじりと後ずさった。
ガラーヌは一歩、また一歩と近づいてくる。
「ピグマさん、あなたはもう目醒め始めてますよォ。
夢、見たでしょ? 星母の眼。封印の光。
全部、あなたの記憶の底にあったんですゥ~。」
「夢や!脳の電気信号や!ワイの魂はコンビニに置いてきたわ!」
「前世のあなたは、星母の封印を見届けた観測者。自ら鍵となって、封印の中に意識を沈めたんです。でもいま、扉を開けなきゃいけないんですゥ~。時が、来たんですゥ~……!」
そのとき、ガラーヌの目が星のように光った。
本当に、星が浮かんでいた。虹彩の奥に、瞬く無数の恒星。
ピグマは思わず息を呑んだ。
(やばい、ほんまにコイツ、なにか見えてるんちゃうか……?)
次の瞬間、彼の意識がふっと遠のいた。
目を開けると、そこはどこか異様な空間だった。空は深い藍色。地平線には塔のような結晶が並び、足元は雲に浮かぶ石畳。
「……ここ、どこや……?」
「観測者よ。」
不意に背後から声がした。
振り返ると、巨大な目が浮かんでいた――まさに夢で見た存在だ。
その瞳には、ガラーヌのような姿がいくつも映っていた。微笑んでいる。静かに、ただし確実に狂っている。
「おまえは扉。おまえが開け。われは還る。」
「いやいやいや、ワイ関係ないし!?
勝手に扉にせんといて!?ワイ、そんなん専門外やて!!」
だが石畳の下から、無数の手のようなものが伸びてくる。
彼を取り囲み、絡め取り、中心へと引きずっていく。
「ピグマさん……ようこそ星母の胎へ……」
それはガラーヌの声だった。
お前ら、働いてくれ【ガラーヌ編5】
「…扉が……開いたのか…」
ピグマは気づけば洋館の床に倒れていた。
ガラーヌがそっとタオルで彼の額を拭っている。
「おかえりなさい、ピグマさん。……いえ、ピグ=マリオさん。」
「……ああ。帰ってきたんやな、ワイ……胎から……」
そうつぶやいた瞬間、ピグマ自身もぎょっとした。
いま、自分は何を言った?胎? ピグ=マリオ?
なんやそれは?
「ちょ、待て待て。ワイは誰や。ピグマ・リオンや。観測とか鍵とか知らんし、
ツボも粉も買ったことないし……!」
「焦らないでくださいねェ~。魂が目醒めるときは、誰でもちょっと混乱しますゥ~。
でも大丈夫、ここに導きの音叉がありますから。」
ガラーヌはそう言って、妙な形の金属器具を取り出した。
それをチーン……と鳴らすと、不思議な倍音が空間に満ちていく。
ポーン、ポポーン……
頭の奥に、ぬるい水が流れるような感覚。
言葉が溶けていき、記憶がにじんでいく。
「……観測者は、世界を記録する者……記録することで、存在を確定させる……あなたが見ていた“現実”は、あなたが選んでただけなんですよォ……」
「……せやったんか……」
ピグマは知らぬ間に、頷いていた。
「全部、幻やったんか……あれは仮の層……
ほんまのワイは、観測者……鍵……。」
ローブを着せられたピグマは、その晩の集会で静かに座っていた。
蝋燭の灯が揺れる中、低く詠唱を始める。
「……アール・ヴァル・セーレ……ナミア・コル……」
その声に、狂気はなかった。ただ、従順さと、深い陶酔があった。
ガラーヌは微笑む。
「ふふ……やっと、目覚めましたね……我が星よ。」
ピグマはすっかりハマってしまった。
お前ら、働いてくれ【雑用係編】
ガラ和はピグマの主治医だし、ガラ矢、ガラ子、ガラテアを働かせれば全員なにかしらしているので不平等もなにもない。比較的まだ普通の人に見えたのでピグマは3人を雑用係にすることにした。
めでたく雑用係に抜擢されたその瞬間から、彼女たちは「まだ普通っぽく見えたこと」を深く後悔することになった。
何しろ、雑用の範囲が雑ではなかった。掃除、洗濯、書類の整理、V8の化身のメンテナンス作業まで。
何度か抗議してみたものの、ピグマの左耳から右耳へ、風のように流れていくだけだった。
それでも彼女たちが文句を言いながらも仕事をこなすのは、
「今のところ他に出来ることがない」
という、悲しいほど現実的な理由による。
ガラ子はピグマの日常的な変な圧力に耐えかねていた。
「ダイジョブ!ワイは人間だから」
「君はワイの味方だからワイを見捨てることはできないやろ?」
「ワイを拒否する罪は重いやで。」
ガラ子にとってこれらはキモすぎてキチゲが溜まる原因であった。
今夜もまた、オリンポス山にきてキチゲを解放する。
「うー!うー!こちらキプロス警察キチゲ解放課!深夜パトロール実施中デス!うー!うー!」
ガラ子はとんでもない衣装で騒ぎながら夜道を練り歩いた。
山奥には入りはじめ、奇声を上げる。
「ヴォ!ヴォ!ヴォ!ヴォ!ヴォ!ヴォオオオオオッ!」
「‥‥服でも脱ぐか‥」
服を脱ぎ捨てるガラ子。
「いと哀れなり~!いと哀れなり~!」
くるくる回りながら歌いはじめる。
するとすぐ近くから笑い声が聴こえてきて血の気が引いた。
「ぶわっはははへ!何してんねんこんなとこでェ~!クソおもろかったわ!」
「え‥ピグマさん‥そんな‥いつから‥!?」
「うー!うー!言ってた頃からかな。録画させてもらいましたわ!めちゃくちゃおもろかったんで!」
ガラ子はショックのあまり気を失いかけた‥。
「いやーワイもキチゲ溜まるとここに解放しに来るんや!一緒にキチゲ解放しようや!」
「あぁ‥はい‥。」
それからピグマとガラ子はアホみたいに奇声をあげたり服を脱いだりした。ガラ子におぶさってバイクみたいにお下げをハンドルに見立てて爆走した。
「パラリラ!パラリラ!」
「ヴォオオオオオッ」
その時だった。
「何してんスか?こんなとこで。」
ガラ恵であった。
空いた口が塞がらない。
「お前‥いつからおったんや‥」
「え‥二人が来る前からッスけど。トレーニングの為ッスね。ちなみに面白かったんで録画しました。」
「‥。ガラ恵‥頼む、見なかったことにしてくれ‥頼むで‥」
「いいッスけどお願いがあるんスけどォ!」
「‥あ、‥はい。」
「物分かりよくて助かるッス」
そういうとガラ恵は二人のスネを鉄の棒で強めに擦りあげたりした。
「痛すぎなんやがーッ!」
「ヴォオオオオオ‥!」
「ククク‥次はこの棒で太ももの裏側グリグリするッス。」
「ヴォオオオオオ‥」
3人‥いや、1人のキチゲ解放は朝まで続いた。
欧州全一になりたいねん!
全員働きだしてピグマん家の家計は破産の危機を乗り越えた。
聞き分けいい奴らで良かったわほんまァと思ったピグマは調子にのってさらにムチャ振りすることにした。
「実は今度サッカーの欧州全一決める大会がキプロスで開催される予定なんやけどあんたらに出てほしいんよ。」
ガラ恵はやる気満々であった。
「サッカーってアレッスね?スネ破壊したり鼻骨粉砕したりめちゃくちゃ楽しそうッスねえ!」
「あー‥いや‥そういうゲームでは‥手以外で球をゴールに入れるだけなんでェ~。ちなみに難易度ブルータルなんで4人制で禁止技は無いんやけど間接技とか格闘技するのは無し。先に3点取ったら勝ちや。」
「あー‥じゃ遠慮し‥」
「いや!出ろ出ろ!出てくれ頼む!ガラ恵ってなんでも出来る子なんやろ!?」
「優勝したらお願い聞いてもらっていいッスか?」
「ワイのあばら骨一本でキプロス優勝出来るなら安いもんやで。」
こうして、サッカー・キプロス代表は結成された。
ピグマアレーナの近くの練習場所で初練習‥。
「で、あんたらサッカー知ってるん?」
ピグマの問いに、沈黙が流れる。
「ボールって何でできてるんスか?」
「手で持ったらアカンの、なぜ?」
「何分で相手を気絶させれば勝ち?」
「敵ゴール内で待ち伏せするのは禁止ですか?」
ピグマは頭を抱えた。悪夢である。
「お前ら……全員サッカー知らんのやな?」
「でも大丈夫ッスよ」
ガラ恵が胸を張って言った。
「勝ちゃいいんスよね?勝ちゃ!」
その時、キプロスで調整中のサッカースパルタ代表キャプテンであるアンドロクレスが絡んできた。
「ザコ球団が何やってんだ?おめえらみてえな弱小が欧州全一で戦うなんてあり得ねえんだよ。この舞台を汚すんじゃねえ。サッカー関わんな。」
これにガラ恵が反応する。
「ザコかどうかはやってみないとわかんないッスよ。初プレイなんで。」
「そんな奴らにうちが負けるわけねえだろうが。欧州全一2回獲ってんだよ。」
ピグマは煽るだけなので楽である。
「や‥やったろやないかい!島国根性見せたるわ!Let's rock!」
キプロス代表メンバーはガラ恵、ガラーネ、ガラ妃、ガラシャ。
スパルタ代表メンバーはアンドロクレス、ケファロス、テラメネス、クレオメネス。
「いいウォームアップになりそうッスねえ~」
先攻キプロスで試合開始‥。
ガラーネはガラ恵にパス‥。
パスを受けたガラ恵の右足から放たれたワンタッチシュートが、球速150キロを超えた。
このシュートはアンドロクレスの顔面に直撃ししばらく動かなくなる。こぼれ球を拾い当然、スパルタのフィールドプレーヤーがプレスに来るがことごとく弾丸シュートで顔面を破壊していく。
ついにゴールキーパーのケファロスのみとなった。
「おらァッ!」
弾丸シュートが飛んでくるがケファロスはなんとか弾く。しかしガラーネがこぼれ球を押し込み1ゴール
しかしもうゲームにならないので試合終了。
「……おい、体やわすぎなんやが?」
「どうッスか? 勝ちなんスよね?」
「いや、勝ったけどな!なんか……あかん気がするわ!しかしあの優性思想のスパルタ人どもを倒すとはなァ。こりゃガチで期待やわ!」
欧州全一になりたいねん!2
大会まであと7日。
トラップ、ドリブル、シュート、ポジショニングすべてをテキトーに教え込んだ。戦いの中で自分で考えるしかない。ピグマは面倒くさがりなのだ。
「代表メンバー発表するで。ガラ恵、ガラーネ、ガラ妃、ガラシャは固定。控えはガラ乃、ガラ奈、ガラーヌ、ガラ矢で行きますゥ」
選ばれなかったものは普段どうりの日常に戻り代表メンバーは仕事しながら練習する。なかなか激務である。
グラウンドには、全員の疲労感だけが舞っていた。
「じゃーまずウォームアップなー。そこらへん走っといてー」
ピグマの声もだるい。笛ひとつ吹かず、日傘をさして寝転がっている。
「えー、どこまで走ればいいの、ピグマ」
「そのへんで適当にぐるーんでええ。」
走り出すメンバーたち。
ガラ妃は裾をまくりながら黙々とダッシュ。
ガラ恵は「ククク‥スパルタ野郎の顔を砕くのが楽しみッスねェ~‥」などと言いながらスキップ交じり。
ガラシャは真顔で一周、心拍数も変わらず。
ガラーネは途中でキノコを見つけて脱線。
「次、パス練習するでー。…ていうか、みんなボールどこやったん?」
「えっ?ガラ奈が投げて遊んでたやつ…どっか行った」
「またかい!」
結局、ボールを探して3時間が経過した。
「はいじゃあ、2対2で軽くミニゲームやるで」
ピグマがくじ引きで適当にチームを決める。
1試合目‥
ガラ妃&ガラシャ vs ガラ恵&ガラーネ
開始5秒でガラーネが自爆転倒したり。
こぼれ球を「ガラーネごと逝けッ!!」とガラ恵、弾丸シュートしたり。
ガラ妃は、まさかのファルコン(ボディフェイク入れて逆方向にジャンプしながら足裏でボールをドラッグする技。怪我注意)でガラ恵を抜き去る。
「いやなんでそれ出来んねん…!」とピグマ、思わず起きる。
その頃控えメンバー‥
ガラ乃とガラ奈とガラーヌとガラ矢は、コート脇でお茶会中。
「練習?あー、本番出るかもやけど…体力温存しとこ。そらそうやろ?怪我したら本末転倒やしィー。」
ピグマは遠くからそれを見て、
「まあええか…こいつらなんか地味に上手いわ」
と再び寝転がった。
欧州全一になりたいねん!3
大会3日前。今日はテキトーにくじ引きでAからDまでのどのグループに入るか決める日だ。
「あー神様ー‥クソグループに入れるのだけは勘弁やでー‥。」
ピグマは祈ることと煽ることしか出来ることはない。スポーツの才能は100点満点中5点。ほぼ何も出来ない。熱しやすく冷めやすいお祭り男である。キプロス開催なのでなんとしても勝ちたい。
くじ引き開始‥
グループA‥
ブリタニア
フランス王国
ナポリ王国
スペイン
グループB‥
クレタ
ドイッチュラント
テーバイ
ロシア帝国
グループC‥
ヴェネツィア
スパルタ
スウェーデン
クロアチア
グループD‥
アテナイ
キプロス
スイス
アイスランド
ピグマは泣いた。
「うわああああああっあーッ!」
ガラ恵は爆笑する。
「何泣いてんスか!」
「なんであの最強傭兵集団スイスとヴァイキング集団アイスランドおんねん!もう終わりやんけ!」
それからのピグマは練習に集中しきれなかった。
「もー帰るわ。あとやっといて」
ガラ矢はこの戦う気の無い負け犬に不満である。
「じゃウチらも練習せーへん。」
大会当日までの練習日はすべてオフになった。
欧州全一になりたいねん!4
大会当日‥。
1試合目アイスランドとの試合。控え室の中ではピグマは絶望していたが、ガラ恵は楽しそうにしている。
「あー、ヴァイキングの足首はどんな壊れ方するんスかねェ~。」
ガラ恵のスパイクは内部にスライドハンマーが仕掛けられておりインパクトの瞬間にハンマーが移動し威力が増す‥はずの設計である。
「ククク‥let's rockッス‥!」
アイスランド代表
ヴェステイン
エイリーク
ヤラナキャソン
オドラニャソン
キプロス代表
ガラ恵
ガラ妃
ガラシャ
ガラーネ
「‥はぁーワイの夢は終わった。勝手にやっといてくれや」
ベンチのガラ矢はピグマの態度にイライラしている。
「この顔以外キモオタはほんまァ‥」
試合開始。キプロス先攻。センターサークルに立つガラ恵は、地面を見つめながら不敵に笑った。
「いけるっスね……これ、破壊っス。」
ガラーネからパスを受けたガラ恵はプレスを引き付けて地面を思い切り蹴った。
「うおっ!」
ヤラナキャソンとオドラニャソンはグラウンドの芝生と土の目潰しを食らった。
「開始5秒で芝に穴が空いたァー!ピッチが次の試合までに直せるのでしょうかァ!」
実況は見たこと無いプレーに興奮気味。
スルスルとペナ内へ‥
エイリークが死ぬ覚悟で射線上に入り守備する。
キーパーのヴェステインは頭の中で遺書を書き忘れたことを後悔していた。
ガラ恵の足が振り抜かれる。
ズドンッ!!!
音が違う。建設機械のそれだ。
蹴られたボールは超低空で直進し、エイリークの前足を払い、空中で一回転させながら吹き飛ばす。
「エイリークゥゥーーーッ!?いや、立った!立ちました!いや立ってないです!」
実況も何を言っているのか分からない。
こぼれ球を拾い、ガラ恵はもう一度右足を振り抜く。
構えるヴェステイン。だが彼の視界に、ボールはもう無かった。
ゴールネットを突き破る。観客席に飛んでいき数人のおっさんに直撃する。
「ふげぇぇぇえぇぇ……」
おっさんたちは医務室に連れていかれた。
ヴェステインは、天を仰いだ。
1-0。
「ふふん、まあ……想定通りっスね」
ガラ恵は何食わぬ顔でユニフォームの裾を整えながら、自陣へ戻っていく。
「こいつら……人間なのか?」
オドラニャソンは震えていた。
アイスランドのボールで再開‥
しかし、アイスランド側は明らかに動きが鈍い。恐怖という名の戦略的ディスアドバンテージ。
エイリークは足を引きずり、ヤラナキャソンはまだ目に入った芝をぬぐっている。
「クソッこれが……これがサッカーなのか!?」
パスミスを誘発し、ガラ妃がボールをカット。
サイドを駆け上がる。
オドラニャソンが飛び込むが、ガラ妃は地下迷宮でのガチムチスタン人からの逃走で脚力を鍛えられていた。オドラニャソンは速さが足りない。
そのままクロスを供給。
「ボクがいきます!」
ふわりと舞う。重力を感じさせぬ跳躍。これが四国のうどんの力か‥。ガラーネの何かが覚醒しかけている。
「う、美しい……ッ」
思わず動きを止めるアイスランド人たち。
そこへ‥ラボーナバイシクルシュート‥。
2-0。
「やばい、コイツらヤバすぎる……!」
ヴェステインの魂が抜けかけている。
もはやヴァイキングというより、精神を焼き尽くされた漁師たち。
トドメの一撃はキーパーのガラシャ。
「じゃ、うちんターンかな。」
キーパーなのに上がりはじめ激しいショルダーチャージをガラ恵と同時に仕掛けてオドラニャソンからボールを奪い取る。
アイスランド勢は審判に一応抗議するが‥
「その程度で倒れるなんて‥この軟弱者ッ!シミュレーションだなッ!」
そのまま流された。
ペナ内に入り、ホーカスポーカス、サンバフリックなど散々なめぷされ、最後はつまさキックで、ゴール右下隅へ突き刺した。
3-0。
試合終了の笛が鳴った。
観客は立ち上がり、拍手というより祈りのように手のひらを合わせている。キプロス代表はサッカーの神なのだと‥。
ピグマはベンチで腕を組みながら呟いた。
「……なんや、みんな楽しそうやな」
その隣でガラ矢が鼻を鳴らす。
「最初から信じとけや、王様」
欧州全一になりたいねん!5
強烈なバックスピンがかかっており着弾した瞬間ラインを割らずボールが戻ってきた。ボールをガラ恵が拾う。
「なんなんだよ!コイツら!」
絶望のスイス‥。
ガラ恵のフルパワーのインステップキック。シュミットハルターの右手の小指と中指を骨折させる。
悶絶してるシュミットハルターを横目にガラ恵、コロコロゴール。
3-0
試合終了
「キプロスってこんな強かったっけ‥」
スイスサポは納得いかないがどうしようもなかった。
この試合はスイス代表メンバーにとってフランス革命戦士からのフランス王護衛任務よりキツかったのであった。
欧州全一になりたいねん!6
3試合目アテナイ戦。
全勝優勝を目指しているので手を緩めることはできない。しかし疲労の蓄積しているのも事実なのでここでメンバーを総変えした。
キプロス代表
ガラーヌ
ガラ乃
ガラ矢
ガラ奈
アテナイ代表
テミストクレス
アテナイオス
ゼノクレア
ソクラテス
「アテナイのやつらはガチガチの守備戦術チームやからガラ恵を外したのはまずかったかなァ。まあ頼むでガラ乃!」
「お!‥う‥うん‥。」
ガラ乃は顔だけアドニス並みにクソイケメンになったピグマがちょっと気になっていた。あの糞みたいな性格とだらしない体さえなんとかなればなあ‥と。
試合開始。先攻キプロス。
ガラ乃は衝撃をうける。アテナイ代表はゴールに全員張り付いて全く動かない。隙間はほんのわずか。アテナイチオとか呼ばれている。
「どうしたら‥」
ガラ乃はとりあえずシュートを放つがキーパーのゼノクレア、なんなくキャッチ。
するとアテナイ代表、後方でパスをこねこね回すだけ。
「何やコイツら‥攻めてこないんやけど」
「3点取らないと勝てないこと忘れてるんじゃないですかァ~。」
戸惑うガラ矢とガラーヌ。
もたつく二人にキーパーのガラ奈がキレる。
「見てないでボール奪ってゴールしなさいよ!制限時間ないんだから決めなきゃ一生このままなんだからね!」
「じゃ、お前やれよ。」
ガラ乃もキレる
「ハァ~?ヴァカじゃないの。そんなのフィールドプレーヤーの仕事でしょ!」
その時、ガラーヌがゼノクレアに近づき話しかける。
「あなたはァ~‥神を信じますかァ~?」
ゼノクレアはなんだこいつと思いながらも‥。
「ええ。信じています。アテナ神は偉大です。」
「あなたもォ観測‥してみませんかァ~‥神をォ~。」
ゼノクレアはガラーヌの瞳の奥に宇宙を見た。
「アール・ヴァル・セーレ‥ナミア・コル…」
洗脳されたゼノクレアは回ってきたパスをそのまま自陣ゴールに突き刺した。
1-0
「ゼノクレア?!どういうつもりだ!」
「キプロス万歳‥キプロス万歳‥」
その後も後方でアテナイ代表はパスを回すもゼノクレアにカットされオウンゴールを続ける。
2-0
「ゼノクレア!いい加減にしろ!」
アテナイオスとソクラテスが頬を叩く。
「ウガォォオオアアアア!」
暴れだすゼノクレア。恐ろしい力で二人をブッ飛ばす。
「良くできましたねェ~‥ゼノクレアさん~。最後のゴール。決めてくださいねェ~。」
「アール・ヴァル・セーレ……ナミア・コル…アール・ヴァル・セーレ……ナミア・コル…」
虚ろな目で歩きながら自陣ゴールに蹴り込むゼノクレア。
3-0
試合終了。アテナイ本国ではゼノクレアの住居に火がつけられるなど大騒ぎであった。
ガラーヌはゼノクレアの身を案じピグマを説得、ゼノクレアがそこそこ美少女であったためキプロスに永住することになった。
アテナイのゼノクレアが仲間になった!
欧州全一になりたいねん!7
グループステージを全勝したキプロス。
しかしここから先はサッカーキプロス代表にとって未踏の地である。
くじ引き開始‥
フランス王国vsクロアチア
ナポリ王国vsスパルタ
ドイッチュラントvsアイスランド
ロシア帝国vsキプロス
ピグマはこの組み合わせに絶望した。
「もう終わりや‥今度こそ終わったわ」
ガラ奈がキレる。
「キモオタ!いちいちテンション下がるよう事喋んないでくれる!?ったく‥ホントに気持ち悪いんだから‥。」
ピグマがいかにアドニス並みのクソイケメンでもガラ奈には関係ない。意外にも中身重視なのである。ガテン系清純派なのだ。
ミーティングルームにて‥
壁一面に貼られたロシア代表の資料。サッカーに関連ない資料も多い。
「これ……サッカーの分析ってより、なんか国家安全保障とかのレベルじゃない?」
「そうや……ロシアはいつだって想定外や……」
選手一人ひとりが消耗品。代わりならいくらでもいるとでもいいたげにヘッドスライディングでボールを奪い取るような危険なプレーも平気でする。極寒耐性も高くピッチがドカ雪でもプレー可能。むしろ冷えてからが本番。
全員で引いて守って、ロングパス縦ポン。それしかしない。
エースのタヴェルノスキー、身長2m超え、体重110kg。パスもドリブルもせず、ただ走って蹴る。
「……つまり、勝つにはヤツらの狂気を上回る狂気が必要や」
「ガラ恵が一番狂ってるから何とかなりそうね」
ロシアvsキプロス‥。
ロシア代表メンバー
タヴェルノスキー
ネルノスキー
アソブノスキー
オシリスキー
キプロス代表メンバー
ガラ恵
ガラシャ
ガラーネ
ガラ乃
審判の笛が鳴ると同時に、ロシア代表のタヴェルノスキーが重戦車のごとく突進。強烈なシュートを放つも、ガラ恵がそのまま打ち返す!タヴェルノスキーももう一度打ち返す。
だがガラ恵はタヴェルノスキーの頭部を狙って執拗に打ち返してくる。このテニス状態で4分経過‥。
「もうええわ!」
タヴェルノスキー、打ち返すのをやめ、オシリスキーにパスする。
が、普段そんなにしないパス。芝生もちょい長めなので精度を欠いている。ミスキックだ。
ガラ乃ボールをかっさらいカウンター。途中、敵のネルノスキーがスライディング。
これをニンジャAKKAでなんなくかわす。
「うま!」
ピグマ、ガラ乃の上手さに驚く。
四国のうどんの力か‥。日本旅行組は全能力がちょっと上がっている。
ガラ乃が浮き玉パス。ガラーネがジャンプして胸トラップ。その際に、シャツの下からちょっとニップルが見える。サイズはともかく美乳である。イキリたつ勇者のニップル。
アソブノスキーが「え、目が…目がぁ…」と魅了され、棒立ち。
その隙にゴール。キプロス先制。
1-0
ロシア代表はエ○いものに飢えていた。ガチムチスタン人と一緒なのだ。
「凄かった。ニップルプルプルプールプルだ!」
アソブノスキー、大興奮。
オシリスキーは鼻で笑った。
「チチ好きとはまだまだだな。」
「貴様ら集中しろ!」
タヴェルノスキー、激怒。
ピグマ、これに勝機を見つける。ロシア代表にデカイ声でメッセージを送った。
「ロシア代表!棄権してくれやー。そうしてくれたらワイの秘蔵のコレクション分けたるで!」
ロシア代表はしばらく考えた後、棄権した。
キプロス勝利。
この試合を観戦、もとい監視していたロシア帝国の女スパイ、ジナイーダはこの事を皇帝に報告。帰国後4人は譲り受けたコレクションを没収され国外追放となった。
「キプロス‥。興味深いニャー。」
ジナイーダはキプロスに、潜入してみる事にした。
欧州全一になりたいねん!8
キプロス島民は代表の尋常ではない活躍ぶりに熱狂していた。人気過ぎて飲食店に行けばタダで飯が食えるレベルである。しかしピグマと同じで熱しやすく冷めやすいお祭り大好き人間にすぎないので今のうちだけである。
フランス王国vsキプロス
スパルタvsドイッチュラント
「あー、スパルタとやりたかったんやが‥くじ運悪いなあ」
ピグマは悔しがった。
「そーッスね。スパルタは一回ボコしてるからやりやすいと思ったんスけどォ。」
ガラ恵も悔しがる。みんな悔しがっていた。スパルタごときが我らキプロスに勝てるわけがないと‥。
フランスに因縁があるのはガラ妃である。宝石窃盗に失敗している。フランス代表キャプテンのロゼリア伯爵もキプロスを合法的にボコボコにする事が出来るとこの日を楽しみにしていた。
‥のだが、グループステージのフランスvsブリタニア戦の後、乱闘事件に巻き込まれ負傷。出場出来なくなった。
フランス代表
エマ
ジャンヌダルク
ジャンヌ・ベルヴィル
ジャンヌ・モンフォール
キプロス代表
ガラ恵
ガラシャ
ガラ妃
ガラーネ
フランスはロゼリア伯爵を欠いているもののジャンヌ3人衆は軍属経験があるため運動能力高めである。
先攻フランス‥。
キックオフと同時に、キーパーまで戻し、縦ポンで前線へ。
ジャンヌ・モンフォールがドリブルで切り込む。
ガラ妃の服を汚さぬ緩慢な守備を突破し鋭いクロスを供給。ジャンヌ・ベルヴィルがスライディングで合わせるも、キプロスGKガラシャが指先でかすらせゴールを死守。初回から怒涛の展開にフランス人観客が沸く。
「おフランス、ガチやな……!」
ピグマはベンチから唸る。
フランスのコーナーキック。
ジャンヌ・ベルヴィルの直接ゴールを狙うようなコーナーキックはバーに当たりゴールのらず。
ボールを奪ったガラーネ。すかさずロングパス。中央で構えるガラ恵が受け取り、インステップでシュート。
盛大に外す。
「力みすぎや!落ち着けや!」
ピグマは喚くだけなので楽である。
キーパーからのボールを受けたジャンヌ・ベルヴィルがヴァニシングレインボーでガラーネを突破。ガラ恵とガラ妃が二人で奪いにかかるがピンチAKKAで二人ともかわされる。
ジャンヌ・ベルヴィル単独でキプロス勢を抜き、キーパーと1vs1‥。放たれるグラウンダーシュート。
ついにゴールかと思われたがガラシャが念のためゴールの近くに掘っておいたグラウンドの穴にボールが当たり跳ね上がる。
ガラ妃、浮き玉にギリギリ追い付きクリアに成功する。
ボールを回収するガラ恵。
フランスはジャンヌ・ベルヴィル一人に攻撃を任せ、後は全員守備に回っているようだ。
「全員死ねェッ!」
ガラ恵の殺意みなぎる弾丸シュート。
「ぶふっ!」
射線上にいたジャンヌ・モンフォールがボールを腹部で受け倒れる。
ボールを回収したジャンヌダルク、ジャンヌ・ベルヴィルへパス。
ガラーネがジャンヌ・ベルヴィルにピッタリついているがフリックターン一発でぶち抜かれる。
ガラ妃、射線に入るがシュートを打たれ我が身かわいさにかわしてしまう。
ガラ妃が影になりガラシャ、ボールが見えず右上隅にゴール。フランス先制
0-1
ピグマはタダ飯生活の延長打ちきりの可能性に震えた。
童帝ピグマ・リオン @hirokissos
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